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第Ⅲ章 アルトハイン
山道が消えた……
しおりを挟む3日後に、聖角灯……いえ、ホーリーライトが出来上がってきました。
「おじさん、いつも無理言ってすみません」
「なあに、今度は隣の国なんだってな。
俺の作ったホーリーライトが隣の国まで明るくしてくれるなんて、夢みたいな話だぜ」
「うふっ、いずれは、世界中がおじさんの作ったホーリーライトの光で明るくなるって。
絶対だよ」
事前に、途中まで主立った丘を削って窪地を埋めておきましたので、アルトハインへの道中は楽になりそうです。
「皆さんも、水牛の引継ぎお疲れさまでした」
「いえいえ、こちらこそ毎日美味しいモノをいただけて感謝しています。
これで、帰ったらカミさんの料理に戻ると思うと……」
「王子!あの話はどうなりました」
「あの話し?」
「いや、お前のところのメイドさんで、誰か一人くらい料理の講師を派遣してほしいと頼んでみてくれって……」
「あら、もっと早く言ってくだされば希望を聞けたのに……」
「いや、お前ずっといなかっただろう」
「あら、そうでした。
ケイトさん、メイド達に打診しておいていただけますか。
また、近いうちに今度はラトランドへいきますので」
「承知いたしました。
半年とか一年単位と考えてよろしいでしょうか」
「そのへんは、本人の希望に添うわ。その間はお給料倍額だと伝えてください」
「ああ、メイドの給料ではなく、料理長待遇で迎えたい。
よろしく頼む」
「承知いたしました」
「では、出発しましょう」
アルトハインのダイトウまでは馬車で10日。
普通よりもゆっくり走りますから半月ほどかかります。
ミーちゃん達は、少し先行して道の整備をしてもらいます。
「この辺りの山越えが最大の難関ですね」
「だが、ほかのルートに比べたら楽なもんさ。だが、こんなに真っすぐだったかな……
それに、もっと上り下りがあったはずなんだが」
「先行しているミーちゃんがならしてくれたんでしょう」
「こ、こんな橋は絶対になかった……」
「ミーちゃんがつくってくれたんでしょう」
「あ、ありえねえ……下りで真っすぐ進めば山が終わっちまう……。
行きは山越えに5日かかったんだぞ!」
「四時間で越えちゃいましたね。
もうすぐ陽が落ちますから、このあたりで野営しましょう」
「ああ。この分なら、大東まではあと2日くらいか」
「じゃあ、王都からダイトウまで6日ですね」
「ああ、普通の馬車なら3日。これなら十分行き来できるだろうな」
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