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第Ⅲ章 アルトハイン
晩餐会
しおりを挟む「本当に昼のようだな」
「驚かれたでしょう。
これと同じサイズを王都に8個。町に3個作っています。
一回り小さい中型を王都と町に2個づつと村に一個。
それと、携帯サイズを30個です。
携帯版の配分はご自分で考えてくださいね」
「父上と母上、兄貴二人に妹。領主と領兵とギルド。残りは手持ちにしておくかな……
待て、金貨一万枚は確保したが、それ以上は……、すぐには無理だが絶対に払う。
国の安全と安心には代えられん。だが、総額でいくらになるんだ」
「金貨一万枚で結構です。
あとは、水牛とここまで届けていただいたお礼。残りは私からの寄贈です」
「本当それでにいいのか」
ふいに、後ろから声がかかります。
「シーリアがいいっていうんだから、それで結構ですよ」
「えっ!」
「シーリアの姉でシーリーン・シュトーリアと申します」
「シュトーリア!では、ゼファー王の……」
「正妻ですが王妃ではありません。
ですから、私は表舞台には出ません。
聖角灯は、あくまでもシーリア個人が作って運用していますから、国が異を唱えることはございませんよ。
本当はお金の問題ではなく、民に安全と安心を与えるものですからね。
王都の分だけはそれなりの費用を負担していただき、それ以外は寄贈。
この国だろうと、よその国だろうとその考えは変わりません。ねっ、リア」
「アンデッドに追われたり、襲われたりした経験がありますから、一人でも多くの人に安心して暮らしていただきたいんです」
「それは分かるが……」
「さぁ、難しく考えるのは後にして、お食事の用意ができましたからまいりましょう。
冷めてしまったら、せっかくのお料理が台無しですわ」
「お姉ちゃんは、食べることに関してうるさいの」
「シーリア、何か言った?」
「ううん、さあ行きましょ」
宴席には、ゼン王子様に同行してきた8名の魔物使いと、全局長が着席していました。
ミーちゃんに作ってもらった8人掛けの丸テーブルです。
そこに適度に分散して座ってもらいます。
「テーブルが丸いとは……」
「王様と相談して、上下隔たりなく全員が平等っていう意味で作ったの。
だから、上座とかないんです」
「なるほどな、勉強になる」
「乾杯はスパークリングワインです」
「聞きなれないワインだな」
「まだ、量産できないんだけど、発酵途中のワインを瓶詰めしてるんです。
だからワインとしては若いんですけど、まあ、飲んでみてください」
「ほう、エールのように泡が出てるな」
「農林局長のあいさつなので、お静かに」
「……であるからにして、両国の発展を祈念して乾杯!」
「「「乾杯!」」」
「んぐっ、ああ、そういう事か。炭酸の入ったワインなんだ。
ふむ、これはアリだな。特に女性には受けそうだ」
「王子、自分はエールの苦みが苦手なので、これはありがたいです。
国でも作りましょう」
「まあ、やってみろ。俺はエール派だな」
「最初はポテトチップスとレンコンチップス。あとサラダです」
「サラダにかかっているソースは?」
「卵の黄身と植物油とお酢で作りましたマヨソースです。
これにはレモン汁を少量入れてあります」
「ほう、葉物もこうすれば食べやすいな。
一緒に入っているのは、カリカリに焼いたベーコンか。ああ、いいアクセントになっている。
その横は?」
「ジャガイモのサラダです。
茹でたジャガイモをつぶして、先ほどのソースと和えました」
「王子!このジャガイモのサラダは美味しいです」
「続いて、ベーコンのチーズ焼きとアスパラのベーコン巻きです」
「うひゃーっ!王子、これならいくらでも食べられますよ!」
「お前、よその王様の前でよくそれだけはしゃげるな」
「よいよい。我が国の……というか、シーリアの考案した料理ばかりだが、喜んでもらえて何よりだ」
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