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第Ⅱ章 二人旅
隣国の王子
しおりを挟むチルバには6日目のお昼に到着しました。
「シュトーリア王国から応援にきた。領主殿に取り次いでいただきたい」
さすがに隊長さんは堂々としています。
「領主邸にご案内いたします。どうぞこちらへ」
私一人だったら、色々と尋問されそうです。
「おお、レインではないか、久しいな。お前が応援に来てくれれば百人力だ!」
「ダクトも元気そうだな。
だが、今回の俺は単なる護衛だ。こちらはシーリア・アートランド卿。今回の主力だ」
「二人というのも驚いたが、宮廷魔物使い隊長のお前が冗談でこんなところに来るとは思えンな。
それほどの実力者か。
あっ、失礼した。私はダクト・レイガール。このチルバの領主をしています。
このような遠方までお越し頂き恐縮です」
「シーリア・アートランドにございます。微力ですがお力になれればと参上いたしました」
「ふん、たかだか二人で何ができる。
お前らの国は、我が国を侮辱しているとしか思えん」
「お、王子。仮にも一国の警備隊長が直接おいで下すっているのに、そのお言葉は失礼ですぞ」
「王子?」
「ああ、すまん。こちらは第三王子のゼン様だ。
雪が思いの外早くて、帰国できず。今はチルバに滞在されている」
「これは、ゼン王子様。申し訳ございません。
シュトーリア王国、宮廷魔物使い隊長レイン・ダールタールにございます。
こちらは、シーリア・アートランド男爵にございます。
多勢で来るよりも、速きを優先いたしました。
若輩ではございますが、我が国最上級の実力者でございますれば、少数であってもお力になれるかと存じまする」
一応私もお辞儀をします。
やっぱり、隊長さんってすごいです。
バカにされても丁寧に対応しています。
「その女が最上級だと。シュトーリアも底がしれるわ」
「王子。一国を代表しておられるお二方に何という失礼を!」
「うるさい!聖角灯とかいうのを持ってきたのであろう。
それを置いて帰れ。たかが属性武器。言い値で買い取ってやろう。
金貨30枚か、50枚出せば十分だろう」
「ほう、この聖角灯をお望みですか。
我が国の財務局長は、これの大型のものを譲ってもらうのに、金貨2000枚の値をつけました」
「「「2000枚!」」」
「王は、この携帯版の加工賃に金貨100枚を提示されました。
うちの隊にも配備されましたが、これの価値は最低でも金貨500枚。
いかがなされますか」
「バカを言うな!そんなガラス玉が金貨500枚だと!」
「最低でもと申し上げた。
これが三つあったおかげで、アンデッド1万の勢力を退けた。
その最大の功労者がこちらのシーリア卿です」
「「「アンデッド一万!」」」
「嘘偽りはございません。
隣国の死人使いの脅威を治められたシーリア卿を侮辱するというなら、相応の覚悟をお持ちいただかないと」
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