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第Ⅱ章 二人旅
ソース
しおりを挟む「はて、今回ギルドは関与していませんよね」
「だって、ギルドの依頼書を見て狩りに出かけたのよ」
「そうですわよ。名誉男爵様が城の手勢を率いて」
「ぐっ、まあ、12頭もあれば……」
「リア、食肉ギルドにも6頭分けてあげてちょうだい」
「お姉ちゃん」
「食肉ギルドの代表から農林局経由で直訴されちゃったのよ」
「ぐっ、6頭……」
「ごめんねメリッサさん。3頭になっちゃった」
「えっ、うそ……」
「串焼き屋台の組合から3頭頼まれてるの……」
3日後、王都兵団総出で狩りが行われることになりました。
場所は少し離れた南東の森と南西の森で、私は南西の森へ行き、宮廷魔物使いのファルコン隊が南東の森を受け持ちます。
「やっぱり、肉は必要だよな」
「そうですわね」
「おい、そのソースはなんだ?」
「えっ、ミーちゃんの採ってきた果実で作った秘伝のソースですけど」
「何で俺のにはかかってないんだ?」
「最初に食事したときにお伺いしましたけど、要らないっておっしゃいましたわ」
「うー、記憶にないぞ……」
「そういえば、何か考え事をされていたかしら」
「ちょっと食わせろ」
「お行儀が悪いですわね。まあ、はい、あーん」
「クッ、屈辱的だが……、うん、うまいな」
「残念ですけど、来年の秋までは作れませんからね」
「なに」
「これが最後の一滴ですの」
「お前には、夫に対する思いやりというものはないのか」
「ああ、そういえばジャルクにもおすそ分けしましたわ」
「失礼します」
「おお、ちょうどいいところへ。
それだ、そのソースを俺にも分けろ」
「えーっ、てことはこっちも品切れか……」
「こっちも?」
「ムーランがいっぱい使うのよ。だから分けてもらおうと思って」
「何で俺だけ……。
そうだ、そこに残っているのを料理長になめさせて……」
「やったけど、素材が分からないって」
「そうだ!シーリアは、シーリアのところにはあるだろう」
「真っ先に無くなるわよ。食い扶持が多いんだから」
「まさか、ミーミーたちはソースなんか使わんだろう」
「だって、ミーちゃんが採ってきたのよ。自分が食べたいから」
「ガーン」
「あれ?王様が死にそうな顔をして歩いてる」
「おう、シーリア。原因はお前のところのソースだ。
俺は一切れしか食えなかったが、これ以上食えないと分かったとたん猛烈に食いたくなってな」
「えっ、果実の奴それとも……」
「なに、それともだと!まさか次があるのか?」
「うん、今は木の実のソースだよ。それか、乳の塊をのせて焼くかだね。
ほら、うちの子たちは香辛料が嫌いだからさ、それに代わるものを色々と考えてもらうの。
木の実はミーちゃんが採ってきて作ったんだよ」
「シーリーンはそんな事言ってなかったぞ……」
「あれっ、まだ届けてなかったっけ。えへへ、忘れてた」
「それに、乳の塊とはなんだ?肉に乗せるとうまいのか……」
「ヤギの乳から作ったの。温めてたら間違ってレモン汁をこぼしちゃったの。
そしたら、少し膜ができてきて、冷ましてから食べたら美味しかったの。
それから作るようになったんだ。
あとね、ガーリックオイルで焼くのも好きだよね」
ミー
「あっ、そうだね、あれも美味しいよね。でも、あれは鶏肉の方がおいしいんじゃない?」
ミー
「ミーちゃんはイノシンの方がいいんだ」
「あれとは何だ」
「トマトだよ。皮を剥いてつぶして肉と煮込むの」
「トマトは輪切りにして塩で食べるのが一番だ。それを煮るだと……」
「うん、美味しいんだよ」
「今日から、しばらくお前の家で夕食を食べるぞ。
シーリーンの家でもあるんだから、俺が行っても問題なかろう」
「うん、いいけど。みんな一緒に食べるけどいいの?」
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