稀代の魔物使い

モモん

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第Ⅱ章 二人旅

風魔法

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こうして、王国は冬を迎えます。

雪が降るのはトランガだけで、それも時々で積もることは滅多にありません。
とはいえ、植物は枯れ動物も減ります。
寒いのが嫌いなチョロリは私の布団に潜り込み、昼間は暖かい場所を探して落ち着きます。
ピー助は羽毛を膨らませて熱を逃がさないようにし、ミーちゃんとセイレーンは庭を駆け回ります。

そんな中で分からないのがワイバーン3兄弟です。
晴れの日は屋根で飛膜を広げて日光浴をして、天気が悪ければ布団にこもります。
さむければ外に出なければいいのにと思ってしまいますが、太陽の光が好きみたいです。


今日はメリッサさんに風魔法を教えてもらう約束になっています。

「はいはい、時間だから行くよ」

ミー、ピー、ギー、オン

「ほら、チョロリ!」

ピュリッ

場所はギルドの裏の空き地です。

「はい、風魔法の初級ですね。最初は口で吹いてこの木からぶら下がった紙のテープを揺らしてみましょう」

50cmの距離だから、私でもできます。フーッ

シュー、ゴー、ヒュー……ゴーはミーちゃんです。

「先生、ピー助には無理です」

「あら、そうでした。ピー助は羽ばたいていいですよ」

ピュー、ピー助にもできました。

「じゃあ、こんどは5m離れて同じことをやって……」

ゴー

「ブレス持ちは結構協力ですね。ミーミーとチョロリと3兄弟とレオンは10m離れてください」

ゴー

「安心しました。そよぐ程度になりましたね。
今度は吐く息に魔力を込める感じでやってみてください。
ピー助は羽に魔力を込める感じです」

ビョー、ブシュー、バサバサ

「えっと、何でミーミーの紙テープが凍ってるんでしょう。
はい、シーリアさん以外は次のステップに進みます」

「先生、私の紙テープも揺れてます」

「それは、風です。
では、今の要領で30m先の、あの板を倒してください。
口をすぼめて息を細くすると倒れやすいですよ」

ピュー、シュー、バサバサ、パタン、パタン

「ミーミー、板を凍らせてどうするんですか!
チョロリ、板を打ち抜けなんて言ってません。
三兄弟とレオンはいいですよ」

バリン!

「ミーミー、凍らせてから破壊しないで!」

バリン、バリン

「チョロリ、ピー助、マネしないの!」

「先生、揺れました!」

「もっと激しく揺らしてください!」
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