稀代の魔物使い

モモん

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第Ⅱ章 二人旅

土魔法

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ミーちゃんはあちこちで引っ張りだこです。
ギルドのメリッサさんから要望があって、週に一度リフレッシュの日を設け、有償で一般開放しています。
このメリッサさんの提案で、ハーブ系の香を焚いていたのですが、ミーちゃんは自分でミント系の葉をムシャムシャ食べて芳香を出すようになりました。
回復効果も増しており、毛玉に埋もれていなくても、同じ部屋にいるだけで大丈夫です。
部屋というか、芳香の届く範囲みたいです。

もう一つはお城で開催されるリフレッシュの日で、こちらも一般開放されています。
主催は、女性局長になったお姉ちゃんで、ケイトさんは正式にお姉ちゃんの部下になりました。
お城の一階にある大広間で行われ、無料で参加できます。

ギルドが有料なのは、ハーブの講習会も同時に開催されるからで、主にその実費分となっています。

参加者の中で、気になる人がいるときは、ミーちゃんが念入りに匂いを嗅ぎます。
会が終わるとミーちゃんが薬草を摘んできます。
それを磨り潰したり乾燥させたりして出来上がったものを、ミーちゃんが匂いを頼りに家を探し出します。

「ごめんください」

「はい、ああ、これは聖女様。何か御用で?」

「この間、城に来ていただいたときに、この子が気にしてまして。どこかお加減の悪いところがあるんじゃないですか?」

「実は、お腹の痛む日が続いていまして、でもお城で癒していただいてから調子がいいんですよ」

「この子が調合した薬です。
お食事のあと、30分過ぎたら飲んでください」

「えっ、神獣様が私のために!」

ケイトさんがこのやり取りを記録しており、女性局の中に薬草課が発足します。



「ケイト、これって私の仕事なの?」

「ええ、全部の町から集まってきた女性の嘆願です」

「もう少し手分けして、決済だけにできないものかしら」

「とりあえず、どんなものがあるのかだけでも知っていただきたく、全部集めてあります。
それだけ確認いただければ、次の分からは決済だけにさせていただきます」

「どうだ、俺の苦労が分かるだろう」

「私が女性局長に就任して以来、あなたの放浪が増えたような気がします。
局長さんもフラフラしてるし、おかしくないですか?」

「気のせいだ……。ああ、忙しい忙しい……」


小型の聖角灯7個は、総務局と土木局によってすべての村に寄贈されました。
この運用には関与していません。
今のところ、増産は不可能ですので、それだけ伝えてあります。

携帯型は100個できましたので、各局長に二つと宮廷魔物使いと王都兵団に3個づづ。
ギルドのゴン爺に二つ渡してあります。
各町にも兵団とギルドに2個づつ領主様に一つ。お姉ちゃんのお兄さんに一つ。

そうそう、ジャルク様にも親戚なんだからとねだられました。

緊急対応用に女性局で10個保管してもらいましたが、まだ、50個くらい残っています。



ある日のこと。
フランさんがお休みなので、土魔法を教えてもらうことになりました。

庭に出て、泥団子を作ることから始めます。

「この泥団子を変形させるのが土魔法の第一歩です。
泥団子に魔法を流し込むようにして、最初は潰して平らにしましょう」

グシャ! ミーちゃんの泥団子が最初に潰れました。
次にチョロリ。続いてルマ、レオン、セイレーン、コロン、少し遅れてサンガもできました。

「えっと、シーリアさんとピー助は続けてくださいね。
では次のステップです」

私とピー助の泥団子は、少しも反応しません。

「次は、この潰れた泥団子を四角にしてみましょう。こんな感じです」

フランさんのお手本を元に、みんな成功させていきます。

「すごいです。じゃあ、今度はこの四角を地面において、潰して平らにします」

「わぁ、これも完璧ですね。
じゃあ、そこから、今のよりも大きな四角を隆起させましょう。これくらいの大きさです」

「ピー助、私たちはこっちに集中よ」

「あらら、とんでもないですね。
じゃあ、一旦元に戻して、1mの塀を作りましょう。固くしないと崩れちゃいますよ」

ズン、ズン、ズン

「おっと、セイちゃん、コロンちゃん、サンガ君は崩れちゃいましたね。
もう一度トライしてみましょうか」

ズン、ズン、ズン

「どれどれ、強度は……、まだ硬さが足りないですね。
じゃあ三人はこれを練習してください。
ミーちゃんは……、もう石のようですね、チョちゃんも完璧。ルマとレオンもいい感じです。
私のレベルで教えられるのは、次で最後です。
今の塀の要領で、土のドームを作ります。
床面を含めてなるべく固くします。旅先で野宿する時に便利ですよ。
強度が足りないと、寝ている間に崩れちゃいますからね。こんな感じです」

ズン!

「ミーちゃん、完全に石のドームですね。私よりもレベル高いですよ。
チョロちゃんも素晴らしいです。ルマとレオンはもう一歩ですね」

その頃、私とピー助はやっと団子が崩れた程度でした。
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