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第Ⅱ章 二人旅
携帯型聖角灯
しおりを挟む「へっ、王様!」
「そのままでよい。全国民がお主には感謝している。何か褒美を取らせようと考えていたところだ……が、それはなんだ?」
「へへへっ、携帯型の聖角灯だよ」
「なに!台座とかは?」
「全部混ぜてもらったんだ。
これだけで光るように色々と工夫してくれたんだよ」
「その3cmの玉が光るのか」
「はい」
「シーリア、10個も要らないよな。
年をとるとな、ランプやロウソクのちらつきが辛くてな……」
「しょうがないなぁ、一つだけだよ」
「おお、感謝する!少し待て、金を持ってくる。いくらだ」
「要らないよ。それはあげる」
「いや、しかし……、では、職人に対する手間賃を払おう、ちょっと待っていろ」
「シ、シーリアちゃん、いつも王様とあんな感じで話すのかい?」
「人前ではちゃんと話すよ。でも、普段はこんな感じかな」
少しして経理のお姉さんがやってきました。
「失礼します。陛下から言付かってまいりました。金貨100枚です。
こちらの受け取りにサインをお願いします」
「王様ったら、お金は要らないっていったのに」
「ここ数日、陛下も体調が回復されましたようで、一同安心しています。
多分、あれの回復効果ですよね。
そこへ、今回の小型聖角灯でしょ。
決済もスムーズに通るようになって、仕事がどんどん流れていきます。
おそらく、その品で加速するでしょう。
国にとっても十分に採算は取れていますわ」
「そうなのかなぁ」
その夜、屋敷に戻りヘレンさんに3個渡しました。好きな場所に使ってもらいます。
お姉ちゃんとナタリーさんとフランさんに渡しても3個残ります。
一つは私で、予備が一つ……
そうだ、ケイトさんにも使ってもらおう。
次の朝、ケイトさんに携帯型聖角灯を渡します。
「だっ、ダメですって……そんな貴重品を私なんかに」
「ケイトさん、あなたは私の右腕になってくれるんでしょ。
でしたら、左手でそれを持って先を照らしてくださいな」
最近のお姉ちゃんは風格というのでしょうか、王様も手玉にとれるような感じがしてます。
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