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第Ⅱ章 二人旅
そういうことは、もっと早く言っていただけないと……
しおりを挟む「そのワイバーン自体は従魔登録の特徴があったものの、傷が深く死んでしまいました。
私たちが接触したのは墜落したあとで、交戦などは行っておりません。
そのワイバーンが飛び立ったと思しき山頂で、死後数か月と思われる死体とワイバーンの子供3頭を保護しました。
その死体の所有物がこちらで、ギルドの登録証からラトランドの国民だと判明いたしました。
所有物の中身までは見ておりませんので、どこかの部署で確認をお願いしたいと思います。
それから、来年の春になりましたら、私達二人でラトランドへ行き、その親族に荷物をお返しできればと考えています」
「そうか。
総務局長、荷物の確認を任せる。
ラトランド行きは、情報を集めたうえで判断する。
以上だ。
……、で、そのワイバーンも連れてきているんだよな」
「はい」
「陛下!私も後学のために同行させてください。
ワイバーンは初見であります」
結局、全員がゾロゾロとついてきました。
ミーちゃん達は、内務局の一角で待機しています。
当然、毛玉モードでワイバーンをくるんでいますが、ここのお姉さんたちは誘惑に耐えています。
「ほう、ここの職員は毛玉の誘惑に耐えるのかよ。
ジャルクでさえ精いっぱいだったと言っていたが、内務局長の指導の賜物だな」
「陛下、刺激しないでいただきたい。涙目になっている職員もいますから」
「おお、レオンも元気そうだな。
よしよし。で、これがワイバーンか。ん、一頭は右手がないのか」
「駆け付けた時は、狼に襲われていまして、一頭が命を落としております」
「なあ、シーリア……」
「却下です」
「なっ。何を……」
「一頭よこせと目が言ってますから」
「だってよお、大きくなったら乗れるんだろ、それ。
お前たちだけで空を独占するなよ」
「えっ、乗れるの?ですか」
「ああ、隣国のワイバーン使いは、それに乗っているらしい。
死んだ魔物使いも、おそらく飛んできたんだろう。まあ、考えておいてくれ。
よし、次はファルコンだ。
あっ、内務局長、毛玉に耐えた褒美として交代で10分間の休憩を与えてやれ」
「はっ」
「ほう、きれいで、それでいて逞しいな。
ピー助、訓練してくれたんだってな。感謝する」
ピー
「褒められて嬉しいそうです。
さあ、飛んで見せてあげて」
ピー助を先頭に一斉に上昇し編隊飛行に移ります。
「おい、あれって急降下の姿勢だよな。羽ばたかずに飛んでるのはどうしてだ」
「追いかけっこをしていたらできるようになりました」
「やけに速く感じるんだが……」
「限界を超えたようです」
「なんの限界を超えたんだよ!」
「さあ」
「頼む、お前たちはもう少し常識を弁えてくれ。
俺の根底にある世界観が揺らぐ」
「そういうことは最初に言っていただかないと……、もう手遅れですわ」
「なに!」
「あのファルコンたちは10日でピー助の真似を始めました。
セイレーンだって空を駆けちゃうし、今更そんなことを言われても、もとには戻れません」
「そ、そうなのか……」
「ええ、王様は、すべてを受け入れるしかありませんわ」
お姉ちゃんが、オーッホッホッと勝ち誇ったように笑った気がしました。
多分、気のせいです。
内務局に戻りましたが、5人ずつ交代で休憩しているため、できれば30分ほど待ってほしいと懇願されました。
「では、先に屋敷へ案内していただきましょう」
「承知いたしました」
ケイトさんに案内されて屋敷に向かいます。
城から見て町の中心部とは反対側に貴族街があり、町中にあった先生のお屋敷とは趣が違います。
城門から出て2本目の道を左に曲がった3軒目にそれはありました。
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