稀代の魔物使い

モモん

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第Ⅱ章 二人旅

局長決済

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「明日の早朝かよ、随分と急だな」

「お言葉ですが、トランガの町は今も臨戦態勢です。
一刻も早く、連絡体制を整えるのは必須と考え出過ぎた真似をいたしました。お許しくださいませ」

「ああ、すまん。お前の言うとおりだ。
それで、明日問題がなければ、明後日から実施可能なのか?」

「構想といたしましては、朝7時に3羽のファルコンを出発させます。
シャイリアとリントには8時頃到着。トランガも9時には着くでしょう。
何もなくても、紙一枚は持たせます。受信は領主様か執事が行います。
帰りの便は12時に出発し、こちらには13時から14時に到着。フランさんが通信の筒を開けずに内務局長に届けます。
内務局長か総務局長が開封し、必要な個所に回付するという仕組みです。
運ぶのは紙に限定し、一日に10枚までとします。
受付の集約は内務局が行い、機密文書は内務局長が、不在時には総務局長にお願いしたいと思います。
以上です」

「シーリアよ。お前の目から見て、ファルコン3羽は信頼に値するのか」

「ピー助が訓練してきましたから保証できます」

「で、シーリーン、いくら出せば請け負うのだ」

「ファルコンの補償込みで年間金貨300枚」

「いや、それ安すぎないか……、財務局長、どう思う」

「そうですな、トランガまで急使を立てた場合、往復7日で危険手当込みの金額が金貨15枚。
年間で急使の予算は金貨500枚を見込んでいます。
それを実質半日で往復が可能で、町からの急使を加味すれば金貨1000枚が妥当なところかと」

「ただし、荒天時にはファルコンは飛べませんから、そこを考慮していただかないと」

お姉ちゃんの言葉はスルーされました。

「そうか、王都がやれば、町の負担も軽減できるんだな。
財務局長、金貨500枚なら局長権限で決済できるんだな」

「はい」

「よし、明日の試験を以て決済してくれ。
宮廷魔導士も明日の試験に同席するように。内務局長、ケイト、詳細は任せたぞ」

「「「承知いたしました」」」

「フランとやら、どうだ宮廷魔物使いにならんか。待遇は保証するぞ」

「いやです」

「だろうな……分かった。後でファルコンに合わせてくれ」

「はい」

「で、ラトランドがどうした」

「はい。トランガの町からリントに向かう途中で、ワイバーンに遭遇しました」

「キメラとゴーレムの次はワイバーンかよ」

「はい」
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