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第Ⅱ章 二人旅
結婚……
しおりを挟むほとんど加工していないので、一つ金貨2枚。20個で金貨40枚です。
ガラス玉には、少しですが凹みがあります。ここにポールを差し込めるように作ってあります。
手元の角2本を粉にしてもらい、これを塗ってもらって、台座の部分に青い杖を切ってはめ込みます。
2個をリントの町に残し、厳重に梱包したガラス玉18個を馬車に積んで王都を目指します。
普段1日で行く道を3日かけて慎重に運びます。
王都では、お姉ちゃんがすっかり有名人です。
お姉ちゃんの顔を知らなくても、チョロリやミーちゃんを見れば一発でばれます。
「さて、王様、商談に入る前にジャルク王女様と二人だけでお話がしたいのですが……」
「すまん。ジャルクは熱を出して寝込んで居る」
逃げたな……、お姉ちゃん王様に聞こえちゃうよ……
「あーっ、ではジムザさんからの報告は?」
「照明の件は聞いておる。とんでもない明るさだとな」
「いくら出しますか?」
「はぁ?」
「ですから、その照明にいくらの値をつけますか?」
「それを譲るというのか」
「厳密には、ガラス玉を代用した模造品ですが、同じ機能を有しています」
「二つ目を作ったというのか!」
「はい」
「うーむ、財務局長、聞いたとおりだ。
アンデッド撃退の効果を持った一角獣の角の光はお前も見たよな。
あれの数十倍の明るさだそうだ」
「それに、杖の部分を付属させましたら、毎晩暗くなると光るようになりました」
「なに」 「なんですと」
「うー、金貨……2000枚!」
「王都用に、それを10個作ってきました。
それだけあれば、王都全体を照らせますでしょ」
「10個!き……金貨2万枚は直ぐには用立てできませんが、国のためには……」
「ああ、国中が明るくなれば、犯罪も減るし、働ける時間も長くなる。
国の活性化のためには、何としても譲ってほしい」
「では、王女様をお呼びください」
「まて、ジャルクがお前に何かしたというのか」
「ええ、私が結婚できるかもしれない僅かな可能性を摘み取ってくれました」
「結婚だと?」
その時です。広間の端の方からパタパタとジャルク王女が駆けてきてお姉ちゃんの前で土下座しました。
「ご、ごめんなさい」
「あら、随分と潔いですわね」
「はい、強硬手段に出たことはお詫びいたします。
ですが、そのおかげで、新たな制度の案ができました。
現在審議中です」
「制度ですか?」
「はい。公職にある者の配偶者は、公職者の役にかかわらず、自由に職を選ぶことができるというものです」
「ジャ、ジャルク、それはお前が婿をとった時の制度では……」
「そうです。それが王であろうと、王女であろうと、その配偶者が魔物使いであっても良いという制度です」
「「「えっ」」」
「……結婚……」
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