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第Ⅱ章 二人旅
王都への連絡
しおりを挟む翌朝早くに。ピエールさんが200名の兵士を引き連れて出発する。
当然、私も一緒です。
お姉ちゃんはギルドのみんなに協力を呼び掛けるため、後からセイレーンと一緒に来ることになりました。
道案内はチョロリです。
一時間ほど進んだところで、ピー助が旋回を始めました。
あの下に兵士がいるという合図です。
「ミーちゃん、見張りは?」
ミー。近くにはいないようです。
「よし、あの鳥の旋回している真下で包囲網を展開。
犬を先頭に出して、見張りに注意しろ。見張りを見つけたら、手を出さずに暗殺犯に情報を入れて対応させる。いいな。
アンデッドは後回しだ、人間の無力化を最優先にする。では、移動開始」
見張りは二人組が5か所。油断しているのか人手不足なのか、片方は寝ていました。
暗殺部隊の人は、声をあげさせずに始末していきます。
残りの40人は思い思いの格好で寝ています。
「よし、一気に制圧。無抵抗の者は捕虜にする。
いけ!」
狼系の魔物は、喉にかみつき。剣士は心臓を一突きです。物音で目を覚ましても、抵抗する者はいませんでした。
「よし、リントの兵団だ。
うちに潜り込んでいたお前達の手先は三人とも始末した。
お前たちに勝ち目はない。死人使いは生きているか?」
全員の視線が一人の男に集まります。
ピエールさんはその男を一刀両断にします。
「すまんな、死人使いだけはその場で殺すよう指示を受けているものでな。
それ以外は大人しくしていてくれ。
協力する者には、それなりの待遇を用意する」
生き残ったのは12名。
ピエールさんを先頭に100名が町へ連行していきます。
残ったのは、犬と狼系の魔物使い。それとシャベルを持った兵士です。
「よーし、ここを起点にして、半径1kmを捜索。
アンデッドを発見したら、表面の土を除けて太陽にあてろ。
必ず灰になるまで確認すること」
お姉ちゃんはセイレーンとアンデッド狩りに混ざり、私はピエールさんと町に戻ります。
私の出番は、陽が落ちてからです。
「捕虜は12名ですか。上出来です。
取り急ぎ、王都へ報告して指示を仰ぎましょう。
シーリアさん、ピー助君に文を運んでもらえますか」
「はい。直接王様に届けるように教えてあります」
「どれくらいで届くんでしょうか」
「前に宮廷魔物使いのジローさんに聞いたんですけど、1時間に100kmくらい飛ぶんだそうです。
ですから、多分、1時間くらいだと思います。
30分以内に返事を書くとおっしゃっていましたから、往復で3時間以内ですね」
「言い訳がましいのですが、王都との定時連絡に鳥系の魔物を使おうという話はあったんです。
ただ、ファルコン系の魔物使いはあまりにも数が少なく、かといってカラスやハト系では襲われたり事故の可能性も大きくなります。
怖い目にあえば、それを指示した飼い主との信頼関係も弱くなるんだとか聞きました。
結局、いまだに候補者すら見つけられないでいます。
シーリアさんには、そういう不安はないんですか?」
「ピー助が私のことを嫌いになってしまったら、寂しいですけど仕方ないと思っています。
魔物使いとしても未熟で、いつもみんなに助けてもらってばかりです。
でも、私たち四人は家族ですから、誰かが逃げるとかあまり考えませんよ。
だって、魔物使いって言葉を教えてもらう前に、私達は一緒に生活していたんです。
みんなと出会わなかったら、私は一日で死んでいたと思います。
私が生きているのは、みんながいてくれたからなんです。
だから、もう面倒見きれないって捨てられたら……、しょうがないと思いません?」
「ああ、そういうことなんですか。
他の魔物使いの人達とは違うんですね。
あなたには、魔物を使っているという感覚がない」
「ひょっとしたら、私が使われているのかもしれませんね」
領主様は大声で笑いました。
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