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第Ⅱ章 二人旅
二度目の王都
しおりを挟む王都から連絡が入りました。
メリア王国との交渉がうまくいかず、開戦の緊張感が高まっているそうです。
私とお姉ちゃんは王都へ急ぎます。
開戦の可能性があるため、ナタリーさんは連れていけません。
ミーちゃんとセイレーンは王都まで一日で走りぬきました。
先生の屋敷に直行しましたが、先生はメリア王国へ出ているそうです。
仕方なく宮廷魔物使いの事務所に声をかけると、そのまま王様の元に連れていかれました。
「おお、シーリーン、シーリア、すまぬな」
「王様、状況はどのように」
「トランガの町を襲った連中のなかに、メリア王国の王子がいたらしいのだ。
それこそがトランガ襲撃の確たる証拠でもあるのだが、連中は王子を殺されたと主張するのみで、こちらの話に応じようとはしないらしい」
「ひどい話ですね」
「こちらとしても、20人以上が殺害された以上引くつもりはない。
だが、あちらが応じぬ以上、武力行使もやむを得ぬところだが、こちらから打って出るのは得策ではない。
向こうから仕掛けさせるべく、ガルドたちが挑発している状況だ」
「私たちはどうすれば?」
「ガルドの屋敷に滞在してほしいところだが、メリア王国に最も近いのはトランガの町だ。
メリア王国から直接ここに攻撃を仕掛けると、トランガとリントに横から攻撃される形になる。
一方でリントの町の東には、メリア王国の町メルトがある。
トランガには兵を500送ってあるが、リントにはまだ増員していない。
リントは馬で2日、トランガまでは馬で4日という距離的な問題もあるからな。
どうであろう、リントで待機してくれぬか」
「セイレーンとミーなら、リントまで1日です。
それに、町の兵力で攻めてくるなら、私たちの増援だけでなんとかなるのではないかと。
自分の町ですからね。もし危なくなったらピー助を飛ばしますから増援をお願いします」
「ああ、何があっても、お前たちを見捨てることはない。頼んだぞ」
私たちはリントの町に向かいます。
懐には、領主ハンス・リンチンに宛てた王の親書があります。
「なんだか、すごい久しぶりな気がする」
「そうね。一年くらい帰ってない感じがするけど、実際は三か月くらいよ」
「ピー助とチョロリは腹パンを覚えたし、ミーちゃんは毛玉モード使えるようになったけど、私は成長してないな」
「セイレーンも空中を駆けられるようになったし、レオンは増えたけど、結婚はどんどん遠ざかっていく気がするわ。
王様とは普通に喋れてるし……」
「そういえば、魔物が増えてるみたいだよ。ピー助とチョロリが頻繁に腹パンやってるし」
「そうね。町に着いたら周辺を掃除してもらおうか」
「ただいま。兄さまは?」
「領主様の元へ、打ち合わせに出られております」
「ちょうどよかったわ。私達も領主様のところにいくから、この子の世話をお願い。
名前はレオン。太陽の光に弱いから、あまり外に出さないで。
それと、ガネーシャに近づけないで。お願いよ」
「かしこまりました」
私たちは領主様の館に向かいます。
「ピー助、チョロリ、町の周りをチェックしてくれる。未登録の魔物がいたら退治しておいてね」
ピー、ピュリー
すぐに領主邸へ到着します。
門番も顔見知りだったようで、顔パスです。
応接室の前で取次をお願いすると、執事がドアをノックして室内に声をかけます。
「領主様、シーリーン・アートランド様がお見えです」
「なに、シーリーンが。入ってくれ」
「失礼いたします。
ハンス様、ご無沙汰をしております。
これなるは、姪のシーリア・アートランドにございます」
「おお、よく来てくれた。
私は領主のハンス・リンチンです。隣は兵士長のザルツ・ザイール。
二人の噂は聞いてますよ。
この国一番の魔物使い、アートランド姉妹とね。
君がシーランの娘ですか。ああ、目元がそっくりだ」
「お母さまをご存じなのですか」
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