稀代の魔物使い

モモん

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第Ⅱ章 二人旅

キメラ討伐に

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「なに!特級の魔物使いだと!あれか、シーリーンとその身内とかいう二人連れか」

「はい」

「龍とフォレストキャットも一緒なのか?」

「はい」

「すぐに領主に使いを出せ。
この町にくると思うから、来たら面会したいと連絡があった」



ギルマスと話していたら、領主が到着したと連絡が入りました。

「シーリーン・アートランドでございます」
「シーリア・アートランドです」

「領主のモンチ・デ・カルトです。
急に面会に割り込み申し訳ございません。
実は王都より連絡があり、伝言を頼まれております」

「伝言ですか?」

「はい、現在、国はメリア国に賠償の請求を行っておりますが、状況は思わしくないとのこと。
いつ開戦するか分からない状況なので、できれば王都かシャイリアに留まって連絡のとれる場所にいて欲しいとの事です。
もちろん、シーリーン様のご実家でも構わないそうです」

「開戦ですか、分かりました。
当分は、この町を拠点にして討伐でもいたしましょう」

「そうですか、では、よろしければ当家にご滞在されては如何でしょう」

「いえ、お気遣いは嬉しいのですが、気楽に過ごしたいので宿に泊まります」

「ご希望とあれば仕方ありません。ですが、滞在費用はこちらで負担させていただきます。
王都からその旨指示が出ておりますので」

「……、分かりました。ご厚意に甘えさせていただきます。
その分、働きますから、お困りのことがあれば何なりとお申し付けください」

「困りごとといえば、キメラが群れを作ってしまい、周辺の村で被害が出ております。
町でも討伐隊を編成して向かわせたのですが、魔法が効かず矢も弾かれてしまい苦戦していると連絡が入っております。
ご助力いただけるとありがたいのですが……」

「群れですか、聞いていた話では、キメラはオスばかりで群れることはないと」

「ええ、最近になってメスが出現しました。
そのメスが子を産み、群れになってしまったそうです。
その群れが分裂して、現在では10頭近くの群れがふたつ」

「分かりました。早速討伐に向かいましょう」

「いえ、今日くらいはゆっくりされて……」

「大丈夫です。被害が大きくならないうちに対処しましょう」

だって、キメラ10頭の群れと聞いて、ミーちゃんやチョロリとピー助もソワソワしているんです。
目がキラキラして……ないよね。ミーちゃん、尻尾をブンブン振らないの。ピー助、爪の掃除を人前でしちゃダメだって。
チョロリ、チカラコブ作らないでよ。お願いだから……

領主の退出と同時にミーちゃんが立ち上がります。
待って、宿に戻って着替えないといけないし、場所だって聞いてないんだからね。



「待ってって!セイレーンがついてこれないよ~」

私も必死でミーちゃんにしがみつきます。
ギルドで案内を同行させると言われたけど、断ってよかったです。
だって、馬のついてこられるスピードじゃないですから。

馬で一日と言われた距離を半日で走りました。
セイレーンも何とかついてきています。というか、お姉ちゃんもミーちゃんに乗って、セイレーンはフリーで走っているから当然なんですけどね。

村で休息をとっていた討伐隊に聞くまでもなく、みんな場所が分かったみたいです。
夕方だというのに、4匹とも草原を走ります。ほどなくして、草原からキマイラが飛び立ちます。

私とお姉ちゃんはミーミーから降りて、セイレーンには護衛として残ってもらいます。

放たれた矢というのでしょうか。
翼に穴をあけるどころじゃなく、ピー助とチョロリは胴体に穴をあけていきます。
ミーちゃんは例の空中に足場を作るやりかたで直接キメラに空中戦を挑んでいきます。

ミーちゃんが2頭目を倒したところで、ピー助とチョロリはそれぞれ4頭目を撃墜し、一分ほどの殺戮ショーは終わりました。
なんだかセイレーンも参戦したがっていたみたいだけど、気のせいだよね。
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