稀代の魔物使い

モモん

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第Ⅰ章 修行

死人使い

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「シーリーンよ、お前は皆と一緒に帰れ。
帰って王に事実のみを伝えろ」

「えっ」

その時、外から歓声が聞こえてきました。

「ギルマス!国の応援部隊が到着したようです。
これで、応戦できます!」

ところが、外の歓声が悲鳴が変わります。

「どうした!」

「応援部隊のはずが、町民に襲い掛かっています」

「変です。死んだはずの町民が起き上がって、人を襲っています!」

「まずい、みんな馬に乗れ。馬に乗って逃げるんだ!
リーン、リア、俺たちも逃げるぞ」

「「はい!」」

既に夕暮れ時、暗くなればアンデッドの世界です。

町から脱出できたのは私たちを含めて13人。半分以上は殺されてしまったのでしょうか。

「リア、ニコンに移れ。ミーミーに追っ手を撃退させるんだ」

「ミーちゃん、……追っ手を倒して。お願い」

ミーちゃんに人殺しなどさせたくなかった。
でも、躊躇っていたら私達は殺される……

私はニコンに飛び移りました。ミーちゃんは逆方向に走り去ります。

「ピーちゃん、弓を撃ってくるくる人を倒して!
チョロリは矢が飛んで来たら叩き落して!」

辺りが暗くなり、先生は少し躊躇ってからニコンの角を光らせます。

夜通し走り続けて、明け方近くにやっと休憩します。
ついてこられたのは5人でした。

「先生、何が……」

「応援部隊とやらの中に死人使いがおったんじゃろう。
ひょっとすると、町を襲っていたのもそいつの手先かもしれん。
疲弊したころを見計らって皆殺しにし、一万近くの手駒を集めた」

「何のために……」

「メリア王国内部のクーデターか、それとも周辺国を襲うためか……、それは現時点では不明じゃ」

「ミーちゃん、ピーちゃんごめんね……あんな事をさせてごめんね」

三匹を抱き寄せて泣くことしかできません。

「リア、セイレーンが暗闇でも動けたらよかったのに……」

「リーン、今は何も言うな。
ともかく、今は町へ戻ることだけ考えろ。
みんなも同じだ。少し休んだら出発するぞ」

「……」

それから、片道5日の距離を2日で走り切りました。
私たちは領主に報告に行き、冒険者5人はギルドへ。

「わしとシーリーンは国王に報告に行く。リアは、ニコンと共にこの町に残って襲撃に備えてもらいたいんだが、どうだ?」

私は黙って頷きました。

「先生!今のリアを一人で残すなんて無理です。
行くのであれば、先生おひとりで行ってください」

「そうだな、すまん。判断を誤ったようだ。
わしはヴォルフを連れて王都にいくからお前たち二人で襲撃に備えてくれ。
昼はピー助、夜はリッパーに偵察させろ。
トランザム、昼夜共に見張りを絶やすな。
情勢がはっきりするまでは、常に臨戦態勢だ」

「了解です!」

先生はそのままヴォルフに乗って王都へ向かいました。
私とお姉ちゃんはそのままお風呂に入り、一緒に寝ました。

「無理しないで。辛いときは泣きなさい」

私は大声をあげて泣きました。そしてそのまま眠ってしまったようです。
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