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第Ⅰ章 修行
聖属性の杖
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次のお昼休憩の時、ミーミーちゃんとチョロリは食事もしないでどこかへお出かけしました。
しばらくして戻ってきた二匹は、それぞれ棒を咥えてきたんです。
どちらも同じ種類の木みたいで、両端をかみ切ってありました。
二匹は爪で器用に皮を剥ぎ、むきだしになった期の表面をチョロリが弱いブレスで乾燥させていきます。
何をしているのか何となく理解した私たちは見守るだけです。
一度乾燥させた後で、今度はピー助が咥えてきた青い木の実を踏みつぶして表面をコーティングし、またブレスで乾燥させています。
結局、その日の午後はそれだけで終わってしまいましたが、夕方にはミーちゃんとチョロリから青い杖をプレゼントされたのでした。
1.5mほどの杖は、深い青色をしており、ブルーベリーのような甘酸っぱい香りが仄かにしています。
「ありがとうミーちゃん」 「ありがとうチョロリ」
「お前ら、それが聖属性の杖だって信じてんのか?」
「「もちろん」です」
「三匹が、あれほど興味を示して、これだけの時間をかけたんですから、ただの棒ってことはあり得ませんよ」
「だがなぁ、属性付与武器なんざ、あいつらも言っていたが冒険者が3年飲まず食わずでやっと買えるって代物だぞ」
「従魔との信頼が大切だって、先生も言ってたじゃないですか!」
「言ったさ!だけどよう、従魔が武器を作るなんて話、噂ですら聞いたことがねえぞ。
それによう、何でおれだけこんな貧弱なんだ?」
そう、ミーちゃんの咥えてきた棒は少し長めで、ミーちゃんが50cmほど切り落としたのです。
それも一緒に加工してくれたので、先生の分もあったんです。50cmの棒ですけど。
先生の不安と不満は、二日後の野営で解消されました。
その日、食事も終えて眠りについた私たちはミーちゃんに起こされました。
どうやら夜襲されたようです。いえ、まだ襲われていませんから、夜襲されようとしていたが正解です。
少し離れた場所からヌチャヌチャ、ペタペタと音がします。
「離れるなよ。ミーミーとセイレーンは対応できるようなら行かせろ。チョロリは防衛だ。
リッパーはやれるようならやれ。
杖は、効果あるか分らんから、過信するなよ」
「「はい」」
「ミーちゃん、行ける?」
「ミー」と返事をして暗闇に飛び込んでいきます。
ネコ科は暗闇でも行動できるんです。
「セイレーン、見える範囲で対応して!」
木の間からゾンビやマミーが姿を見せます……が、両腕がありませんし、数もまばらです。
「ミーちゃん、処置済みだから、杖の効果を確認しろって事ね」
「わかった。行きます!」
姉さんの突きでゾンビが頽れます。
軽く叩くだけでマミーが倒れます。かすめただけでスケルトンがバラバラになります。
「掠るだけでいいのか、これなら武術にも秀でているワシにはこの長さがちょうどいいわい。
ん、なんじゃニコン、じっとしておれ。
どうした?棒に角なんぞこすりつけて……」
その瞬間、ニコンの角が淡く光りだしました。
「なんじゃ?」
10mほど、光の届く範囲の魔物が崩れていき、土になってしまいます。
「聖魔法か……」
ニコンは周囲を走り回り、残っている魔物をせん滅していきます。
「一角獣、ユニコーンは聖獣じゃと言われておってのう。
じゃが、ニコンは臆病だから、これまで戦闘には出さなかったのじゃが、聖属性の杖に触発されたか……」
「セイレーンも杖に爪をこすりつけてきて、そしたらマミーも一撃でしたわ」
「聖属性を付与できる杖なんぞ聞いたこともないわい」
ニコンの放つ光は、太陽の光を受けるまで消えませんでした。
しばらくして戻ってきた二匹は、それぞれ棒を咥えてきたんです。
どちらも同じ種類の木みたいで、両端をかみ切ってありました。
二匹は爪で器用に皮を剥ぎ、むきだしになった期の表面をチョロリが弱いブレスで乾燥させていきます。
何をしているのか何となく理解した私たちは見守るだけです。
一度乾燥させた後で、今度はピー助が咥えてきた青い木の実を踏みつぶして表面をコーティングし、またブレスで乾燥させています。
結局、その日の午後はそれだけで終わってしまいましたが、夕方にはミーちゃんとチョロリから青い杖をプレゼントされたのでした。
1.5mほどの杖は、深い青色をしており、ブルーベリーのような甘酸っぱい香りが仄かにしています。
「ありがとうミーちゃん」 「ありがとうチョロリ」
「お前ら、それが聖属性の杖だって信じてんのか?」
「「もちろん」です」
「三匹が、あれほど興味を示して、これだけの時間をかけたんですから、ただの棒ってことはあり得ませんよ」
「だがなぁ、属性付与武器なんざ、あいつらも言っていたが冒険者が3年飲まず食わずでやっと買えるって代物だぞ」
「従魔との信頼が大切だって、先生も言ってたじゃないですか!」
「言ったさ!だけどよう、従魔が武器を作るなんて話、噂ですら聞いたことがねえぞ。
それによう、何でおれだけこんな貧弱なんだ?」
そう、ミーちゃんの咥えてきた棒は少し長めで、ミーちゃんが50cmほど切り落としたのです。
それも一緒に加工してくれたので、先生の分もあったんです。50cmの棒ですけど。
先生の不安と不満は、二日後の野営で解消されました。
その日、食事も終えて眠りについた私たちはミーちゃんに起こされました。
どうやら夜襲されたようです。いえ、まだ襲われていませんから、夜襲されようとしていたが正解です。
少し離れた場所からヌチャヌチャ、ペタペタと音がします。
「離れるなよ。ミーミーとセイレーンは対応できるようなら行かせろ。チョロリは防衛だ。
リッパーはやれるようならやれ。
杖は、効果あるか分らんから、過信するなよ」
「「はい」」
「ミーちゃん、行ける?」
「ミー」と返事をして暗闇に飛び込んでいきます。
ネコ科は暗闇でも行動できるんです。
「セイレーン、見える範囲で対応して!」
木の間からゾンビやマミーが姿を見せます……が、両腕がありませんし、数もまばらです。
「ミーちゃん、処置済みだから、杖の効果を確認しろって事ね」
「わかった。行きます!」
姉さんの突きでゾンビが頽れます。
軽く叩くだけでマミーが倒れます。かすめただけでスケルトンがバラバラになります。
「掠るだけでいいのか、これなら武術にも秀でているワシにはこの長さがちょうどいいわい。
ん、なんじゃニコン、じっとしておれ。
どうした?棒に角なんぞこすりつけて……」
その瞬間、ニコンの角が淡く光りだしました。
「なんじゃ?」
10mほど、光の届く範囲の魔物が崩れていき、土になってしまいます。
「聖魔法か……」
ニコンは周囲を走り回り、残っている魔物をせん滅していきます。
「一角獣、ユニコーンは聖獣じゃと言われておってのう。
じゃが、ニコンは臆病だから、これまで戦闘には出さなかったのじゃが、聖属性の杖に触発されたか……」
「セイレーンも杖に爪をこすりつけてきて、そしたらマミーも一撃でしたわ」
「聖属性を付与できる杖なんぞ聞いたこともないわい」
ニコンの放つ光は、太陽の光を受けるまで消えませんでした。
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