稀代の魔物使い

モモん

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序章 出会い

モフモフのルール

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「上級で登録しておけ」

ザワザワザワッ!

「ギ、ギルマス!」

「面知れえじゃねえか。
これだけ注目を集めてるのに、三匹とも平然としてやがる。
つまり、意識するような対象がいねえってことだ。
俺を含めてな」

「ギルマスよりも強ええってのか」

「いや、勘違いするな。殺意を見せれば警戒するだろうし、一対一なら……鳥くれえは……」

ギン!ピー助の首筋あたりの羽毛が逆立ちました。

「うぉっ!みろこの手を、冷や汗でビッチョリだよ。
これがブルーファルコンかよ。しかも成体じゃねえって、こんなの従魔にできるやつがいるもんかよ。
さっきやってみたんだが、そこのネコなんか俺が威嚇しても無視だぞ……
龍なんざ、怖くて手出しできねえっての。下手なことして怒らせてみろ、町が滅ぶぞ……」

「さすがギルマス。賢明なご判断です」

「ああ、上級魔物使いで決定な。
それから、みんなに言っておく。この嬢ちゃんに手を出すなよ。
お前らの命だけじゃなくって、家族・親族・友人・知人にまで被害が及ぶと考えろ。いいな!」

「「「う、ういっす」」」

「あっギルナス、それからですね、私も目的を叶えることができましたので、後任が決まりましたら辞めさせていただきます。
これまでありがとうございました」

「まて!現役のお前だからみんな言うことを聞くし、ホールで騒ぐやつもいないんだ。
前みたいに婆さんや素人に替わってみろ、その瞬間に俺の手間が倍になる!」

「だって、大切な姪っ子の面倒をみないと……」

「それは、俺が何とかする!なっなっ、だから辞めるな、いや、辞めないでくれ……
そうだ、今日はその子の服とか装備とか買いに行けばいい。
もう上がっていいぞ」


そんな事がありまして、無事冒険者および魔物登録が終わりました。
ミーミーちゃんもピー助もチョロリも、体の一部が銀色に変わっています。
銀色の変化というのは、従魔登録をやった術者よりも遥かに格上の従魔だった時に起こる現象だそうです。

町中を歩いても、それほど目立ったり警戒されることはありません。
ミーミーちゃんは獰猛な感じはなく、長毛種なのでどちらかと言うとモコモコでモフモフです。
声もミーって可愛く鳴くので、子供に気づかれると大変そうです。

「ミー……」 お腹が空いたかな、でもね、今の声を聴いた子供たちがキョロキョロしているので無視して歩き続けます。

「あっと、どうしたお腹でもすいたのかい」

リーン姉さんが声をかけてしまいました。

「ミー」 これは肯定の鳴き方です。

子供たち数名が、モフモフと敵意のない可愛い「ミー」を関連付けてしまいました。
当然、女の子です。

「モフモフしていいですか?」 「なでてもいいですか?」 「触っていいですか」

大丈夫かとは聞いてきません。女の子は本能で理解しちゃうんです。危険はないって。

「じゃあ、そこの串焼きを食べる間ね」とリーン姉さんが応えます。

魔物使いが少しでも滞在する町では、半生の串焼きを用意しているんだそうです。
最初三人だったのが、五人に増え十人・十五人……
子供だけではありません。お姉さんやおばさんまで混ざっています。
大人たちは串焼きを買って追加(時間延長)します。それがこの町のルールで、男はダメなんだそうです。

「普通は、人が増えてきたり時間が長くなると嫌がって逃亡するんだけど、ミーミーは平然としているわね」

「一緒に寝てるから、慣れてる」

「目がブルーなんですね、かわいいです」

人の場合、ブルーアイズというのは瞳がブルーなのだけど、ミーミーは白目の部分が水色なんです。


「ふーっ、ミーミーの人気は凄いわね。でも、安心して。ああした串焼きの店とか、買い物中の店先だけよ。
それ以外では声をかけないってルールがあるの」

「ん、安心」

「でも、イヌ系の毛質と違ってネコ系の毛は柔らかいのよね。
しかも、大型で長毛種なんて珍しいし、ミーミーはもうアイドルよ」

「私もうれしい」
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