7人のメイド物語

モモん

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第八章 家族

第136話 武力

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 数か月後、ナイルから急な報せが届いた。
 どうやら、アッシェルが火薬を使ったらしいのだ。

「タウ、どうしたらいい。」
「大丈夫ですよ。俺がアッシェルに行ってきますから。」
 パメラ王女が怯えている。
 この不安は取り除いてやらなければならない。
「聞いた限りのものなら、俺でも作ることができます。」
 そう、黒色火薬程度なら硝石と硫黄・木炭を配合するだけだ。
 成分比は覚えていないが、その程度は問題ない。
 それに、魔法の方が遥かに効率がいいからだ。
 魔法で代用できないのは、打ち上げ花火くらいだろう。

「今回の訪問は、事前に通知してやりましょう。」
「な、なんでじゃ。」
「その間に、相手を大幅に上回るものを作って見せつけてやろうと思います。」
「できるのか?」
「まあ、火薬の効果が大きく見えるのは、その音も影響するんだよね。」
「ああ、確かに空が割れるほどの音だったと聞いたぞ。」
 花火を直近で見ればわかるが、破裂音は空気を震わせる。
 あれが、自分に向かって来たのなら、恐怖心は大きいだろう。

 アッシェルへの通知を書いた俺は、一度国に戻った。
「さて、どうするかな。」
 真似して爆弾を作るつもりはない。
 一歩間違えれば暴発しかねないからだ。
 それでも、見くびられないために、タル一つ分の黒色火薬は作っておいた。

「バズーカの威力をあげるだけで効果あるかな……。」
 爆発するものといえば、火薬・天然ガス・ガソリン・粉塵・水素あたりだろうか。
 それに匹敵する威力なら、隕石・火山・地震・雷・竜巻くらいかな。
「局所的に影響を限定するなら、やっぱり高所からの落石だよな。いや、待てよ……熱はどうだろうか。」

 熱を発生させるのは魔法でできるが、威力の部分は火球の大きさであり温度を制御する変数ではなかった。
 俺は火魔法の使い手に協力してもらい、3日かけて温度を制御する変数を発見した。
 さらに、射出型ではなく、相対座標を指定して加熱することも可能となった。

 半月後、俺はシノブと二人でアッシェルを訪れた。
 対応に出たのは、副国王のミロと名乗った脂ぎった男だった。
「で、なんの用だ。」
「爆発する粉を開発されたようなので、確認をと思いまして。」
「ふん、アッシェルの実力を恐れて傘下に入りたいというわけか。」
「いえ、その程度のものはこちらにもあるんですが、どの程度のものか興味がありまして。」
「嘘をつくな。ナイルでそのようなものが使われたという報告は入っておらんぞ。」
 俺は収納から火薬を詰めた樽を取り出した。
「これが、俺たちの中で火薬と呼んでいるものですが。いかがですか?」

「どうせ、ただの炭の粉であろう。」
「まあ、確かに炭の粉も含まれていますけどね。」
「うっ……。」
「疑うのであれば火をつけて確認してみますか?」
 俺は小さじいっぱい程度を皿にとり、相手の前に差し出した。
「おい、外で確認してこい!」
 副国王は、同席していた男に支持を出す。

 俺は樽を収納に戻した。
「もし、火薬が無差別攻撃に使われた場合、こちらは全力で報復を行います。」
「強がりをいうな。」
「強がりかどうか、試してみればいいでしょう。」

 先ほどの男が戻ってきて、耳元でささやいている。
 副国王の顔が、それと分かるほど変化した。
「確認がとれたようですね。」
「ああ。わが国で開発したものと同じもののようだ。」
「こちらが火薬を使わないのは、それ以上の攻撃手段があるということです。」
「これ以上だと!」
「ええ。無関係なものまで巻き込む爆発ではなく、狙った箇所だけを無力化する手段を複数持っています。」
「それだけの力があるなら、なぜ示さない。」
「武力では世界を統一しても意味がないことを知っているからですよ。」

【あとがき】
 ちょっと体調がすぐれないので、不定期になると思います。ごめんなさい。
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みんなの感想(1件)

一方通行/やまもんきー

面白かったです!主人公が諦めずにリハビリして、体を治していき、国の貢献をする,,,
憧れますねw
何でこんなに面白いのに感想が一件もないんだろうと思いながら感想を書いてますw
更新楽しみに待ってます!頑張ってください!!!
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