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第七章 動物の園
第128話 モルゴン
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ゴールデンレトリーバーなども考えたが、一旦様子を見ようと思う。
俺はフランス・ドイツを超えて北上していく。
このあたりには小さな村しかなかった。
その先にあったロシアに相当する地域には大きな町があった。
トガというその町は、ロマノ帝国の一部だといい、現在内陸部の騎馬民族から攻撃を受けているといった。
現代史におけるモンゴルのチンギスハーンだろうか。
モンゴルにもロシアにも良いイメージを持っていない俺は、それ以上の接触をやめた。
あとは、モンゴルがどこまで影響を強めているかになる。
モンゴルが南下してくれば、フォン王国にも当然影響する。
西にあるアルジャバがどうなっているかも心配であった。
内陸部を東に進んでいくと、モンゴルはたしかに隣接する多くの国と戦をしているようだった。
友好国に影響しない限り、介入するつもりはないのだが。
思っていた通り、アルジャバはモンゴルからの侵攻を受けていた。
俺はアルジャバ王都の城に向かい、第3王子ジャミールへの面会を衛兵に伝えた。
そう、ソフィアに婚約を申し入れ、戦を仕掛けてきたあいつだ。
「その顔を忘れてはいないぞ。フォンのタンだったな。」
「そんな旨そうな名前じゃない。タウだ。」
「何の用だ、俺も忙しい身だ手短に頼む。」
「戦に手を貸してやろうか。」
「戦?モルゴンとのか。」
「北の騎馬民族はモルゴンというのか。」
「ああ、奴らは駆け引きに長けている。撤退したように見せて、深追いしたところを返り討ちにする。うちの兵も何度かやられている。」
「そうみたいだな。西のロマノ帝国まで攻め込んでいる油断のできない強国だ。」
「知らん国だな。だが、お前が手を貸す必要はないだろう。」
「アルジャバが負けたる、次はフォンだからな。」
「我が国が、あの程度の奴らに負けるわけがない。」
「東の海沿いからも進軍してきているぞ。いくつかある小国を飲み込んで2つの攻撃軸を作られたら厳しいだろう。」
「くっ、恐れていた事態が本当に……。」
「だから手を貸すと言っている。」
「フォンの兵士を国に入れるわけにはいかん。」
「いや、手を貸すのは俺だけだ。」
「なあ、タウ。」
「なに?」
「さっきから、こいつが胸を触ってくるんだが、ぶった切ってもいいか?」
「好きにしていいぞ。」
「お、おい!ぶっそうな女だな。いいじゃねえか、胸を触るくらい……。」
「だめだ。俺のモンだからな。」
「お前には王女がいるだろう。」
今、俺たちはジャミールを乗せて前線に向かっている。
「しかし、本当に空を飛ぶとはな……。」
「タウに不可能はない。世界中の国が集まった同盟の代表だからな。」
「なんだ、それは?」
「平和を志向する国を集めて同盟を結んだんだ。」
「そんなところまで進めていやがったのかよ……。」
「まあ、ソフィアの夫として、それなりの立場に成りあがらないとな。」
「それが、国王を飛び越えて世界の王かよ……。」
やがて俺たちは最前線の上空に到達した。
「ああ、上から見ると戦力の差が一目でわかるな……。」
「谷に誘いこんだことで、数の有利さは消しているがな。じゃあ、俺たちはここを蹴散らしたら東の処理に向かうから、こっちは任せるぞ。」
「ああ、東は任せた。」
ジャミールを降ろして俺たちは上空からの攻撃に移行する。
例によって、岩の爆弾とバズーカの掃射だ。
敵側の本部らしい密集地と、前線への岩投下。十分に敵の兵力を削り、撤退を始めたところで、俺たちは東に移動する。
このタイミングでジャミールが追撃の部隊を繰り出す手はずになっていた。
【あとがき】
久しぶりのジャミール登場です。第四章以来ですね。
俺はフランス・ドイツを超えて北上していく。
このあたりには小さな村しかなかった。
その先にあったロシアに相当する地域には大きな町があった。
トガというその町は、ロマノ帝国の一部だといい、現在内陸部の騎馬民族から攻撃を受けているといった。
現代史におけるモンゴルのチンギスハーンだろうか。
モンゴルにもロシアにも良いイメージを持っていない俺は、それ以上の接触をやめた。
あとは、モンゴルがどこまで影響を強めているかになる。
モンゴルが南下してくれば、フォン王国にも当然影響する。
西にあるアルジャバがどうなっているかも心配であった。
内陸部を東に進んでいくと、モンゴルはたしかに隣接する多くの国と戦をしているようだった。
友好国に影響しない限り、介入するつもりはないのだが。
思っていた通り、アルジャバはモンゴルからの侵攻を受けていた。
俺はアルジャバ王都の城に向かい、第3王子ジャミールへの面会を衛兵に伝えた。
そう、ソフィアに婚約を申し入れ、戦を仕掛けてきたあいつだ。
「その顔を忘れてはいないぞ。フォンのタンだったな。」
「そんな旨そうな名前じゃない。タウだ。」
「何の用だ、俺も忙しい身だ手短に頼む。」
「戦に手を貸してやろうか。」
「戦?モルゴンとのか。」
「北の騎馬民族はモルゴンというのか。」
「ああ、奴らは駆け引きに長けている。撤退したように見せて、深追いしたところを返り討ちにする。うちの兵も何度かやられている。」
「そうみたいだな。西のロマノ帝国まで攻め込んでいる油断のできない強国だ。」
「知らん国だな。だが、お前が手を貸す必要はないだろう。」
「アルジャバが負けたる、次はフォンだからな。」
「我が国が、あの程度の奴らに負けるわけがない。」
「東の海沿いからも進軍してきているぞ。いくつかある小国を飲み込んで2つの攻撃軸を作られたら厳しいだろう。」
「くっ、恐れていた事態が本当に……。」
「だから手を貸すと言っている。」
「フォンの兵士を国に入れるわけにはいかん。」
「いや、手を貸すのは俺だけだ。」
「なあ、タウ。」
「なに?」
「さっきから、こいつが胸を触ってくるんだが、ぶった切ってもいいか?」
「好きにしていいぞ。」
「お、おい!ぶっそうな女だな。いいじゃねえか、胸を触るくらい……。」
「だめだ。俺のモンだからな。」
「お前には王女がいるだろう。」
今、俺たちはジャミールを乗せて前線に向かっている。
「しかし、本当に空を飛ぶとはな……。」
「タウに不可能はない。世界中の国が集まった同盟の代表だからな。」
「なんだ、それは?」
「平和を志向する国を集めて同盟を結んだんだ。」
「そんなところまで進めていやがったのかよ……。」
「まあ、ソフィアの夫として、それなりの立場に成りあがらないとな。」
「それが、国王を飛び越えて世界の王かよ……。」
やがて俺たちは最前線の上空に到達した。
「ああ、上から見ると戦力の差が一目でわかるな……。」
「谷に誘いこんだことで、数の有利さは消しているがな。じゃあ、俺たちはここを蹴散らしたら東の処理に向かうから、こっちは任せるぞ。」
「ああ、東は任せた。」
ジャミールを降ろして俺たちは上空からの攻撃に移行する。
例によって、岩の爆弾とバズーカの掃射だ。
敵側の本部らしい密集地と、前線への岩投下。十分に敵の兵力を削り、撤退を始めたところで、俺たちは東に移動する。
このタイミングでジャミールが追撃の部隊を繰り出す手はずになっていた。
【あとがき】
久しぶりのジャミール登場です。第四章以来ですね。
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