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第七章 動物の園
第126話 ベルナール
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俺は世界平和同盟:WPA(world peace alliance)の代表として、地中海の周辺国に圧力をかけておいた。
ほとんどの国が、弱小国が集まったところで、自国の軍隊に敵うものかという態度がありありと見て取れたからだ。
「アイラ、適当にそこいらのものを壊してやってくれ。」
「了解。」
ほとんどの国で、城を取り囲む塀をバズーカで破壊した。
「これ、塀の賠償です。」
小麦一袋を提供して賠償にあてた。
まあ、相手が壊せるものなら壊してみろと挑発してきたからやったのであるが。
「同盟国に侵略行為があった場合、俺は予告なしでその国の城を破壊します。そうですね、1時間くらいで。」
「ば、馬鹿な……。我が国の軍隊を相手にできると思っておるのか!」
「軍隊なんか相手にしませんよ。空の上から大きな岩を20個くらい落とすだけです。」
「そんなものを飛ばせるわけが無いだろう!」
「別に飛ばしたりしないですよ。俺の特殊能力で……。」
俺は小ぶりな岩を収納から取り出してテーブルをつぶしてやる。
「こんな感じです。これの3倍くらい大きいやつを、100メートル上空から落とすだけです。まあ、船なら一撃で沈めてみせますよ。」
まあ、ほとんどの国で、このようなやりとりがあったわけだ。
地中海沿岸の国を回り終えて、俺はナイルに戻ってパメラを降ろした。
「次はどこに向かうのじゃ。」
「この北にも国があると思うからね、そっちに行ってみる。」
「同盟に入れるかどうかの見極めじゃな。侵略の可能性がある国は、今回のように脅してまわる……。」
「運河のPRもしてきたが、あんなに怯えさせて申し入れに来るかのう。」
「彼らにとって、周辺国は力が拮抗してるからね。勢力を伸ばすなら小国を狙うしかないんだよ。」
「そんなものかのう……。」
俺はパメラと分かれて地中海を飛び越え、アルプスに向かった。
「アイラ、速度を落として、低空で飛んでくれ。」
「こんなところで何を探すんだ?あっ、もしかしてアタイとエッチなことをする場所を探してるのか!アタイなら飛空艇の中でもいいぞ。」
「いや、そういうのは間に合っている。」
なるべく道沿いに飛んでもらうと、小さな村が目に入った。
騒ぎにならないよう、少し離れた場所に着陸し、歩いて村に向かう。
村に近ずくと、ウォンウォンと野太い鳴き声が聞こえた。
「ビンゴだ!」
「なにが?」
村に入ると、子供とじゃれあう”そいつ”がいた。
「クマ!……じゃねえよな。」
「ああ、あれが探していた犬なんだ。」
「イヌだと!あのでかいのが……。」
「子供なら上に乗って遊ぶこともできる。セントバーナードだ。」
幸いなことに、子犬も何頭かいた。
「これは、どこの家の犬なんだい?」
「えっ?」
問いかけた子供はわけが分からないという感じでキョトンとしている。
近くにいた夫人に聞いたところ、犬は個人の所有物でなく、村で共有しているらしい。
俺は村長の家を教えてもらい、交渉を開始する。
「突然の訪問、申し訳ございません。」
「どこから来なすったんだい。」
「地中海の向こうにあるナイルという国からです。」
「そんな遠くから、こんな山奥まで、何しにきおった。」
「犬を探しに来ました。」
「犬?外にいるベルナールのことか……。」
どうやらセントバーナードのことらしい。
「はい。大人でも子供でもかまいません。譲っていただけませんか?」
「譲らんこともないが、対価は?」
「小麦でも砂糖でも、ご希望にお応えできます。」
俺は収納について説明したうえで、小麦と砂糖を一袋ずつ村長の前に出した。
「もし、道具が必要でしたら、暖房器具もあります。」
俺は冷暖房送風機を取り出した。
【あとがき】
いやあ、やっと犬編スタートです。
ほとんどの国が、弱小国が集まったところで、自国の軍隊に敵うものかという態度がありありと見て取れたからだ。
「アイラ、適当にそこいらのものを壊してやってくれ。」
「了解。」
ほとんどの国で、城を取り囲む塀をバズーカで破壊した。
「これ、塀の賠償です。」
小麦一袋を提供して賠償にあてた。
まあ、相手が壊せるものなら壊してみろと挑発してきたからやったのであるが。
「同盟国に侵略行為があった場合、俺は予告なしでその国の城を破壊します。そうですね、1時間くらいで。」
「ば、馬鹿な……。我が国の軍隊を相手にできると思っておるのか!」
「軍隊なんか相手にしませんよ。空の上から大きな岩を20個くらい落とすだけです。」
「そんなものを飛ばせるわけが無いだろう!」
「別に飛ばしたりしないですよ。俺の特殊能力で……。」
俺は小ぶりな岩を収納から取り出してテーブルをつぶしてやる。
「こんな感じです。これの3倍くらい大きいやつを、100メートル上空から落とすだけです。まあ、船なら一撃で沈めてみせますよ。」
まあ、ほとんどの国で、このようなやりとりがあったわけだ。
地中海沿岸の国を回り終えて、俺はナイルに戻ってパメラを降ろした。
「次はどこに向かうのじゃ。」
「この北にも国があると思うからね、そっちに行ってみる。」
「同盟に入れるかどうかの見極めじゃな。侵略の可能性がある国は、今回のように脅してまわる……。」
「運河のPRもしてきたが、あんなに怯えさせて申し入れに来るかのう。」
「彼らにとって、周辺国は力が拮抗してるからね。勢力を伸ばすなら小国を狙うしかないんだよ。」
「そんなものかのう……。」
俺はパメラと分かれて地中海を飛び越え、アルプスに向かった。
「アイラ、速度を落として、低空で飛んでくれ。」
「こんなところで何を探すんだ?あっ、もしかしてアタイとエッチなことをする場所を探してるのか!アタイなら飛空艇の中でもいいぞ。」
「いや、そういうのは間に合っている。」
なるべく道沿いに飛んでもらうと、小さな村が目に入った。
騒ぎにならないよう、少し離れた場所に着陸し、歩いて村に向かう。
村に近ずくと、ウォンウォンと野太い鳴き声が聞こえた。
「ビンゴだ!」
「なにが?」
村に入ると、子供とじゃれあう”そいつ”がいた。
「クマ!……じゃねえよな。」
「ああ、あれが探していた犬なんだ。」
「イヌだと!あのでかいのが……。」
「子供なら上に乗って遊ぶこともできる。セントバーナードだ。」
幸いなことに、子犬も何頭かいた。
「これは、どこの家の犬なんだい?」
「えっ?」
問いかけた子供はわけが分からないという感じでキョトンとしている。
近くにいた夫人に聞いたところ、犬は個人の所有物でなく、村で共有しているらしい。
俺は村長の家を教えてもらい、交渉を開始する。
「突然の訪問、申し訳ございません。」
「どこから来なすったんだい。」
「地中海の向こうにあるナイルという国からです。」
「そんな遠くから、こんな山奥まで、何しにきおった。」
「犬を探しに来ました。」
「犬?外にいるベルナールのことか……。」
どうやらセントバーナードのことらしい。
「はい。大人でも子供でもかまいません。譲っていただけませんか?」
「譲らんこともないが、対価は?」
「小麦でも砂糖でも、ご希望にお応えできます。」
俺は収納について説明したうえで、小麦と砂糖を一袋ずつ村長の前に出した。
「もし、道具が必要でしたら、暖房器具もあります。」
俺は冷暖房送風機を取り出した。
【あとがき】
いやあ、やっと犬編スタートです。
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