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第七章 動物の園
第115話 白黒のアレ
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俺はジャニスに周辺の土地買収を頼んだのだが、すでに敷地の外側に広大な範囲の土地を購入済みとのことだった。
やはり頼れる執事は違う。
俺は、そこにコアラ用のドーム球場並みの建物を建ててユーカリを植え付けた。
そしてその周辺に動物を収容する施設をいくつか作った。
その他に、飛空艇用増設ユニットを作成し、動物を運搬できるようにした。
「さて、準備はできたな。」
職場に事情を話したところ、国民の喜ぶ施設なんだからと背中を押してもらえた。
職場の期待に応えるためにも頑張らないといけない。
「まずは、あれだよな。」
王国から北に飛んで、山中を捜索する。丸一日探して親子連れのそれを見つけた。
白と黒の特徴的なクマ、パンダである。
スリープで眠らせて増設ユニットに取り込んだ。
周辺の竹林を収納に取り込んで家に戻った。
「主、何ですかそれは!」
「アハハッ、信じられないだろうが、れっきとしたクマだよ。」
「タウ、そんなクマ、聞いたことがないぞ。」
パンダ舎は空調付きの建屋だ。
そのに竹林を入れてパンダを放す。
「そうだ、冒険者ギルドに依頼を出して、ウサギやキツネを捕獲してもらうか。」
「ウサギとキツネだけでいいのか?」
「この国だと、ほかに何がいるんだ?」
「そうだな、シカとイノシシ。ヤギにヒツジ、トラ・クマ・オオカミあたりかな。」
全部まとめてアイラに依頼を出してもらった。
「ほかに、動物園で人気なのは……アレだよな。」
俺は少し南に飛んだ。
幸い、ゾウはすぐに発見できたのだが……、さすがに檻に入れて飛ぶのは無理だよな。
俺は輸送用の船を作って、高速艇で引っ張っていくことにした。
ゾウの親子連れである。
ゾウを収容スペースに入れた翌日、俺は城へ出社した。
飼育体制を整えなければいけないからだ。
「タウ、楽しそうなことをしていると聞いたが?」
「あっ、ちょうどよかったです。陛下と一緒に視察をお願いできませんか?」
「なんのだ?」
「世界のいろいろな動物を子供たちに見せたいんです。」
「動物だと?」
「ええ。身近な動物もいますけど、世界には思いもよらない動物がいるんです。動物を通して、子供たちが世界に目を向けてくれたらいいなって思いまして。」
「それなら、王妃とエレーヌにも見せたほうがよさそうだな。」
「えっ、王妃とお母さんまで……。」
視察は二日後に決まった。
女性が来るのなら、コアラは必須だよな。
翌日、早速コアラマに飛んで、コアラを30匹捕まえてきた。
これだけじゃ、ちょっとインパクトに欠けるか……。
俺は意を決してナフサ王国に最高速で飛んだ。
海岸線を南下すると、目的のものに遭遇できた。
多分、フンボルトペンギンだ。
スリープで眠らせて50匹確保し、また最高速で引き返した。
専用の展示舎を急造してペンギンを放してやる。
ここでは、ガラス越しに泳いでいる姿も見せるようにした。
翌日、城から飛空艇で上空から見てもらった後で、各展示舎を案内する。
「ここは、コアラマ王国のコアラ舎になります。」
「コアラ。なんて可愛いのかしら。」
「性格も穏やかで、抱くことも可能です。」
「これは、私へのお土産ね!そうに決まっているわ。」
「これ、王妃よ。」
「残念ながら、コアラはここにあるユーカリの葉しか食べられません。」
「分かったわ。ここに、私の別邸を建てましょう。」
「お姉さま、気持ちは分かりますが、子供のための施設ですよ。」
何とか王妃からコアラを引き離して次の施設に向かった。
「私はコアラ舎だけで十分よ。」
「まあまあ、ここはパンダ舎です。一応クマなので猛獣となっています。」
「どこにクマがいるのよ。ヌイグルミしか……えっ、動いてる。」
【あとがき】
コアラとパンダだけでも人が集まりそうですね。
やはり頼れる執事は違う。
俺は、そこにコアラ用のドーム球場並みの建物を建ててユーカリを植え付けた。
そしてその周辺に動物を収容する施設をいくつか作った。
その他に、飛空艇用増設ユニットを作成し、動物を運搬できるようにした。
「さて、準備はできたな。」
職場に事情を話したところ、国民の喜ぶ施設なんだからと背中を押してもらえた。
職場の期待に応えるためにも頑張らないといけない。
「まずは、あれだよな。」
王国から北に飛んで、山中を捜索する。丸一日探して親子連れのそれを見つけた。
白と黒の特徴的なクマ、パンダである。
スリープで眠らせて増設ユニットに取り込んだ。
周辺の竹林を収納に取り込んで家に戻った。
「主、何ですかそれは!」
「アハハッ、信じられないだろうが、れっきとしたクマだよ。」
「タウ、そんなクマ、聞いたことがないぞ。」
パンダ舎は空調付きの建屋だ。
そのに竹林を入れてパンダを放す。
「そうだ、冒険者ギルドに依頼を出して、ウサギやキツネを捕獲してもらうか。」
「ウサギとキツネだけでいいのか?」
「この国だと、ほかに何がいるんだ?」
「そうだな、シカとイノシシ。ヤギにヒツジ、トラ・クマ・オオカミあたりかな。」
全部まとめてアイラに依頼を出してもらった。
「ほかに、動物園で人気なのは……アレだよな。」
俺は少し南に飛んだ。
幸い、ゾウはすぐに発見できたのだが……、さすがに檻に入れて飛ぶのは無理だよな。
俺は輸送用の船を作って、高速艇で引っ張っていくことにした。
ゾウの親子連れである。
ゾウを収容スペースに入れた翌日、俺は城へ出社した。
飼育体制を整えなければいけないからだ。
「タウ、楽しそうなことをしていると聞いたが?」
「あっ、ちょうどよかったです。陛下と一緒に視察をお願いできませんか?」
「なんのだ?」
「世界のいろいろな動物を子供たちに見せたいんです。」
「動物だと?」
「ええ。身近な動物もいますけど、世界には思いもよらない動物がいるんです。動物を通して、子供たちが世界に目を向けてくれたらいいなって思いまして。」
「それなら、王妃とエレーヌにも見せたほうがよさそうだな。」
「えっ、王妃とお母さんまで……。」
視察は二日後に決まった。
女性が来るのなら、コアラは必須だよな。
翌日、早速コアラマに飛んで、コアラを30匹捕まえてきた。
これだけじゃ、ちょっとインパクトに欠けるか……。
俺は意を決してナフサ王国に最高速で飛んだ。
海岸線を南下すると、目的のものに遭遇できた。
多分、フンボルトペンギンだ。
スリープで眠らせて50匹確保し、また最高速で引き返した。
専用の展示舎を急造してペンギンを放してやる。
ここでは、ガラス越しに泳いでいる姿も見せるようにした。
翌日、城から飛空艇で上空から見てもらった後で、各展示舎を案内する。
「ここは、コアラマ王国のコアラ舎になります。」
「コアラ。なんて可愛いのかしら。」
「性格も穏やかで、抱くことも可能です。」
「これは、私へのお土産ね!そうに決まっているわ。」
「これ、王妃よ。」
「残念ながら、コアラはここにあるユーカリの葉しか食べられません。」
「分かったわ。ここに、私の別邸を建てましょう。」
「お姉さま、気持ちは分かりますが、子供のための施設ですよ。」
何とか王妃からコアラを引き離して次の施設に向かった。
「私はコアラ舎だけで十分よ。」
「まあまあ、ここはパンダ舎です。一応クマなので猛獣となっています。」
「どこにクマがいるのよ。ヌイグルミしか……えっ、動いてる。」
【あとがき】
コアラとパンダだけでも人が集まりそうですね。
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