120 / 142
第六章 海の先
第114話 コアラマ王国
しおりを挟む
「このコロコロはおとなしいんじゃない。元気がないんだ。」
「えっ?」
「サーチで確認したが、内臓に炎症がある。後ろ足も変だな。脱臼じゃないかな。」
「そんな……。」
「具合が悪いから安静にしているだけで、治ったら元気に走り回るんじゃないかな。」
「でも……。」
「それに、ネコは夜行性だから夜になったら暴れまわると思うよ。」
「……。」
「店主、どうなんだい?」
「そ、それは……。」
「病気のコロコロを、おとなしいと偽って販売するなんて悪質だな。午後から国王との面談があったから、訴えてやろう。」
「お許しください!」
こうしてソフィアはコロコロを格安で手に入れた。
言い値で買ってもよかったのだが、こういう悪質なものは見過ごせない。
俺はすぐに治療を施し、今はソフィアに抱かれて眠っている。
「名前はどうするんだい?」
「ココがいいかなって。」
「ソフィアの好きにすればいい。」
ココは頭がよかった。
トイレもすぐに覚えたし、自分の主が誰なのか理解しているようだった。
外出する時には俺の肩に乗り、部屋に帰るとソフィアの膝でくつろいでいる。
俺たちはナフサでの滞在を終えてコアラマ王国に向かった。
おそらくオーストラリアのような位置関係だから、とりあえず西に向かって飛行する。
適当な島で一泊しようと思ったが、恐竜の島だったり、巨大な鳥のいる島だったりで、結局インドネシアの辺りまで飛行して睡眠をとった。
そこから南を目指すと、すぐに赤い大陸にたどり着いた。
王都は大陸の南側だと教えられ、俺たちは東側を回って王都にたどり着いた。
コアラマ王国では、造船と魔導推進機に関する協定を締結し、造船の段階から推進機取り付けのための下準備を行うこととなりました。
そのため、事前に魔導線1トンを提供することも決まり、俺は早速用意して提供した。
「そのネコ、とても可愛いですわね。」
「ナフサ王国で手に入れたんですよ。」
先方の王妃様に羨ましがられたが、この国にもコアラという可愛い生き物いるので良かったら持って行ってくれと言われた。
「ですが、コアラにはユーカリの木が不可欠ですよね。」
「よくご存じですわね。」
「ですから、まずはユーカリを根付かせてからですね。」
地球のコアラも、毛皮のための乱獲がなければ十分な数の個体がいたのだ。こうして、好きなだけ持って行ってくれというほどに……。
「こ、こんなに可愛いのに……。」
コアラを見た時のソフィアの反応だ。
「うん。今回はユーカリの木を土ごと持ち帰って、それが根付いたらコアラを迎えに来よう。」
俺は100m四方のユーカリ林を収納に取り込んだ。
「ユーカリが根付いて、コアラを飼育できるようになったら、その施設を国民に解放しましょう。」
「それはいいけど、城の近くにそんな空地あったかな……。」
「我が家の敷地で良いではありませんか。」
「まあ、それしかないよね……。」
ふう、また敷地を買い足す必要がありそうだ……。
それに、コアラだけというわけにもいかないから、ほかの動物も確保しなければいけないだろう。
ゾウとかサイとか……。トラやチーター、ペンギンもいいな。
ジェルボアも欲しいし、パンダはいるんだろうか……。
はあ、今度は動物園の運用か……。
帰国した俺たちは、陛下と宰相に結果を報告した。
「そうか、イカン帝国は滅んだのだな。」
「あれだけ好戦的な民族ですから、仕方ありませんでした。」
「まあ、やむを得んだろう。」
「ですが、許せませんわ。自分だけこのように可愛いネコちゃんを……。」
【あとがき】
次は第7章「動物の園」編になります。
「えっ?」
「サーチで確認したが、内臓に炎症がある。後ろ足も変だな。脱臼じゃないかな。」
「そんな……。」
「具合が悪いから安静にしているだけで、治ったら元気に走り回るんじゃないかな。」
「でも……。」
「それに、ネコは夜行性だから夜になったら暴れまわると思うよ。」
「……。」
「店主、どうなんだい?」
「そ、それは……。」
「病気のコロコロを、おとなしいと偽って販売するなんて悪質だな。午後から国王との面談があったから、訴えてやろう。」
「お許しください!」
こうしてソフィアはコロコロを格安で手に入れた。
言い値で買ってもよかったのだが、こういう悪質なものは見過ごせない。
俺はすぐに治療を施し、今はソフィアに抱かれて眠っている。
「名前はどうするんだい?」
「ココがいいかなって。」
「ソフィアの好きにすればいい。」
ココは頭がよかった。
トイレもすぐに覚えたし、自分の主が誰なのか理解しているようだった。
外出する時には俺の肩に乗り、部屋に帰るとソフィアの膝でくつろいでいる。
俺たちはナフサでの滞在を終えてコアラマ王国に向かった。
おそらくオーストラリアのような位置関係だから、とりあえず西に向かって飛行する。
適当な島で一泊しようと思ったが、恐竜の島だったり、巨大な鳥のいる島だったりで、結局インドネシアの辺りまで飛行して睡眠をとった。
そこから南を目指すと、すぐに赤い大陸にたどり着いた。
王都は大陸の南側だと教えられ、俺たちは東側を回って王都にたどり着いた。
コアラマ王国では、造船と魔導推進機に関する協定を締結し、造船の段階から推進機取り付けのための下準備を行うこととなりました。
そのため、事前に魔導線1トンを提供することも決まり、俺は早速用意して提供した。
「そのネコ、とても可愛いですわね。」
「ナフサ王国で手に入れたんですよ。」
先方の王妃様に羨ましがられたが、この国にもコアラという可愛い生き物いるので良かったら持って行ってくれと言われた。
「ですが、コアラにはユーカリの木が不可欠ですよね。」
「よくご存じですわね。」
「ですから、まずはユーカリを根付かせてからですね。」
地球のコアラも、毛皮のための乱獲がなければ十分な数の個体がいたのだ。こうして、好きなだけ持って行ってくれというほどに……。
「こ、こんなに可愛いのに……。」
コアラを見た時のソフィアの反応だ。
「うん。今回はユーカリの木を土ごと持ち帰って、それが根付いたらコアラを迎えに来よう。」
俺は100m四方のユーカリ林を収納に取り込んだ。
「ユーカリが根付いて、コアラを飼育できるようになったら、その施設を国民に解放しましょう。」
「それはいいけど、城の近くにそんな空地あったかな……。」
「我が家の敷地で良いではありませんか。」
「まあ、それしかないよね……。」
ふう、また敷地を買い足す必要がありそうだ……。
それに、コアラだけというわけにもいかないから、ほかの動物も確保しなければいけないだろう。
ゾウとかサイとか……。トラやチーター、ペンギンもいいな。
ジェルボアも欲しいし、パンダはいるんだろうか……。
はあ、今度は動物園の運用か……。
帰国した俺たちは、陛下と宰相に結果を報告した。
「そうか、イカン帝国は滅んだのだな。」
「あれだけ好戦的な民族ですから、仕方ありませんでした。」
「まあ、やむを得んだろう。」
「ですが、許せませんわ。自分だけこのように可愛いネコちゃんを……。」
【あとがき】
次は第7章「動物の園」編になります。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。


少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く



特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる