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第六章 海の先
第114話 コアラマ王国
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「このコロコロはおとなしいんじゃない。元気がないんだ。」
「えっ?」
「サーチで確認したが、内臓に炎症がある。後ろ足も変だな。脱臼じゃないかな。」
「そんな……。」
「具合が悪いから安静にしているだけで、治ったら元気に走り回るんじゃないかな。」
「でも……。」
「それに、ネコは夜行性だから夜になったら暴れまわると思うよ。」
「……。」
「店主、どうなんだい?」
「そ、それは……。」
「病気のコロコロを、おとなしいと偽って販売するなんて悪質だな。午後から国王との面談があったから、訴えてやろう。」
「お許しください!」
こうしてソフィアはコロコロを格安で手に入れた。
言い値で買ってもよかったのだが、こういう悪質なものは見過ごせない。
俺はすぐに治療を施し、今はソフィアに抱かれて眠っている。
「名前はどうするんだい?」
「ココがいいかなって。」
「ソフィアの好きにすればいい。」
ココは頭がよかった。
トイレもすぐに覚えたし、自分の主が誰なのか理解しているようだった。
外出する時には俺の肩に乗り、部屋に帰るとソフィアの膝でくつろいでいる。
俺たちはナフサでの滞在を終えてコアラマ王国に向かった。
おそらくオーストラリアのような位置関係だから、とりあえず西に向かって飛行する。
適当な島で一泊しようと思ったが、恐竜の島だったり、巨大な鳥のいる島だったりで、結局インドネシアの辺りまで飛行して睡眠をとった。
そこから南を目指すと、すぐに赤い大陸にたどり着いた。
王都は大陸の南側だと教えられ、俺たちは東側を回って王都にたどり着いた。
コアラマ王国では、造船と魔導推進機に関する協定を締結し、造船の段階から推進機取り付けのための下準備を行うこととなりました。
そのため、事前に魔導線1トンを提供することも決まり、俺は早速用意して提供した。
「そのネコ、とても可愛いですわね。」
「ナフサ王国で手に入れたんですよ。」
先方の王妃様に羨ましがられたが、この国にもコアラという可愛い生き物いるので良かったら持って行ってくれと言われた。
「ですが、コアラにはユーカリの木が不可欠ですよね。」
「よくご存じですわね。」
「ですから、まずはユーカリを根付かせてからですね。」
地球のコアラも、毛皮のための乱獲がなければ十分な数の個体がいたのだ。こうして、好きなだけ持って行ってくれというほどに……。
「こ、こんなに可愛いのに……。」
コアラを見た時のソフィアの反応だ。
「うん。今回はユーカリの木を土ごと持ち帰って、それが根付いたらコアラを迎えに来よう。」
俺は100m四方のユーカリ林を収納に取り込んだ。
「ユーカリが根付いて、コアラを飼育できるようになったら、その施設を国民に解放しましょう。」
「それはいいけど、城の近くにそんな空地あったかな……。」
「我が家の敷地で良いではありませんか。」
「まあ、それしかないよね……。」
ふう、また敷地を買い足す必要がありそうだ……。
それに、コアラだけというわけにもいかないから、ほかの動物も確保しなければいけないだろう。
ゾウとかサイとか……。トラやチーター、ペンギンもいいな。
ジェルボアも欲しいし、パンダはいるんだろうか……。
はあ、今度は動物園の運用か……。
帰国した俺たちは、陛下と宰相に結果を報告した。
「そうか、イカン帝国は滅んだのだな。」
「あれだけ好戦的な民族ですから、仕方ありませんでした。」
「まあ、やむを得んだろう。」
「ですが、許せませんわ。自分だけこのように可愛いネコちゃんを……。」
【あとがき】
次は第7章「動物の園」編になります。
「えっ?」
「サーチで確認したが、内臓に炎症がある。後ろ足も変だな。脱臼じゃないかな。」
「そんな……。」
「具合が悪いから安静にしているだけで、治ったら元気に走り回るんじゃないかな。」
「でも……。」
「それに、ネコは夜行性だから夜になったら暴れまわると思うよ。」
「……。」
「店主、どうなんだい?」
「そ、それは……。」
「病気のコロコロを、おとなしいと偽って販売するなんて悪質だな。午後から国王との面談があったから、訴えてやろう。」
「お許しください!」
こうしてソフィアはコロコロを格安で手に入れた。
言い値で買ってもよかったのだが、こういう悪質なものは見過ごせない。
俺はすぐに治療を施し、今はソフィアに抱かれて眠っている。
「名前はどうするんだい?」
「ココがいいかなって。」
「ソフィアの好きにすればいい。」
ココは頭がよかった。
トイレもすぐに覚えたし、自分の主が誰なのか理解しているようだった。
外出する時には俺の肩に乗り、部屋に帰るとソフィアの膝でくつろいでいる。
俺たちはナフサでの滞在を終えてコアラマ王国に向かった。
おそらくオーストラリアのような位置関係だから、とりあえず西に向かって飛行する。
適当な島で一泊しようと思ったが、恐竜の島だったり、巨大な鳥のいる島だったりで、結局インドネシアの辺りまで飛行して睡眠をとった。
そこから南を目指すと、すぐに赤い大陸にたどり着いた。
王都は大陸の南側だと教えられ、俺たちは東側を回って王都にたどり着いた。
コアラマ王国では、造船と魔導推進機に関する協定を締結し、造船の段階から推進機取り付けのための下準備を行うこととなりました。
そのため、事前に魔導線1トンを提供することも決まり、俺は早速用意して提供した。
「そのネコ、とても可愛いですわね。」
「ナフサ王国で手に入れたんですよ。」
先方の王妃様に羨ましがられたが、この国にもコアラという可愛い生き物いるので良かったら持って行ってくれと言われた。
「ですが、コアラにはユーカリの木が不可欠ですよね。」
「よくご存じですわね。」
「ですから、まずはユーカリを根付かせてからですね。」
地球のコアラも、毛皮のための乱獲がなければ十分な数の個体がいたのだ。こうして、好きなだけ持って行ってくれというほどに……。
「こ、こんなに可愛いのに……。」
コアラを見た時のソフィアの反応だ。
「うん。今回はユーカリの木を土ごと持ち帰って、それが根付いたらコアラを迎えに来よう。」
俺は100m四方のユーカリ林を収納に取り込んだ。
「ユーカリが根付いて、コアラを飼育できるようになったら、その施設を国民に解放しましょう。」
「それはいいけど、城の近くにそんな空地あったかな……。」
「我が家の敷地で良いではありませんか。」
「まあ、それしかないよね……。」
ふう、また敷地を買い足す必要がありそうだ……。
それに、コアラだけというわけにもいかないから、ほかの動物も確保しなければいけないだろう。
ゾウとかサイとか……。トラやチーター、ペンギンもいいな。
ジェルボアも欲しいし、パンダはいるんだろうか……。
はあ、今度は動物園の運用か……。
帰国した俺たちは、陛下と宰相に結果を報告した。
「そうか、イカン帝国は滅んだのだな。」
「あれだけ好戦的な民族ですから、仕方ありませんでした。」
「まあ、やむを得んだろう。」
「ですが、許せませんわ。自分だけこのように可愛いネコちゃんを……。」
【あとがき】
次は第7章「動物の園」編になります。
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