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第六章 海の先
第113話 出会い
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午後になって、俺と産業関係のスタッフは港にいた。
「いやあ、ヤポネのショウユというソースがあれ程イカに合うとは思いませんでした。」
「イカだけではありませんぞ。生魚や焼き魚との相性も抜群でしょ。」
どうやら醤油はナフサの人たちにとっても好意的に受け取られそうだ。
桟橋の先で俺は収納から高速艇を取り出した。
「うっ、本当に帆がないんだね。」
「はい。この船の推進力は魔道具だけですからね。」
「外部を金属で覆っているが、これは船体の強化が目的なんですか?」
「はい。波から受ける衝撃もあるんですけど、漂流物や海生生物との衝突も考えられますからね。」
「先端についているのは何ですか?」
「あれは氷の槍を発射する魔道具です。魔物に遭遇することもありますからね。」
いくつかの質問に応えたあとで乗船を促す。
「アイラ、出発して!」
「了解!」
高速艇はスムーズな動きで湾内を進んでいく。
「風もないのに確実に進んでいくのはよいのだが、この程度なのかね。」
「いえ、湾の中では速度を抑えているんですよ。漁船との接触や、こちらのたてる波で迷惑がかからないようにしているんです。」
外洋に出てから少しずつ速度をあげていく。
「確かに早いのだが、驚くほどではないのだな。」
さっきから不満げなのは、漁労課長のサイタンとかいう男だ。
「これ以上速度をあげると、波の抵抗で船が飛び跳ねてしまうんですよ。」
「サイタン課長、先ほどから失礼な発言が多いように思うのですが……。」
「いや、俺は思ったことを正直に言っているだけだ。」
その時、船が急に曲がり、全員が倒れてしまう。
「タウ、何かいる!」
ソフィアの指さす方を見たところ、確かに巨大なヒレが水面に出ており、こちらに向かってくる。
「サメの背びれみたいだな。」
「「サ、サメ!」」
「メ、メガマウスじゃないか!」
「アイラ、速度を上げろ!」
「了解!」
俺は収納からバズーカを取り出して船尾に移動する。
海から出ている背びれに一撃を加えると、サメは水面に鼻先を出した。
「くらえ!」
俺はサメの鼻先に2撃を加え、さらに飛び上がったので腹に連続してバズーカを叩き込む。
20m程のサメが白い腹をさらして浮いている。
「こんなのがいるなんて知らなかったよ。」
「目撃情報も多くありません。ただ、大型の貨物船でもこいつのために沈んだことが報告されています。」
俺はサメを収納に取り込んで港に帰った。
市場でサメを取り出すと、そのサメは金貨100枚で引き取ってもらえた。
さらに、バズーカ2丁を引き渡し、魔導推進機の契約をすると、俺の手元には金貨300枚が入ってきた。
魔導推進機のガードを外してコピーできるようにする代わりに、一機制作する毎に俺に対して料金を支払うというものだ。
俺としては、魔導推進機が普及するのは大歓迎である。
翌日、俺たちは町に繰り出して買い物を楽しんでいる。
「臨時収入があったから、なんでも買ってあげるよ。」
「本当に!うれしい!」
ソフィアは花屋に入って、どれにしようかいろいろと迷っている。
全部買い取ってもいいのだが、そういうものでもないのだろう。あれこれ迷うのも楽しいのだ。
「か、かわいい!」
ソフィアが叫んだその視線の先には、ネコがいた。
店の人に聞くと、コロコロという種類のネコらしい。
「コロコロはめったに捕獲されません。ふつうは気性が荒いのでこんなに人懐っこいのは珍しいんですよ。」
体は少し淡いグレーで、長い尻尾と耳が黒い。目はブルーだった。
コロコロを抱いたソフィアは、上目遣いに言った。
「ダ、ダメかな……。」
【あとがき】
ブルーアイズのネコはかわいいですよね。
「いやあ、ヤポネのショウユというソースがあれ程イカに合うとは思いませんでした。」
「イカだけではありませんぞ。生魚や焼き魚との相性も抜群でしょ。」
どうやら醤油はナフサの人たちにとっても好意的に受け取られそうだ。
桟橋の先で俺は収納から高速艇を取り出した。
「うっ、本当に帆がないんだね。」
「はい。この船の推進力は魔道具だけですからね。」
「外部を金属で覆っているが、これは船体の強化が目的なんですか?」
「はい。波から受ける衝撃もあるんですけど、漂流物や海生生物との衝突も考えられますからね。」
「先端についているのは何ですか?」
「あれは氷の槍を発射する魔道具です。魔物に遭遇することもありますからね。」
いくつかの質問に応えたあとで乗船を促す。
「アイラ、出発して!」
「了解!」
高速艇はスムーズな動きで湾内を進んでいく。
「風もないのに確実に進んでいくのはよいのだが、この程度なのかね。」
「いえ、湾の中では速度を抑えているんですよ。漁船との接触や、こちらのたてる波で迷惑がかからないようにしているんです。」
外洋に出てから少しずつ速度をあげていく。
「確かに早いのだが、驚くほどではないのだな。」
さっきから不満げなのは、漁労課長のサイタンとかいう男だ。
「これ以上速度をあげると、波の抵抗で船が飛び跳ねてしまうんですよ。」
「サイタン課長、先ほどから失礼な発言が多いように思うのですが……。」
「いや、俺は思ったことを正直に言っているだけだ。」
その時、船が急に曲がり、全員が倒れてしまう。
「タウ、何かいる!」
ソフィアの指さす方を見たところ、確かに巨大なヒレが水面に出ており、こちらに向かってくる。
「サメの背びれみたいだな。」
「「サ、サメ!」」
「メ、メガマウスじゃないか!」
「アイラ、速度を上げろ!」
「了解!」
俺は収納からバズーカを取り出して船尾に移動する。
海から出ている背びれに一撃を加えると、サメは水面に鼻先を出した。
「くらえ!」
俺はサメの鼻先に2撃を加え、さらに飛び上がったので腹に連続してバズーカを叩き込む。
20m程のサメが白い腹をさらして浮いている。
「こんなのがいるなんて知らなかったよ。」
「目撃情報も多くありません。ただ、大型の貨物船でもこいつのために沈んだことが報告されています。」
俺はサメを収納に取り込んで港に帰った。
市場でサメを取り出すと、そのサメは金貨100枚で引き取ってもらえた。
さらに、バズーカ2丁を引き渡し、魔導推進機の契約をすると、俺の手元には金貨300枚が入ってきた。
魔導推進機のガードを外してコピーできるようにする代わりに、一機制作する毎に俺に対して料金を支払うというものだ。
俺としては、魔導推進機が普及するのは大歓迎である。
翌日、俺たちは町に繰り出して買い物を楽しんでいる。
「臨時収入があったから、なんでも買ってあげるよ。」
「本当に!うれしい!」
ソフィアは花屋に入って、どれにしようかいろいろと迷っている。
全部買い取ってもいいのだが、そういうものでもないのだろう。あれこれ迷うのも楽しいのだ。
「か、かわいい!」
ソフィアが叫んだその視線の先には、ネコがいた。
店の人に聞くと、コロコロという種類のネコらしい。
「コロコロはめったに捕獲されません。ふつうは気性が荒いのでこんなに人懐っこいのは珍しいんですよ。」
体は少し淡いグレーで、長い尻尾と耳が黒い。目はブルーだった。
コロコロを抱いたソフィアは、上目遣いに言った。
「ダ、ダメかな……。」
【あとがき】
ブルーアイズのネコはかわいいですよね。
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