7人のメイド物語

モモん

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第六章 海の先

第112話 ナフサ王国

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 ヤマの部隊が王都に入る前に、俺たちは上空を低空で旋回して攻撃の来ないことを確認した。
 そうして王都の制圧に入ってもらった。
「アイラだけ来てくれ。シノブたちはさっきの丘で待機。」
「タウ……、私もまいります。」
「ダメだ。危険すぎるし、アイラひとりで二人のフォローはできないんだよ。」
「……。」
 
 俺とアイラはもう一台の飛空艇でヤマ軍と合流し、ともに徒歩で王都に入っていく。
 ヤマ軍は、肌の白い者を片っ端から拘束している。
 白い肌は、海を超えてやってきた民族の特徴だ。
 ソフィアたちフォン王国の人たちは青白い肌が特徴なのだが、イカンの白人はやや赤みのある白人だ。

 そうやって町を制圧し、いよいよ城に入っていく。
 俺は岩や石材を片っ端から収納に取り込んでいった。
 死体・けが人はヤマの兵士が広場に運び出してくれる。
「やっぱり兵士以外の死体も多いな。」
「仕方ないだろ。戦争とはそういうものだ。」
「まあね。」
「お前は兵士じゃないから、こんなのに慣れる必要はない。巻き込まれた人を哀れに思う気持ちは持ち続けておけよ。」
「ああ。ありがとう。」

 片づけを進めていくと、地下に続く階段がいくつか現れた。
「申し訳ないけど、地下も調べておいてくださいね。」
「承知いたしました。」
 分隊長さんだったかが手際よく指示を出してくれる。
 最後に収納した石を一か所に積み上げて俺の仕事は終わった。
 広場にいくと、何かもめていた。皇族としての待遇を要求するとか叫んでいる男がいる。
「ああ、そいつ次期皇帝とか言ってた奴ですよ。」
「では、何か処遇が必要でしょうか?」
「どうでしょう、戴冠前なので、関係ないと思いますよ。例えば、身代金とか出してくれる後ろ盾があるなら検討してもいいと思いますけどね。」

 こうしてイカン帝国は滅んだ。
 俺たちは露店で売っていたフルーツなどを買い込んでイカンを後にした。

 次の目的地はナフサ王国である。元の世界でいうとペリーからブラジルあたりの国みたいだ。
 上空から見るとよく分かるが、国土の7割程がジャングルで、1割が山脈。1割が農地で、残る1割に人が住んでいるようだ。

「ナフサはどういう国なんでしょうか?」
「漁業が中心ですね。魚や貝の加工品が主な産業になります。」
 外務局員が答える。
「それだけではあまり外貨を稼げないのではありませんか?」
「それと動物由来の産業ですね。革や毛皮の輸出量が多いですし、動物そのものを輸出するペット産業も好調なようです。」
「花も種類が期待できそうだね。」
「まあ、それは楽しみですわ。」
「それよりも、肩は大丈夫なのか?」
「まだ、少し痛みはあるけど大丈夫だよ。」

 ナフサ王国は大きな都市が一つで、あとは小規模な村しかないようだ。
 しかも城壁などはなく、開けた都市というイメージだった。
 例によって俺たちは少し離れた場所に着陸し、町の中に入っていく。
「活気のある町ですね。」
「うん。開放的な感じだね。」
「まあ、上半身裸の女性も……。」
「うん。プルンプルンしてるね。」
「タウは見てはダメです!」
「これだけ大勢いたら、どうしても見ちゃうよ……。」

 俺たちはひときわ高い建物を目指して進んでいく。
「タウ、本当にお花がたくさん咲いていますわ。」
「そうだね。この国は少しゆっくりしていこうか。」

 城について、一通りスケジュールをこなしていく。
「そういえば、ファン王国では船の推進用魔道具が開発されたと聞いていますが、どのようなものなのでしょうか?」
「最新のものは、風魔法と水魔法を併用しています。よろしければ、実際にお見せできますけど。」
 午後から、推進機を披露することになった。


【あとがき】
 すみません。昨日は体調がすぐれず、お休みさせていただきました。
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