118 / 142
第六章 海の先
第112話 ナフサ王国
しおりを挟む
ヤマの部隊が王都に入る前に、俺たちは上空を低空で旋回して攻撃の来ないことを確認した。
そうして王都の制圧に入ってもらった。
「アイラだけ来てくれ。シノブたちはさっきの丘で待機。」
「タウ……、私もまいります。」
「ダメだ。危険すぎるし、アイラひとりで二人のフォローはできないんだよ。」
「……。」
俺とアイラはもう一台の飛空艇でヤマ軍と合流し、ともに徒歩で王都に入っていく。
ヤマ軍は、肌の白い者を片っ端から拘束している。
白い肌は、海を超えてやってきた民族の特徴だ。
ソフィアたちフォン王国の人たちは青白い肌が特徴なのだが、イカンの白人はやや赤みのある白人だ。
そうやって町を制圧し、いよいよ城に入っていく。
俺は岩や石材を片っ端から収納に取り込んでいった。
死体・けが人はヤマの兵士が広場に運び出してくれる。
「やっぱり兵士以外の死体も多いな。」
「仕方ないだろ。戦争とはそういうものだ。」
「まあね。」
「お前は兵士じゃないから、こんなのに慣れる必要はない。巻き込まれた人を哀れに思う気持ちは持ち続けておけよ。」
「ああ。ありがとう。」
片づけを進めていくと、地下に続く階段がいくつか現れた。
「申し訳ないけど、地下も調べておいてくださいね。」
「承知いたしました。」
分隊長さんだったかが手際よく指示を出してくれる。
最後に収納した石を一か所に積み上げて俺の仕事は終わった。
広場にいくと、何かもめていた。皇族としての待遇を要求するとか叫んでいる男がいる。
「ああ、そいつ次期皇帝とか言ってた奴ですよ。」
「では、何か処遇が必要でしょうか?」
「どうでしょう、戴冠前なので、関係ないと思いますよ。例えば、身代金とか出してくれる後ろ盾があるなら検討してもいいと思いますけどね。」
こうしてイカン帝国は滅んだ。
俺たちは露店で売っていたフルーツなどを買い込んでイカンを後にした。
次の目的地はナフサ王国である。元の世界でいうとペリーからブラジルあたりの国みたいだ。
上空から見るとよく分かるが、国土の7割程がジャングルで、1割が山脈。1割が農地で、残る1割に人が住んでいるようだ。
「ナフサはどういう国なんでしょうか?」
「漁業が中心ですね。魚や貝の加工品が主な産業になります。」
外務局員が答える。
「それだけではあまり外貨を稼げないのではありませんか?」
「それと動物由来の産業ですね。革や毛皮の輸出量が多いですし、動物そのものを輸出するペット産業も好調なようです。」
「花も種類が期待できそうだね。」
「まあ、それは楽しみですわ。」
「それよりも、肩は大丈夫なのか?」
「まだ、少し痛みはあるけど大丈夫だよ。」
ナフサ王国は大きな都市が一つで、あとは小規模な村しかないようだ。
しかも城壁などはなく、開けた都市というイメージだった。
例によって俺たちは少し離れた場所に着陸し、町の中に入っていく。
「活気のある町ですね。」
「うん。開放的な感じだね。」
「まあ、上半身裸の女性も……。」
「うん。プルンプルンしてるね。」
「タウは見てはダメです!」
「これだけ大勢いたら、どうしても見ちゃうよ……。」
俺たちはひときわ高い建物を目指して進んでいく。
「タウ、本当にお花がたくさん咲いていますわ。」
「そうだね。この国は少しゆっくりしていこうか。」
城について、一通りスケジュールをこなしていく。
「そういえば、ファン王国では船の推進用魔道具が開発されたと聞いていますが、どのようなものなのでしょうか?」
「最新のものは、風魔法と水魔法を併用しています。よろしければ、実際にお見せできますけど。」
午後から、推進機を披露することになった。
【あとがき】
すみません。昨日は体調がすぐれず、お休みさせていただきました。
そうして王都の制圧に入ってもらった。
「アイラだけ来てくれ。シノブたちはさっきの丘で待機。」
「タウ……、私もまいります。」
「ダメだ。危険すぎるし、アイラひとりで二人のフォローはできないんだよ。」
「……。」
俺とアイラはもう一台の飛空艇でヤマ軍と合流し、ともに徒歩で王都に入っていく。
ヤマ軍は、肌の白い者を片っ端から拘束している。
白い肌は、海を超えてやってきた民族の特徴だ。
ソフィアたちフォン王国の人たちは青白い肌が特徴なのだが、イカンの白人はやや赤みのある白人だ。
そうやって町を制圧し、いよいよ城に入っていく。
俺は岩や石材を片っ端から収納に取り込んでいった。
死体・けが人はヤマの兵士が広場に運び出してくれる。
「やっぱり兵士以外の死体も多いな。」
「仕方ないだろ。戦争とはそういうものだ。」
「まあね。」
「お前は兵士じゃないから、こんなのに慣れる必要はない。巻き込まれた人を哀れに思う気持ちは持ち続けておけよ。」
「ああ。ありがとう。」
片づけを進めていくと、地下に続く階段がいくつか現れた。
「申し訳ないけど、地下も調べておいてくださいね。」
「承知いたしました。」
分隊長さんだったかが手際よく指示を出してくれる。
最後に収納した石を一か所に積み上げて俺の仕事は終わった。
広場にいくと、何かもめていた。皇族としての待遇を要求するとか叫んでいる男がいる。
「ああ、そいつ次期皇帝とか言ってた奴ですよ。」
「では、何か処遇が必要でしょうか?」
「どうでしょう、戴冠前なので、関係ないと思いますよ。例えば、身代金とか出してくれる後ろ盾があるなら検討してもいいと思いますけどね。」
こうしてイカン帝国は滅んだ。
俺たちは露店で売っていたフルーツなどを買い込んでイカンを後にした。
次の目的地はナフサ王国である。元の世界でいうとペリーからブラジルあたりの国みたいだ。
上空から見るとよく分かるが、国土の7割程がジャングルで、1割が山脈。1割が農地で、残る1割に人が住んでいるようだ。
「ナフサはどういう国なんでしょうか?」
「漁業が中心ですね。魚や貝の加工品が主な産業になります。」
外務局員が答える。
「それだけではあまり外貨を稼げないのではありませんか?」
「それと動物由来の産業ですね。革や毛皮の輸出量が多いですし、動物そのものを輸出するペット産業も好調なようです。」
「花も種類が期待できそうだね。」
「まあ、それは楽しみですわ。」
「それよりも、肩は大丈夫なのか?」
「まだ、少し痛みはあるけど大丈夫だよ。」
ナフサ王国は大きな都市が一つで、あとは小規模な村しかないようだ。
しかも城壁などはなく、開けた都市というイメージだった。
例によって俺たちは少し離れた場所に着陸し、町の中に入っていく。
「活気のある町ですね。」
「うん。開放的な感じだね。」
「まあ、上半身裸の女性も……。」
「うん。プルンプルンしてるね。」
「タウは見てはダメです!」
「これだけ大勢いたら、どうしても見ちゃうよ……。」
俺たちはひときわ高い建物を目指して進んでいく。
「タウ、本当にお花がたくさん咲いていますわ。」
「そうだね。この国は少しゆっくりしていこうか。」
城について、一通りスケジュールをこなしていく。
「そういえば、ファン王国では船の推進用魔道具が開発されたと聞いていますが、どのようなものなのでしょうか?」
「最新のものは、風魔法と水魔法を併用しています。よろしければ、実際にお見せできますけど。」
午後から、推進機を披露することになった。
【あとがき】
すみません。昨日は体調がすぐれず、お休みさせていただきました。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。


少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く


【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
飯屋の娘は魔法を使いたくない?
秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。
魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。
それを見ていた貴族の青年が…。
異世界転生の話です。
のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。
※ 表紙は星影さんの作品です。
※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる