7人のメイド物語

モモん

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第六章 海の先

第111話 回復

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 どうやら俺は寝ている間に高熱を発したらしい。
 三人が交代で熱を帯びた左肩に濡れたタオルをあてがい、全身の汗をふき取って看病してくれたようだ。
「ありがとうな。三人とも。」
「うん……。よかった……。」
「大丈夫なのか?」
「まだ、安静にしているでござる。」
「ああ。今日一日安静にしてるよ。」

 その日のうちにエル国王を呼んでもらい、俺は告げた。
「イカンを滅ぼすチャンスです。」
「ああ。昨日ソフィア王女から聞いた……。」
「今、兵を出せるとしたらどれくらいですか?」
「せいぜい1000人だな。」
「十分です。敵への攻撃は俺たちが行います。その1000人で、町の制圧をお願いできませんか。」
「……。だが……。」
「皆殺しも可能ですが、元はこの国の民もいるはずです。俺達にはその判断ができません。」
「それを救ってくれるというのかね。」
「まずは南の町を攻めている部隊を叩きます。抵抗してくる間は戦に加わらなくて結構ですが、抵抗がなくなった後の制圧はそちらでお願いします。」
「それならば、ほとんど被害は出ないだろうが、本当に可能なのかね。」
「約束いたします。明日の朝には出発しますので、明日の昼に南の町に兵士が到着できるように調整は可能ですか?」
「馬ならば半日で到着可能だ。明日早朝に出発すれば大丈夫だが、お主たちはどうやって?」
「俺たちの乗ってきた自動馬車は空を飛べます。」
「ああ。昨日戻ってきたときは外に出ていた者が驚いたと言っておったな。」
「あれを使えば、南の町まで1時間でいけます。だから11時に到着すれば昼までには無力化できますよ。」
「どうやるつもりなんだね。」
「弓矢や魔法の届かない上空から魔法を放ちますから、向こうの攻撃を心配せずに蹂躙できるんですよ。」

 南の町の部隊を殲滅したあとは、一気に王都にまで突撃する。
 どの程度の兵力が残っているか分からないが、まあ大した兵力は残っていないだろう。

 翌日、南の町に向かうが、南の町に敵兵はほとんど残っていなかった。
 残っていた兵力を一掃して南の町に味方を迎え入れ、そのまま待機するよう伝えて俺たちはイカン帝国王都に向かった。
 思っていた通り、敵は移動中だった。
 俺たちは上空からバズーカや自動小銃を掃射して壊滅させた。

 一度南の町に戻り、準備が出来次第王都に進行してもらうようお願いして、俺たちは王都へ向かった。

「タウ、無理するなよ。まだ万全じゃないんだから。」
「大丈夫だよ。上からバズーカを打つだけだから。」
 王都上空に到達したが、城は倒壊したままだった。
 それでも、瓦礫の間から、結構な数の矢と魔法が飛んでくる。
「シノブ上昇だ!」
「承知!」
 攻撃の届かない上空に野川田俺たちは射出もとにバズーカを叩き込んでいると、数十分で攻撃は沈黙した。
「少し高度を落として様子を見よう。」
 高度を下げながら城の上空をゆっくりと旋回する。
「これで終わりかな……。」
「タウ、あっちから何か来るわ。」
 ソフィアの指し示す方角を見ると確かに砂埃が舞い上がっていた。
「ナフサ側にいた部隊かな?」
「多分そうだろうね。」
 俺たちが南の方向から向かってくる一団に近づいたところ、いきなり氷魔法で攻撃された。
「イカンの軍隊で間違いないみたいだな。町に入る前に潰しておこう。」
「了解!」
 バズーカを操っていたアイラが応じる。
 援軍と思われる一団も簡単に沈黙させた俺たちは、町から少し離れた小高い丘の上に着陸して援軍を待つことにした。
 こんな少人数で町に入るのは、不意打ちが怖いからだ。
 ヤマの部隊が到着したのは丸一日過ぎてからだった。


【あとがき】
 先住民の男を壊滅するのは、最初の人類がアフリカを出発して以来引き継がれている習性のようです。
 ただ、太古から日本人は共生という方向性を貫いてきており、後から日本にやってきた民族を受け入れてきたようです。
 それがわかるのは、例えば縄文時代の遺跡から人が争うための武器が見つかっておらず、また、そういう痕跡のある骨も見つかっていないからです。
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