7人のメイド物語

モモん

文字の大きさ
上 下
116 / 142
第六章 海の先

第110話 脱出

しおりを挟む
 イカン帝国暫定皇帝フランコ・ビサロとの面会。
 ソフィア単独での面会を断ると、担当者はしぶしぶ俺たちの同行を認めた。

「俺は王女と面会すると言ったはずだが?」
「はっ、申し訳ございません。どうしても同行すると聞かず……。」
「まあいい。だが、ここからは王女との会談だ。余計な者は退席してもらおう。」
「私も王族の一員として、それは承諾できませんね。」
「ふん。国同士が敵対するすることになった場合、お前は責任をとれるのか?」
「陛下より全権を預かっていますからね。当然ですよ。」
「ならば帰って国王に伝えるといい。王女はこのフランコに差し出したので戻って来ないとな。」
「それは聞き捨てなりませんね。彼女は私の妻ですから。」
「ふん、ならばお前を殺せば、この女は俺のものということだな。やれ!」
 ビサロの合図で、横に控えていた兵士が前に出てくる。
 俺は収納からアイラとシノブの武器を取り出して指示をする。

「アイラ、脱出経路の確保!」
「了解!」
「シノブはソフィアのフォローだ!」
「承知!」
 俺はフルアーマーの兵士に対して短針銃を取り出した。今回の事態に備えて事前に作っていたもので、氷の針を打ち出すものだ。
 短針銃を目の隙間めがけて発射する。ワンアクションで50本の針を射出する。
「「グワッ!」」
 フルアーマー2体は倒れて目のあたりを抑えて転げまわっている。
 ビサロは、その様子を見て後ろの壁にあった隙間に逃げ込んでいった。
 俺はソフィアとシノブを伴って部屋の外に出る。
「アイラ!中庭のほうが近い。」
「了解!」
 俺たちはバズーカで兵士を倒しながら中庭に移動し、収納から飛空艇を取り出した。
 その瞬間だった。左の肩に焼けるような痛みが走った。
 見ると、矢が貫通していた。
「「タウ!」」 「主!」
「くっ……シノブ!操縦しろ。アイラ、しんがりを頼む。」
 俺たちは飛空艇に乗り込んで空に逃れた。

「タウ!大丈夫なの!?」
「ア、アイラ、後ろに突き出た矢じりを切ってくれ……。」
「わかった……痛いだろうが我慢しろよ。」
 アイラが切ったのを確認して、矢を一気に引き抜いた。
「……グワッ!」
「クリーン!」 「治癒!」
「……これで、とりあえずは大丈夫だろう。」
「本当に大丈夫なの?」
「ああ、痛みは残っているが、あとで炎症を抑える薬を飲むから大丈夫。」
「タウ、イカンはどうする?」
「潰すに決まってるだろ。とりあえず収納に大岩が50発あるから、上空から落としてやろう。」
「えぐいな……。」
「アイラはバズーカを好きなように打ち込んでくれ。」
「了解!」
「シノブ、城に戻って上空を旋回してくれ。」
「承知!」
「タウ、私は……。」
「ソフィアが手を汚すことは……。」
「イヤッ!」
 ソフィアにもバズーカを渡した。
「魔力切れになる前にやめるんだぞ……。」
「わかっているわよ。」

 20分程度で、城は跡形もなく壊滅できた。
 俺たちは成果の確認をすることなくヤマに向かった。

 傷は治療したが、肉をえぐって貫通した事実は消せない。
 飛空艇の中で炎症止めを飲み、三角巾で腕を吊った俺は疼くような痛みに耐えて安静にしていた。

「どうされたのじゃ!」
 エル国王に心配されたが、ソフィアがすべて受け答えしてくれ、俺は与えられたベッドで眠った。
 多分、発熱すると言い残してあったため誰かが対応してくれるだろう。
 俺は睡眠薬を飲んで眠りに落ちた。


【あとがき】
 戦闘のシーンは、本当に苦手です。なので、さらっと流してます。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

処理中です...