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第六章 海の先
第106話 子種
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「ふう、まさかあんな大騒ぎになるとは……。」
「でも、大将の気持ちもわかりますわ。かつ丼は本当に美味しかったですから。」
「まあ、卵の値段が下がれば、庶民の味になるでしょうから、いいかな。」
「タウさんの開発されたものが、商品化されたものだけじゃないんだって実感しましたわ。」
「大袈裟ですよ。」
「午後は食材ですね。」
「はい。よろしくお願いします。」
俺たちは食材の店をまわり、米・味噌・醤油・乾燥昆布・各種種などを大量に買い込んだ。
「この食材で、また新しい料理が生まれるんですね。」
「そうですね。手始めに親子丼かな。」
「親子……ですか?」
「ええ、地鶏肉と玉ねぎを甘辛く煮込んで、玉子で閉じるんです。最後にネギをパラっとで完成。」
「あっ、いけないよだれが……。」
「あとは、人参とゴボウ・鶏肉を細かく切って薄く味をつけた炊き込みご飯かな。」
「ゴクッ……。」
「醤油が手に入ったから、いろいろな刺身も食べたいですね。そうだ、マルボロがあるから試してみるかな。」
「……白身魚の王様……。生魚を食べるのはこの国だけだと思っていました。」
「そんなことはありませんよ。漁師の町では普通に食べていますから。そうだ、今度マグロ釣りでもチャレンジしてみようかな。」
「赤身魚の王様……。タウさんは本当に美食家なんですね。」
「そんなことはありませんよ。普段の食事は質素なものなんですよ。こういうのって、偶に食べるから美味しいんだって思いませんか?」
「そうですね。毎日贅沢をしていたら飽きちゃうかもしれません。ああ、私もタウさんのような人と結婚できたらなぁ。」
「まだ、これからじゃないですか。」
「残念なことに、女王の候補者は結婚することが許されていないんです。その代わり、女の子を一人だけ産むことが許されているんですよ。」
「生まれたのが男の子だったら?」
「養子に出されて宰相として育てられます。女の子が産まれるまで出産できますが、産めなければ第二の候補者になります。」
「大変なんですね。」
「そうですわ!わたくし、良い方法を思いつきましてよ。タウさんの子を産むっていう方法がありましてよ。」
「えっ?」
「そうすれば、両国の絆は、より深くなりますし、素晴らしいアイデアだと思いませんか?」
「い、いや、僕にはソフィアがいますし……。」
「大丈夫です。子種をいただくだけなら浮気ではありませんから。ソフィアさんの了解が得られれば何の問題もありません。」
まあ、ソフィアが承知するはずないから問題はないだろう。
「タウ、女王様からお申し出があり、タウの子種を提供することになりました。」
「えっ?」
「ただし、それは私が妊娠している期間だけという約束ですから安心してください。」
「い、いやそれは……。」
「妊娠中の交わりは胎児によくない影響を与えるそうです。しかも、その間に男性が浮気をする可能性が非常に高いのだとか。」
「そ、そんなことは……。」
「これは、浮気防止に効果的ですし、両国の友好関係も盤石なものになりますわ。なにより……。」
「な、なにより……?」
「我が家のメイドさんは魅力的な方が多いですからね。」
ギクッ……。
「それに、あくまでも仮の約束です。その時の状況によっては無効となるかもしれませんわ。」
少しホッとした。が、……その夜のソフィアは激しかった……。
【あとがき】
まあ、価値観の違い……。
「でも、大将の気持ちもわかりますわ。かつ丼は本当に美味しかったですから。」
「まあ、卵の値段が下がれば、庶民の味になるでしょうから、いいかな。」
「タウさんの開発されたものが、商品化されたものだけじゃないんだって実感しましたわ。」
「大袈裟ですよ。」
「午後は食材ですね。」
「はい。よろしくお願いします。」
俺たちは食材の店をまわり、米・味噌・醤油・乾燥昆布・各種種などを大量に買い込んだ。
「この食材で、また新しい料理が生まれるんですね。」
「そうですね。手始めに親子丼かな。」
「親子……ですか?」
「ええ、地鶏肉と玉ねぎを甘辛く煮込んで、玉子で閉じるんです。最後にネギをパラっとで完成。」
「あっ、いけないよだれが……。」
「あとは、人参とゴボウ・鶏肉を細かく切って薄く味をつけた炊き込みご飯かな。」
「ゴクッ……。」
「醤油が手に入ったから、いろいろな刺身も食べたいですね。そうだ、マルボロがあるから試してみるかな。」
「……白身魚の王様……。生魚を食べるのはこの国だけだと思っていました。」
「そんなことはありませんよ。漁師の町では普通に食べていますから。そうだ、今度マグロ釣りでもチャレンジしてみようかな。」
「赤身魚の王様……。タウさんは本当に美食家なんですね。」
「そんなことはありませんよ。普段の食事は質素なものなんですよ。こういうのって、偶に食べるから美味しいんだって思いませんか?」
「そうですね。毎日贅沢をしていたら飽きちゃうかもしれません。ああ、私もタウさんのような人と結婚できたらなぁ。」
「まだ、これからじゃないですか。」
「残念なことに、女王の候補者は結婚することが許されていないんです。その代わり、女の子を一人だけ産むことが許されているんですよ。」
「生まれたのが男の子だったら?」
「養子に出されて宰相として育てられます。女の子が産まれるまで出産できますが、産めなければ第二の候補者になります。」
「大変なんですね。」
「そうですわ!わたくし、良い方法を思いつきましてよ。タウさんの子を産むっていう方法がありましてよ。」
「えっ?」
「そうすれば、両国の絆は、より深くなりますし、素晴らしいアイデアだと思いませんか?」
「い、いや、僕にはソフィアがいますし……。」
「大丈夫です。子種をいただくだけなら浮気ではありませんから。ソフィアさんの了解が得られれば何の問題もありません。」
まあ、ソフィアが承知するはずないから問題はないだろう。
「タウ、女王様からお申し出があり、タウの子種を提供することになりました。」
「えっ?」
「ただし、それは私が妊娠している期間だけという約束ですから安心してください。」
「い、いやそれは……。」
「妊娠中の交わりは胎児によくない影響を与えるそうです。しかも、その間に男性が浮気をする可能性が非常に高いのだとか。」
「そ、そんなことは……。」
「これは、浮気防止に効果的ですし、両国の友好関係も盤石なものになりますわ。なにより……。」
「な、なにより……?」
「我が家のメイドさんは魅力的な方が多いですからね。」
ギクッ……。
「それに、あくまでも仮の約束です。その時の状況によっては無効となるかもしれませんわ。」
少しホッとした。が、……その夜のソフィアは激しかった……。
【あとがき】
まあ、価値観の違い……。
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