85 / 142
第四章 婚約者候補
学長エレーヌ
しおりを挟む
翌日、城に出ると、総務局長からお呼びがかかった。
「誰のアイデアだ?」
「僕のです。これ以上の適任者は見当たりません」
「……俺も、同意見だ。
エレーヌから注文がある。王妃と同じ服装を用意してやってくれ」
「ありがとうございます」
こうして学長は決まった。
建物は、城の裏手に俺が立てた。
机と椅子は、アルミの枠を作って、木を充ててもらう。
副学長には、前総務局長のライズリ・ラピス氏で了解を得た。
そろばんと、黒板・白墨も全員分を用意し、希望者の受付が始まった。
最初は、口コミの数名だったのが、5日目になると一気に申し込みが加速した。
一週間で予定の100人が埋まり、これ以降は来年の入学生として受付だけ済ませておく。
そして、入学式を迎える。
「みなさん、こんにちわ」
「「「こんにちわ!」」」
エレーヌ学長の挨拶でスタートした学び舎は、順調に滑りだした。
「すごいです。本当にこんな少人数で……」
「副局長が優秀だからね」
「やめてください。私なんか、各局をまわって候補者を選んできただけですから」
「そこがポイントなんだよ。
この企画がうまくいくかどうかは教師で決まるんだ」
「それよりも学長ですよ。
みんなの意見を聞いて、きっちりと方向性を出してくださる。
適任ですよね」
「ああ、僕の母親だからな」
それだけでは治まらなかった。
教師が各局のOB・OGであるから、出来のよい子はそのまま局に情報が伝わり、今後の採用計画に盛り込まれていくのだ。
たとえ貧しくても、文書の得意な子、計算の得意な子は、この時点で将来への道が開けた。
そして、人当たりのよさや、几帳面な性格も城の文官として重要な要素だ。
何より、2年目で予定している職場実習では、逆指名を可能にしておいたのだ。
「どうですか学び舎の方は」
「もう、生徒の名前を覚えるのが大変よ。
ほら、学長って直接教える訳じゃないから、接点が少ないでしょ。
あっ、そうだ!給食の時に、一度くらいはタウのお店のお菓子を出してあげたいんだけど、どうかしら」
「いいアイデアですね。裕福ではない子供は、食べたことないでしょうから。
じゃ、アルミの器に木のスプーンで、プリンでも御馳走しましょうか」
「それ、きっと喜ぶわ。お願いしていい」
「承知しました、お母さん」
「まあ。ウフフ」
「誰のアイデアだ?」
「僕のです。これ以上の適任者は見当たりません」
「……俺も、同意見だ。
エレーヌから注文がある。王妃と同じ服装を用意してやってくれ」
「ありがとうございます」
こうして学長は決まった。
建物は、城の裏手に俺が立てた。
机と椅子は、アルミの枠を作って、木を充ててもらう。
副学長には、前総務局長のライズリ・ラピス氏で了解を得た。
そろばんと、黒板・白墨も全員分を用意し、希望者の受付が始まった。
最初は、口コミの数名だったのが、5日目になると一気に申し込みが加速した。
一週間で予定の100人が埋まり、これ以降は来年の入学生として受付だけ済ませておく。
そして、入学式を迎える。
「みなさん、こんにちわ」
「「「こんにちわ!」」」
エレーヌ学長の挨拶でスタートした学び舎は、順調に滑りだした。
「すごいです。本当にこんな少人数で……」
「副局長が優秀だからね」
「やめてください。私なんか、各局をまわって候補者を選んできただけですから」
「そこがポイントなんだよ。
この企画がうまくいくかどうかは教師で決まるんだ」
「それよりも学長ですよ。
みんなの意見を聞いて、きっちりと方向性を出してくださる。
適任ですよね」
「ああ、僕の母親だからな」
それだけでは治まらなかった。
教師が各局のOB・OGであるから、出来のよい子はそのまま局に情報が伝わり、今後の採用計画に盛り込まれていくのだ。
たとえ貧しくても、文書の得意な子、計算の得意な子は、この時点で将来への道が開けた。
そして、人当たりのよさや、几帳面な性格も城の文官として重要な要素だ。
何より、2年目で予定している職場実習では、逆指名を可能にしておいたのだ。
「どうですか学び舎の方は」
「もう、生徒の名前を覚えるのが大変よ。
ほら、学長って直接教える訳じゃないから、接点が少ないでしょ。
あっ、そうだ!給食の時に、一度くらいはタウのお店のお菓子を出してあげたいんだけど、どうかしら」
「いいアイデアですね。裕福ではない子供は、食べたことないでしょうから。
じゃ、アルミの器に木のスプーンで、プリンでも御馳走しましょうか」
「それ、きっと喜ぶわ。お願いしていい」
「承知しました、お母さん」
「まあ。ウフフ」
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。

飯屋の娘は魔法を使いたくない?
秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。
魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。
それを見ていた貴族の青年が…。
異世界転生の話です。
のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。
※ 表紙は星影さんの作品です。
※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。


[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる