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第四章 婚約者候補
学長
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「局長……局長!」
「えっ、ああ、僕のことか……ねえ、今まで通りタウって呼んで……」
「何を言ってるんですか、局長は局長です」
総務局から移動して来てくれたのはキャシーだ。
「で、何?」
「組織全体で何人必要で、予算はいくら必要なのか提出しないといけないんですが」
「ああ、初年度は100人を見込んで、教師込みで110人。
一食銅貨1枚として、年間で金貨275枚。
教師の給料が月金貨2枚で、年に金貨240枚。
そろばんなどの諸費用が年金貨100枚。
職員は5人もいれば十分だと思うよ」
「5人で学び舎を立ち上げるんですか!」
「ああ、あと建物と机と椅子か……」
「5人でどうやって……」
「うん、国語担当と算術担当各二人と総括一人。
局長が僕で、副局長がキャシーだね」
「えっ、私が副局長なんですか……無理ですよ」
「僕が局長なんだから、キャシーくらいでちょうどいいよ。
あっ、経理担当が一人で総勢8人だね」
「足りなかったら、他から回してもらうからさ。
とりあえず、これでいってみようよ」
「はあ……」
暫定予算として金貨1000枚が配分された。
「で、教師なんだけど、心当たりは?」
「こちらが、過去5年間に退役されたかたの名簿です。
全部で120名おられます」
「じゃ、キャシーは各局をまわって、子供相手に教えられそうな人をピックアップしてよ。
僕は、王妃に頼みに行ってくるからさ」
「何をお願いするんですか」
「学び舎のトップ。学長先生だよ……
待てよ……王族で、比較的手の空いている人……
子供好きで……いるじゃん!」
俺は、王妃のもとに出向き、このアイデアを伝えた。
「それ、いいと思うわ。ナイスアイデアよ!
本人が渋ったら、私に言いなさいね」
「この度、国で子供の教育を行うことになり、私が初代教育局長に任命されました」
「聞いていますよ。
名誉なことではありませんか」
「初年度は10クラス、100名の生徒を募集するつもりです。
このクラスを受け持っていただける先生を探しているのですが……」
「……まさか、私?無理よ……」
「いえ、その学び舎のトップである学長をお願いしたいと思っています」
「えっ、先生じゃなくて……」
「これは、国の将来を見据えた活動です。
やはり、トップには王族になっていただきたいのです」
「王族……」
「はい。如何でしょう」
「このこと、主人は?」
「話していません」
「一応、相談して決めたいわ……それでいい?」
「結構です。よろしくお願いいたします」
そう、適任者とは俺の母親、エレーヌ・フォンダンその人である。
「えっ、ああ、僕のことか……ねえ、今まで通りタウって呼んで……」
「何を言ってるんですか、局長は局長です」
総務局から移動して来てくれたのはキャシーだ。
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一食銅貨1枚として、年間で金貨275枚。
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「ああ、あと建物と机と椅子か……」
「5人でどうやって……」
「うん、国語担当と算術担当各二人と総括一人。
局長が僕で、副局長がキャシーだね」
「えっ、私が副局長なんですか……無理ですよ」
「僕が局長なんだから、キャシーくらいでちょうどいいよ。
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とりあえず、これでいってみようよ」
「はあ……」
暫定予算として金貨1000枚が配分された。
「で、教師なんだけど、心当たりは?」
「こちらが、過去5年間に退役されたかたの名簿です。
全部で120名おられます」
「じゃ、キャシーは各局をまわって、子供相手に教えられそうな人をピックアップしてよ。
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「何をお願いするんですか」
「学び舎のトップ。学長先生だよ……
待てよ……王族で、比較的手の空いている人……
子供好きで……いるじゃん!」
俺は、王妃のもとに出向き、このアイデアを伝えた。
「それ、いいと思うわ。ナイスアイデアよ!
本人が渋ったら、私に言いなさいね」
「この度、国で子供の教育を行うことになり、私が初代教育局長に任命されました」
「聞いていますよ。
名誉なことではありませんか」
「初年度は10クラス、100名の生徒を募集するつもりです。
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「……まさか、私?無理よ……」
「いえ、その学び舎のトップである学長をお願いしたいと思っています」
「えっ、先生じゃなくて……」
「これは、国の将来を見据えた活動です。
やはり、トップには王族になっていただきたいのです」
「王族……」
「はい。如何でしょう」
「このこと、主人は?」
「話していません」
「一応、相談して決めたいわ……それでいい?」
「結構です。よろしくお願いいたします」
そう、適任者とは俺の母親、エレーヌ・フォンダンその人である。
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