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第四章 婚約者候補
婚約指輪
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「ああ、そういえば王女に婚約指輪を渡してないな……」
「婚約指輪ですか?」
「あれ、この国にはそういう……なんていうかな、婚約の証みたいなものを渡す習慣ってないの?」
「聞いたことがありませんね。
ですが、良いアイデアだと思いますよ」
俺は王家の鉱山の一つにこもって宝石を探す。
一週間かかってやっと四つの石を探すことができた。
透明な石3個とピンクのもの1個。
王女にはピンクの石で作ろう。
ブリリアントカットは58面体だったか……、下は三角で上が台形。
精密機器なんてあるはずもなく、上下を固定して土魔法でカットしていく。
一つ目、二つ目、三つ目でやっとそそれっぽくカットできた。
これは王妃用にしよう。
四つ目、ピンクの石で本番に挑む。
カットの数なんて覚えていないが、できるだけ細かくカットしていく。
「ふう、できたぞ。
これをプラチナの爪付きリングにセットして……化粧箱に入れて完成だ」
多分、100回以上カットしている。
上から見ると、キラキラしている。
翌日、俺はイチゴの生クリームを入れたシュークリームを手土産に王女を訪ねた。
「どうしたの今日は」
「なんとなく、顔が見たかったものですから」
「まあ……」
「はい、これ。イチゴのシュークリームです」
「お店のメニューにないやつね」
カプッ
「イチゴの酸味が利いていて美味しいわ」
「皆さんもどうぞ」
側近にも声をかける。
キャッっと言いながら皆さんが集まってくる。
「ありがとうございます」 「美味しいです」
「それと、姫にはこれを」
「指輪?」
「ええ、僕との婚約を記念してプレゼントです」
「な、なにこれ!」
全員の視線が王女の指に集中する。
「自分で石を探してきてカットしたんです」
「こんな宝石、初めて見た」
「姫様、すごいです」 「キラキラしてます」
「お父さまに見せてきます」
「お父さま、お母さま、見てください」
ソフィアは左手を差し出す。
「まあ、なんでしょうこれは……」
「タウが、婚約に証にってくれたのよ」
「こ、婚約の証……」
うなだれる王妃様。
さすがに、婚約の証を要求することはできないと、観念したようだ。
「将来の母上にもお持ちしましたよ」
ぱあっと王妃の顔が明るくなる。
透明な方の指輪を王妃の中指にはめ、サイズを調整した。
「まあ、なんて綺麗な宝石なんでしょう」
「タウよ、いつもすまんな」
「お二人に仲良く喜んでいただけるのがいちばんですから」
「婚約指輪ですか?」
「あれ、この国にはそういう……なんていうかな、婚約の証みたいなものを渡す習慣ってないの?」
「聞いたことがありませんね。
ですが、良いアイデアだと思いますよ」
俺は王家の鉱山の一つにこもって宝石を探す。
一週間かかってやっと四つの石を探すことができた。
透明な石3個とピンクのもの1個。
王女にはピンクの石で作ろう。
ブリリアントカットは58面体だったか……、下は三角で上が台形。
精密機器なんてあるはずもなく、上下を固定して土魔法でカットしていく。
一つ目、二つ目、三つ目でやっとそそれっぽくカットできた。
これは王妃用にしよう。
四つ目、ピンクの石で本番に挑む。
カットの数なんて覚えていないが、できるだけ細かくカットしていく。
「ふう、できたぞ。
これをプラチナの爪付きリングにセットして……化粧箱に入れて完成だ」
多分、100回以上カットしている。
上から見ると、キラキラしている。
翌日、俺はイチゴの生クリームを入れたシュークリームを手土産に王女を訪ねた。
「どうしたの今日は」
「なんとなく、顔が見たかったものですから」
「まあ……」
「はい、これ。イチゴのシュークリームです」
「お店のメニューにないやつね」
カプッ
「イチゴの酸味が利いていて美味しいわ」
「皆さんもどうぞ」
側近にも声をかける。
キャッっと言いながら皆さんが集まってくる。
「ありがとうございます」 「美味しいです」
「それと、姫にはこれを」
「指輪?」
「ええ、僕との婚約を記念してプレゼントです」
「な、なにこれ!」
全員の視線が王女の指に集中する。
「自分で石を探してきてカットしたんです」
「こんな宝石、初めて見た」
「姫様、すごいです」 「キラキラしてます」
「お父さまに見せてきます」
「お父さま、お母さま、見てください」
ソフィアは左手を差し出す。
「まあ、なんでしょうこれは……」
「タウが、婚約に証にってくれたのよ」
「こ、婚約の証……」
うなだれる王妃様。
さすがに、婚約の証を要求することはできないと、観念したようだ。
「将来の母上にもお持ちしましたよ」
ぱあっと王妃の顔が明るくなる。
透明な方の指輪を王妃の中指にはめ、サイズを調整した。
「まあ、なんて綺麗な宝石なんでしょう」
「タウよ、いつもすまんな」
「お二人に仲良く喜んでいただけるのがいちばんですから」
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