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第四章 婚約者候補
第三王子
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第三王子他12名を捕虜にした件について、書面にして正式に賠償を求めることになった。
請求額は金貨5万枚だ。
兵士1000人に対して、ひとりあたり金貨10枚の特別手当が支給されたが、それも含めた額である。
まあ、あんな鉄の要壁まで作ったのだ。妥当なところだろう。
捕虜の13名は、返答があるまではそれなりの待遇だ。
そして、第三王子が俺との面会を希望しているそうなので、牢まで出向く。
「タウ・フォンダンです。
面会を希望されているとのことなのでまいりました」
「プッ、なんだその面は」
「ドラゴンに焼かれた後遺症です」
「この国の王女は、物好きなのか?」
「僕なんかを選ぶんですから、そうかもしれませんね」
「どう考えても、俺のほうが王配に相応しいと思わんか」
「どうでしょう。相応しいというのは国民がどう思うかですからね」
「民だって、アルジャバとの友好関係のほうがメリットがあるだろう」
「この程度のことで、戦を仕掛けてくる国との友好が、どれほどのものでしょうかね」
「なに!貴様、アルジャバをバカにしているのか!」
「バカになどしていませんよ。
現に、戦には正面から向かいましたしね」
「あれは何なのだ」
「あれとは?」
「とぼけるな、燃える水のことだ!」
「はて、手の内を晒すような真似はいたしませんよ」
「ぐぬ、次相対する時には、対抗手段を考えておくわ」
「次をお考えなら、賠償額を上乗せしないといけませんね」
「待て、いったいいくら請求しているのだ」
「それは、陛下の決定されること。
私など知る由もございません。
私に分かるのは、賠償請求に応じなければ、次の機会など永遠に来ないということです。
まあ、賠償に応じたとして、1000人の兵士をみすみす死なせた殿下に、次の機会が与えられるとも思えませんがね」
こうして、第三王子との面会は終わった。
執念深そうな相手であることは間違いないが、満更バカでもなさそうだ。
次の戦があるとして、正面からくるような愚行は侵さないだろう。
来るとしたら、山越えか川越え。
俺なら、簡単な橋を組み立てて、川を超えるだろう。
その場合、上流から丸太でも流してやるか、仮設のダムでも作るかいろいろな手だてが浮かぶ。
だが、それも賠償に応じたらの話だ。
なんとなく因縁めいたものを感じたのは、俺だけだろうか。
請求額は金貨5万枚だ。
兵士1000人に対して、ひとりあたり金貨10枚の特別手当が支給されたが、それも含めた額である。
まあ、あんな鉄の要壁まで作ったのだ。妥当なところだろう。
捕虜の13名は、返答があるまではそれなりの待遇だ。
そして、第三王子が俺との面会を希望しているそうなので、牢まで出向く。
「タウ・フォンダンです。
面会を希望されているとのことなのでまいりました」
「プッ、なんだその面は」
「ドラゴンに焼かれた後遺症です」
「この国の王女は、物好きなのか?」
「僕なんかを選ぶんですから、そうかもしれませんね」
「どう考えても、俺のほうが王配に相応しいと思わんか」
「どうでしょう。相応しいというのは国民がどう思うかですからね」
「民だって、アルジャバとの友好関係のほうがメリットがあるだろう」
「この程度のことで、戦を仕掛けてくる国との友好が、どれほどのものでしょうかね」
「なに!貴様、アルジャバをバカにしているのか!」
「バカになどしていませんよ。
現に、戦には正面から向かいましたしね」
「あれは何なのだ」
「あれとは?」
「とぼけるな、燃える水のことだ!」
「はて、手の内を晒すような真似はいたしませんよ」
「ぐぬ、次相対する時には、対抗手段を考えておくわ」
「次をお考えなら、賠償額を上乗せしないといけませんね」
「待て、いったいいくら請求しているのだ」
「それは、陛下の決定されること。
私など知る由もございません。
私に分かるのは、賠償請求に応じなければ、次の機会など永遠に来ないということです。
まあ、賠償に応じたとして、1000人の兵士をみすみす死なせた殿下に、次の機会が与えられるとも思えませんがね」
こうして、第三王子との面会は終わった。
執念深そうな相手であることは間違いないが、満更バカでもなさそうだ。
次の戦があるとして、正面からくるような愚行は侵さないだろう。
来るとしたら、山越えか川越え。
俺なら、簡単な橋を組み立てて、川を超えるだろう。
その場合、上流から丸太でも流してやるか、仮設のダムでも作るかいろいろな手だてが浮かぶ。
だが、それも賠償に応じたらの話だ。
なんとなく因縁めいたものを感じたのは、俺だけだろうか。
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