77 / 142
第四章 婚約者候補
第三王子
しおりを挟む
第三王子他12名を捕虜にした件について、書面にして正式に賠償を求めることになった。
請求額は金貨5万枚だ。
兵士1000人に対して、ひとりあたり金貨10枚の特別手当が支給されたが、それも含めた額である。
まあ、あんな鉄の要壁まで作ったのだ。妥当なところだろう。
捕虜の13名は、返答があるまではそれなりの待遇だ。
そして、第三王子が俺との面会を希望しているそうなので、牢まで出向く。
「タウ・フォンダンです。
面会を希望されているとのことなのでまいりました」
「プッ、なんだその面は」
「ドラゴンに焼かれた後遺症です」
「この国の王女は、物好きなのか?」
「僕なんかを選ぶんですから、そうかもしれませんね」
「どう考えても、俺のほうが王配に相応しいと思わんか」
「どうでしょう。相応しいというのは国民がどう思うかですからね」
「民だって、アルジャバとの友好関係のほうがメリットがあるだろう」
「この程度のことで、戦を仕掛けてくる国との友好が、どれほどのものでしょうかね」
「なに!貴様、アルジャバをバカにしているのか!」
「バカになどしていませんよ。
現に、戦には正面から向かいましたしね」
「あれは何なのだ」
「あれとは?」
「とぼけるな、燃える水のことだ!」
「はて、手の内を晒すような真似はいたしませんよ」
「ぐぬ、次相対する時には、対抗手段を考えておくわ」
「次をお考えなら、賠償額を上乗せしないといけませんね」
「待て、いったいいくら請求しているのだ」
「それは、陛下の決定されること。
私など知る由もございません。
私に分かるのは、賠償請求に応じなければ、次の機会など永遠に来ないということです。
まあ、賠償に応じたとして、1000人の兵士をみすみす死なせた殿下に、次の機会が与えられるとも思えませんがね」
こうして、第三王子との面会は終わった。
執念深そうな相手であることは間違いないが、満更バカでもなさそうだ。
次の戦があるとして、正面からくるような愚行は侵さないだろう。
来るとしたら、山越えか川越え。
俺なら、簡単な橋を組み立てて、川を超えるだろう。
その場合、上流から丸太でも流してやるか、仮設のダムでも作るかいろいろな手だてが浮かぶ。
だが、それも賠償に応じたらの話だ。
なんとなく因縁めいたものを感じたのは、俺だけだろうか。
請求額は金貨5万枚だ。
兵士1000人に対して、ひとりあたり金貨10枚の特別手当が支給されたが、それも含めた額である。
まあ、あんな鉄の要壁まで作ったのだ。妥当なところだろう。
捕虜の13名は、返答があるまではそれなりの待遇だ。
そして、第三王子が俺との面会を希望しているそうなので、牢まで出向く。
「タウ・フォンダンです。
面会を希望されているとのことなのでまいりました」
「プッ、なんだその面は」
「ドラゴンに焼かれた後遺症です」
「この国の王女は、物好きなのか?」
「僕なんかを選ぶんですから、そうかもしれませんね」
「どう考えても、俺のほうが王配に相応しいと思わんか」
「どうでしょう。相応しいというのは国民がどう思うかですからね」
「民だって、アルジャバとの友好関係のほうがメリットがあるだろう」
「この程度のことで、戦を仕掛けてくる国との友好が、どれほどのものでしょうかね」
「なに!貴様、アルジャバをバカにしているのか!」
「バカになどしていませんよ。
現に、戦には正面から向かいましたしね」
「あれは何なのだ」
「あれとは?」
「とぼけるな、燃える水のことだ!」
「はて、手の内を晒すような真似はいたしませんよ」
「ぐぬ、次相対する時には、対抗手段を考えておくわ」
「次をお考えなら、賠償額を上乗せしないといけませんね」
「待て、いったいいくら請求しているのだ」
「それは、陛下の決定されること。
私など知る由もございません。
私に分かるのは、賠償請求に応じなければ、次の機会など永遠に来ないということです。
まあ、賠償に応じたとして、1000人の兵士をみすみす死なせた殿下に、次の機会が与えられるとも思えませんがね」
こうして、第三王子との面会は終わった。
執念深そうな相手であることは間違いないが、満更バカでもなさそうだ。
次の戦があるとして、正面からくるような愚行は侵さないだろう。
来るとしたら、山越えか川越え。
俺なら、簡単な橋を組み立てて、川を超えるだろう。
その場合、上流から丸太でも流してやるか、仮設のダムでも作るかいろいろな手だてが浮かぶ。
だが、それも賠償に応じたらの話だ。
なんとなく因縁めいたものを感じたのは、俺だけだろうか。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
飯屋の娘は魔法を使いたくない?
秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。
魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。
それを見ていた貴族の青年が…。
異世界転生の話です。
のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。
※ 表紙は星影さんの作品です。
※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。



[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。


【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる