7人のメイド物語

モモん

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第四章 婚約者候補

アルジャバ

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「主、大変です!」

「どうしたのジャニス」

「それが……、隣国のアルジャバから、ソフィア王女に婚約の申し入れがあったそうです」

「ふうん」

「ふうんって、気にならないんですか」

「だって、王女にとっては、そっちの方が普通でしょ」

「……まあ、いわれてみれば……」

「アルジャバとの関係はどうなの?」

「アルジャバは大国です。
国土も我が国の三倍あって人口は2倍。兵力も2倍です。
我が国との関係でいえば、多少の交易はありますが、そこまで親密というわけでもありません」

「婚約の申し入れを断った場合はどうなるの。
武力で無理やり属国にして、支配するようなことはありそうなのかな」

「それは、シノブに調査させています」

「肝心の婚約者になろうって本人の評判は?」

「そこも調査中ですが、あまり評判はよくないようです」

「そっちの方が問題だよね。
とりあえず、情報収集を急いで。
僕は局長のところに行ってくる」

「承知いたしました」

 俺はミーシャに馬車を出してもらい、城に向かう。

「局長!」

「おお、タウ、来たか」

「アルジャバから王女に婚約の話が来たと聞きまして」

「俺も今聞いたところだ。
情報が早いな」

「その第三王子というのが、あまり評判のよくない人物だと聞きましたので……」

「ああ、そのようだ」

「国としてどうするかは?」

「この後で、緊急会議が開かれる。
そこで議論することになるが……、現状では通達という一方的な申し入れだからな、陛下も憤慨しておられる」

「わかりました。会議が終わるまでは待機しています」

「できれば……、王女のそばにいてやってくれ」

「……王女もご存じなんですね」

「……ああ」

 俺はソフィア王女の私室を訪ねた。

「タウ!」

「大丈夫。何も心配いりませんよ」

「だって……」

「国がどう判断しても、僕は王女の味方ですから」

「ホントに?」

「誓います」

「でも、相手はアルジャバなのよ」

「相手が何であれ心配いりません。大丈夫です」

「だって、断って戦争にでもなったら……」

「そんなことにはなりませんから大丈夫です」

「だって、私……」

 俺はソフィアをやさしく抱いた。
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