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第四章 婚約者候補
孤児院拡張
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「タウよ、孤児院を拡張しているそうだな」
「はい。孤児院に入れないで、廃屋に住み着いている子供たちがいます。
その子たちを孤児院に収容して、雇おうと考えています」
「それほど多いのか」
「それなりの数はいるようです。
どうしても、国の予算で運営していると、目立った投資や贅沢はさせられませんでしたから。
その結果、施設に収容できない子供が増え、男の子は犯罪に走り、女の子は幼い時期から体を売るようになってしまいます」
「ふむ」
「今、体を売っている子も含めて、風呂の事業に取り込みたいと思います」
「総務局長とは?」
「相談いたしました。
国の予算としてこれ以上増やせないのですから、いっそのこと孤児院を自立させてはと」
「できるのか?」
「実現可能です」
「有益な事業だな。できるところまでやってみろ」
「はい」
浮浪児というのは、ほぼ12才以下の子供たちになる。
それ以上ならば、冒険者になって自立できるからだ。
そうした廃屋が見つかれば、子供たちを一斉に摘発する。
その役目は兵士たちにお願いした。
そして、子供たちは一気に100人以上に増えた。
大きな男の子たちは、町の外に出てオイルの元となる実の収集か、水車小屋でオイルの採取だ。
9歳以下の子供は、風呂の掃除と庭の手入れ。
大きな女の子はマッサージか、孤児院で小さな子供の面倒をみる。
だいたいこんな区分けだった。
全員身なりを整え、普通の子供に見えるくらいにする。
そうこうするうちに、保湿や美白の効果をもった新しい木の実が見つかる。
日本でいうオリーブのような実だ。
オイルの量産ができれば、マッサージの人数を増やすこともできるし、花を摘んで香料をブレンドすることも可能だ。
美容事業はいくらでも人手を必要とし、孤児院は国の補助に頼らず自立できるようになった。
「凄いわね。香料をブレンドしたり、新しい木の実を探してくるなんて考えてもみなかったわ」
「でも、マッサージの人数を増やしても、予約は3か月待ちですけどね」
「あら、私の知り合いはみんな、月に2回くらい予約してるわよ」
「えっ、そんなに!」
「だって、確実に綺麗になっていくんですもの。
それにね。やっぱりひいきの子が出てくるのよ。
その子の予約っていうふうに変わってきてるのよ」
「知りませんでした」
「香料のブレンドなんかは、特定の子がやってくれた方がいいのよ」
「……そういう世界なんですね」
「そう、仕掛け人のタウが知らなかったなんて驚きよ。
私のお気に入りはチェルシーよ。
どこかに引き抜かれたりさせないでね」
「はあ……」
「はい。孤児院に入れないで、廃屋に住み着いている子供たちがいます。
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「それほど多いのか」
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その結果、施設に収容できない子供が増え、男の子は犯罪に走り、女の子は幼い時期から体を売るようになってしまいます」
「ふむ」
「今、体を売っている子も含めて、風呂の事業に取り込みたいと思います」
「総務局長とは?」
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国の予算としてこれ以上増やせないのですから、いっそのこと孤児院を自立させてはと」
「できるのか?」
「実現可能です」
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「はい」
浮浪児というのは、ほぼ12才以下の子供たちになる。
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そうした廃屋が見つかれば、子供たちを一斉に摘発する。
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そして、子供たちは一気に100人以上に増えた。
大きな男の子たちは、町の外に出てオイルの元となる実の収集か、水車小屋でオイルの採取だ。
9歳以下の子供は、風呂の掃除と庭の手入れ。
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「でも、マッサージの人数を増やしても、予約は3か月待ちですけどね」
「あら、私の知り合いはみんな、月に2回くらい予約してるわよ」
「えっ、そんなに!」
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「知りませんでした」
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「……そういう世界なんですね」
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「はあ……」
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