7人のメイド物語

モモん

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第四章 婚約者候補

オイルマッサージ

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 俺は王妃に相談に行った。

「風呂からあがったあとで、オイルを使ったマッサージをしたいと思うんです。
もちろん女性限定ですよ」

「どんなオイルなの?」

「ホーバといって、保湿効果のあるオイルです」

「マッサージねえ、でもお風呂がどういうものか知らないからなぁ」

「えっと……、うちに来られます?」

 こうして、王妃と王女を迎えることとなってしまった。

「ジャニス、美白効果のあるオイルって知らない?」

「さあ、漢方で美白というのは使わないですからね」

「やっぱりバラの実を集めるしかないかな」

「バラの実に美白効果があるんですか?」

「うん、検証は必要だけど多分いけると思う」

 俺はミーシャを実験台にしてメイドたちにオイルマッサージのやりかたを説明した。

「ああ、タウ君、気持ちいいです」

「主、湯上りにこの全身マッサージは血行改善に効果があると思います。
それに、ホーバオイルの保湿効果が加われば完璧ですね」

「まだ完璧じゃないんだ。
これに美白効果のあるオイルをブレンドして、初めて完璧といえるんだ」

「あたいがお世話になった孤児院の子供たちに、バラの実を集めさせたらいいと思う」

「うん?イグリッドは孤児院出身なのか」

「そう、国から支援金は出てるけど、結構運営は厳しいみたい。
それに、孤児だと働き口がないんだ」

「女の子も多いの?」

「全部で30人。そのうちの半分は女の子」

「今のマッサージができそうな年齢の子もいるの?」

「……5人いる」

「オイル作りとマッサージ、全部孤児たちに任せられるかな」

「大丈夫だと思う」

 こうして準備は整い王妃と王女をお迎えした。

「楽しみにしてましてよ」

「こちらが、マッサージを担当する子供たちです。
みな孤児ですが、十分練習してきましたので」

「タウ、それって孤児院の子供たちなの?」

「はい。孤児だとなかなか働き口が見つからないそうなので、全員今回のプロジェクトで雇いました」

「それは、王族として良い目の付け所ですわ」

「では、早速お風呂にどうぞ」


「ああ、陛下もおっしゃっていたけれど、なんて気持ちいいんでしょう」

「お母さま、湯に浸かるのがこんなに気持ちいいとは思いませんでした」

 そして全身を洗わせていただき、もう一度湯に浸かってもらう。

「この後がマッサージなのね」

「今日は、特別に美白効果のあるオイルをブレンドしてございます」

 湯からあがっていただき、メイドたちが体を拭く。
そしてバスローブをはおっていただき、室内へご案内する。

「風呂は如何でしたか」

「気持ちよかったわ」

「タウって、なんでこんなことを思いつくの」
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