61 / 142
第四章 婚約者候補
そしてみんな酔いつぶれた
しおりを挟む
「それで、風呂にはどれくらいかかりそうなんだ」
「基本的には自費で作って国に供与したいと思います」
「そんなことが可能なのかね」
「建物部分は魔法で作れますから、職人を雇うのは屋根だけですね。
魔道具も魔石を用意して、魔法局で書き込みしてもらえばお金もかかりません。
運用を始めた後の維持費は国で負担してもらい、基本的には無料で解放できればと思っています」
「無料か、それは素晴らしい。
金のない平民でも自由に使えるんだな」
「そうか、新たに王族となったタウの最初の事業というわけだな」
「はい。
僕の存在を国民に知ってもらうには、またとない機会だと思っています」
「まいったな、俺たちの影がかすみそうだわい」
「いや、タウの名前は全国民が知ってるだろう。
竹ペンに始まって、リバーシ、医療課の功績。
それこそ、子供まで知ってるんじゃないのか」
「そうそう、陛下の名前は知らなくとも、タウの名前は知ってると思うぞ」
「でも、タウ・フォンダンは知られてないですよ」
「まったく、総務局長もとんでもないのを養子に迎えたものだな。
おい、総務局長、寝るには早いぞ」
風呂上がりのアルコールは、意外とまわりが早い。
夕食が終わるころには、全員が酔いつぶれてしまった。
タウは手分けして全員を自宅に送り届けた。
「さて、これで風呂づくりに着手できますね」
「まずは場所を決めることからだね」
「川の近くで適当な場所ですか」
「冒険者ギルドの裏がいいと思うんだ」
「あそこだと、川から結構ありますよ」
「城壁が川まで伸びてるだろ。だから水を水車でくみ上げて、城壁の上に水路を作ってやればいいのさ」
「水車とは?」
「水の力で回しながら、水を汲み上げる装置だよ。
そうだ、ついでにそこで石臼をまわしてやろう」
「そんなことまでできるんですか」
「うん。でも、石臼じゃつまらないか。そうだ、この間教えてもらった肌にいいって実があったよね」
「ホーバですか」
「うん、それの搾り機を作っちゃおう」
「でも、あの実は殻が硬いですよ」
「じゃ、殻を割る装置も一緒にまわしちゃえばいいよ」
「可能なんですか」
「大丈夫。簡単なことだよ」
水車と搾り機、殻割機のスケッチを書いてイグリッドに下準備を頼んでおく。
「お風呂でホーバオイルを売ったら儲かりそうだね。
というか、オイルマッサージもいいかな」
「何ですかそれは」
「風呂上がりに、ホーバオイルを塗りながらマッサージをしてあげるの。
女性なら喜ぶと思うよ」
「基本的には自費で作って国に供与したいと思います」
「そんなことが可能なのかね」
「建物部分は魔法で作れますから、職人を雇うのは屋根だけですね。
魔道具も魔石を用意して、魔法局で書き込みしてもらえばお金もかかりません。
運用を始めた後の維持費は国で負担してもらい、基本的には無料で解放できればと思っています」
「無料か、それは素晴らしい。
金のない平民でも自由に使えるんだな」
「そうか、新たに王族となったタウの最初の事業というわけだな」
「はい。
僕の存在を国民に知ってもらうには、またとない機会だと思っています」
「まいったな、俺たちの影がかすみそうだわい」
「いや、タウの名前は全国民が知ってるだろう。
竹ペンに始まって、リバーシ、医療課の功績。
それこそ、子供まで知ってるんじゃないのか」
「そうそう、陛下の名前は知らなくとも、タウの名前は知ってると思うぞ」
「でも、タウ・フォンダンは知られてないですよ」
「まったく、総務局長もとんでもないのを養子に迎えたものだな。
おい、総務局長、寝るには早いぞ」
風呂上がりのアルコールは、意外とまわりが早い。
夕食が終わるころには、全員が酔いつぶれてしまった。
タウは手分けして全員を自宅に送り届けた。
「さて、これで風呂づくりに着手できますね」
「まずは場所を決めることからだね」
「川の近くで適当な場所ですか」
「冒険者ギルドの裏がいいと思うんだ」
「あそこだと、川から結構ありますよ」
「城壁が川まで伸びてるだろ。だから水を水車でくみ上げて、城壁の上に水路を作ってやればいいのさ」
「水車とは?」
「水の力で回しながら、水を汲み上げる装置だよ。
そうだ、ついでにそこで石臼をまわしてやろう」
「そんなことまでできるんですか」
「うん。でも、石臼じゃつまらないか。そうだ、この間教えてもらった肌にいいって実があったよね」
「ホーバですか」
「うん、それの搾り機を作っちゃおう」
「でも、あの実は殻が硬いですよ」
「じゃ、殻を割る装置も一緒にまわしちゃえばいいよ」
「可能なんですか」
「大丈夫。簡単なことだよ」
水車と搾り機、殻割機のスケッチを書いてイグリッドに下準備を頼んでおく。
「お風呂でホーバオイルを売ったら儲かりそうだね。
というか、オイルマッサージもいいかな」
「何ですかそれは」
「風呂上がりに、ホーバオイルを塗りながらマッサージをしてあげるの。
女性なら喜ぶと思うよ」
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。

飯屋の娘は魔法を使いたくない?
秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。
魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。
それを見ていた貴族の青年が…。
異世界転生の話です。
のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。
※ 表紙は星影さんの作品です。
※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。


[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。


【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる