7人のメイド物語

モモん

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第四章 婚約者候補

風呂を作りたい

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「あらためましてよろしくお願いいたします」

 秋も近くなった日、俺は正式に総務局長シーザ・フォンダン家の養子になった。
手土産には、プリンやクレープなどを詰め合わせて持参した。

「これ、いつものスイーツです」

「悪いな。お前が養子になって一番喜んでいるのは家内とメイドたちみたいだぞ」

「あはは、まず女性を味方につける。
これ、我が家のメイドから教わりました」

「一度、メイド同士の顔合わせもやらんといけないな」

「いつでもお声がけください。
それから、ブラとパンティーを作りますから、ジャニスにサイズを測らせてください」

「おお、例のやつだな。
一応、みんな市販品は買っているようだが、オーダーメイドの下着なら喜ぶだろう」

「服飾ギルドから、色々な生地を分けてもらいましたから最高のものを作ってきますよ」

「しかし、本当に色々な分野と顔つなぎができてるな……」

「はい」

「さて、お前はタウ・フォンダンになったわけだが、変に意識するなよ。
お前はそのままでいいんだから」

「はい、ありがとうございます」

「王族として、何かやってみたいことなどないか?」

「でしたら、公衆浴場を作りたいと思います」

「公衆浴場とはなんだ」

「裸で、湯につかる施設です。
体を温めるのは、血行をよくして、国民の健康につながります」

「よくわからんが、どれくらいの費用が必要だ?」

「とりあえず、建築局長と魔法局長にスタッフをお借りしてやってみますよ」

「わかった、両局長には俺から話しておくから、好きにやってみろ」

「はい」


 まずは、自宅に作った露天風呂に両局長を招いて、どういうものなのか理解してもらう必要がある。

「建築局長、失礼します」

「おお、タウじゃないか。総務局長から話は聞いたが、今度は何を始めるんだ」

「僕の作りたいものがどういうものなのか、実際に体験していただきたいので、半日お時間をいただけませんか」

「面白そうだな。で、どこに行けばいいんだ」

「僕の自宅です」

 こうして、総務局長、建築局長、魔法局長の三人を我が家に招待することになった。
俺はメイドたちと打ち合わせをして、準備を整えていく。
湯上りに使ってもらうバスローブや、酒宴も含めてだ。
特に総務局長は俺の父親になったわけだから、顔をつぶすわけにはいかない。

 日はあっという間に過ぎて、当日を迎えた。
午前中は仕事をしてらい、昼食後に城を出発する。
当然、俺の馬車でだ。
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