48 / 142
第三章 冒険者タウ
大弓
しおりを挟む
Sランクの依頼を確認したところ、サイクロプスという巨人の討伐依頼だった。
現状確認されているのは5体で、ことによるとそれ以上かもしれない。
「これなら楽勝だな」
「応援は呼ばない?」
「問題なしよ」
「じゃ、出発しましょう」
サイクロプスが現れたのは西の遺跡で、馬車で一日のところにある。
俺とアイラ、シノブ、ミーシャの4人は馬車に乗り込んだ。
御者はアイラだ。
「この馬車は本当に揺れないわよね」
「板バネもすごい発明なれど、これは別格でござる」
「特別注文もすごく入ってるんでしょ」
「パーツさえ作っておけば、組み立てと仕上げはイグリッドがやってくれるから楽だよ」
「これって、一度乗ったらもうほかの馬車に乗れないものね」
「王室専用のものは更にすごいでござるよ」
「知ってる。ベッドになるんでしょ」
「あはは、さすがにアレはやりすぎたかな」
「とんでもない。
本当に疲れるのでござるよ。普通の馬車は」
「そうだ、今度局長の奥様にも馬車をプレゼントしよう」
「そこは、局長にでよろしいのでは?」
「うーん、やっぱり奥様ですね」
「どっちでも同じでござるよ」
西の遺跡の手前にある村で一泊し、いよいよ遺跡に入る。
この遺跡は、昔、国であった名残だという。
馬車を収納にしまい、俺たちは遺跡に入っていく。
「シノブ」
「はいよ」
シノブは瓦礫同然の石を起用に上り、状況を伝えてくれる。
「右に2頭、左前方に一頭確認」
「じゃ、右のから片づけるか」
「引き離さなくて大丈夫?」
「2頭程度問題ない」
そういってアイラは飛び出していった。
一頭の足に切り付け、前のめりになったところを首に切り付け絶命させる。
サイクロプスは体高3m以上の巨人だ。こうしないと首に届かない。
オオーッ と、もう一頭が声をあげるが、二頭目も同じようにしとめる。
「声をあげさせちまった、集まってくるぞ」
「左前方の一頭と、その奥から2頭」
「タイミングは?」
「ほぼ同時」
「一頭、足止めできるか?」
「やってみる」
そう言って、シノブは石の上を飛んでいく。
「大丈夫?」
「ああ、問題ない」
俺は、固定式の大弓を収納から引っ張り出して、矢をセットする。
「それは?」
「大弓だよ。
てこの原理で弦を引くから、威力はあると思う」
「てこ?」
「まあ、見ててよ」
現れた二匹が重なるのを待って、発射する。
バシュっと矢……というよりも、木の杭が飛んでいき、二匹を貫いた。
そこをすかさず、アイラがしとめる。
「すげえな、それ」
現状確認されているのは5体で、ことによるとそれ以上かもしれない。
「これなら楽勝だな」
「応援は呼ばない?」
「問題なしよ」
「じゃ、出発しましょう」
サイクロプスが現れたのは西の遺跡で、馬車で一日のところにある。
俺とアイラ、シノブ、ミーシャの4人は馬車に乗り込んだ。
御者はアイラだ。
「この馬車は本当に揺れないわよね」
「板バネもすごい発明なれど、これは別格でござる」
「特別注文もすごく入ってるんでしょ」
「パーツさえ作っておけば、組み立てと仕上げはイグリッドがやってくれるから楽だよ」
「これって、一度乗ったらもうほかの馬車に乗れないものね」
「王室専用のものは更にすごいでござるよ」
「知ってる。ベッドになるんでしょ」
「あはは、さすがにアレはやりすぎたかな」
「とんでもない。
本当に疲れるのでござるよ。普通の馬車は」
「そうだ、今度局長の奥様にも馬車をプレゼントしよう」
「そこは、局長にでよろしいのでは?」
「うーん、やっぱり奥様ですね」
「どっちでも同じでござるよ」
西の遺跡の手前にある村で一泊し、いよいよ遺跡に入る。
この遺跡は、昔、国であった名残だという。
馬車を収納にしまい、俺たちは遺跡に入っていく。
「シノブ」
「はいよ」
シノブは瓦礫同然の石を起用に上り、状況を伝えてくれる。
「右に2頭、左前方に一頭確認」
「じゃ、右のから片づけるか」
「引き離さなくて大丈夫?」
「2頭程度問題ない」
そういってアイラは飛び出していった。
一頭の足に切り付け、前のめりになったところを首に切り付け絶命させる。
サイクロプスは体高3m以上の巨人だ。こうしないと首に届かない。
オオーッ と、もう一頭が声をあげるが、二頭目も同じようにしとめる。
「声をあげさせちまった、集まってくるぞ」
「左前方の一頭と、その奥から2頭」
「タイミングは?」
「ほぼ同時」
「一頭、足止めできるか?」
「やってみる」
そう言って、シノブは石の上を飛んでいく。
「大丈夫?」
「ああ、問題ない」
俺は、固定式の大弓を収納から引っ張り出して、矢をセットする。
「それは?」
「大弓だよ。
てこの原理で弦を引くから、威力はあると思う」
「てこ?」
「まあ、見ててよ」
現れた二匹が重なるのを待って、発射する。
バシュっと矢……というよりも、木の杭が飛んでいき、二匹を貫いた。
そこをすかさず、アイラがしとめる。
「すげえな、それ」
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。


少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。



一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

前世を思い出しました。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。
棚から現ナマ
恋愛
前世を思い出したフィオナは、今までの自分の所業に、恥ずかしすぎて身もだえてしまう。自分は痛い女だったのだ。いままでの黒歴史から目を背けたい。黒歴史を思い出したくない。黒歴史関係の人々と接触したくない。
これからは、まっとうに地味に生きていきたいの。
それなのに、王子様や公爵令嬢、王子の側近と今まで迷惑をかけてきた人たちが向こうからやって来る。何でぇ?ほっといて下さい。お願いします。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる