47 / 142
第三章 冒険者タウ
特別昇格
しおりを挟む
二件目も町からの依頼で、廃墟にすみ着いたオーガだ。
こちらもアイラさんの仕込みが一閃して終わった。
移動と血抜き以外に時間はかかっておらず、俺たちは少し遅めの食事をとってギルドに戻った。
「こ、こんなに早く戻られるなんて、何かトラブルでもありましたか?」
「いえ、二件終わらせてきまっしたよ」
「えっ、いくら何でも早すぎじゃ……」
「うちの主には特別な技があるんだよ。
で、獲物は倉庫で出せばいいのか」
「獲物を出すって、荷車じゃないんですか」
「特別な技って言ったろ。
獲物をしまっておける袋があるんだよ」
「ど、どこにそんな袋が……」
「あー、見えない袋なんです。
実際にお見せしますので、案内していただけますか」
「では、こちらへどうぞ」
案内された倉庫で、ハイイログマとオーガを収納から取り出して見せる。
「えっ、そんな……」
受付嬢は少し待ってといい、ギルマスを呼びにいった。
「すまんな、こいつの言うことが要領を得ないんだが、ほう、ハイイログマとオーガか」
「じゃ、一度しまってから、お出ししますね」
「えっ、ど、どこへいったんだ……」
「出します」
「な、なんだこれは」
「僕だけのオリジナルスキルです。
母さんは、体が不自由な代わりに、神様が授けてくださったんだろうって言ってました」
「重くはないのか?」
「ええ、収納に入れてしまえば重さは感じなくなります」
「こいつは驚いた。
で、どれくらい入るんだ」
「最初は竹ペンくらいだったんですが、今はこの部屋くらい入りますよ」
「獲物を獲ってもそこに入れちまえば次の獲物に向かえるってのかよ。
医師で収納持ち、恐ろしい能力だな」
「じゃ、獲物はここでいいんですね」
「おう。
こりゃあ、ランクの見直しだな。
お前さん、今日からAランクだ。
おい、ギルマス権限の特例手続きを頼むぞ」
「はい、Aランクですね」
「アイラ、明日はSランクを受けてくれ。
ちょうど厄介なのが出てきたんだ」
「いいぜ、どんなのか楽しみだ」
こうして、俺は一日でAランクに昇格した。
「流石は主。一日で目標まで到達されるとは」
「僕は収納で運んだだけなんだけどね」
「あおれで、明日受注するSランクというのは?」
「まだ分かんねえよ。
ギルマスの口ぶりからして、新しいもんだな」
「どうする、増員したほうがいいかい」
「いや、大丈夫だろ。
シノブもいることだし」
「ミーシャ、内容を確認して、応援が必要ならいったん戻ってくれ」
「了解よ」
こちらもアイラさんの仕込みが一閃して終わった。
移動と血抜き以外に時間はかかっておらず、俺たちは少し遅めの食事をとってギルドに戻った。
「こ、こんなに早く戻られるなんて、何かトラブルでもありましたか?」
「いえ、二件終わらせてきまっしたよ」
「えっ、いくら何でも早すぎじゃ……」
「うちの主には特別な技があるんだよ。
で、獲物は倉庫で出せばいいのか」
「獲物を出すって、荷車じゃないんですか」
「特別な技って言ったろ。
獲物をしまっておける袋があるんだよ」
「ど、どこにそんな袋が……」
「あー、見えない袋なんです。
実際にお見せしますので、案内していただけますか」
「では、こちらへどうぞ」
案内された倉庫で、ハイイログマとオーガを収納から取り出して見せる。
「えっ、そんな……」
受付嬢は少し待ってといい、ギルマスを呼びにいった。
「すまんな、こいつの言うことが要領を得ないんだが、ほう、ハイイログマとオーガか」
「じゃ、一度しまってから、お出ししますね」
「えっ、ど、どこへいったんだ……」
「出します」
「な、なんだこれは」
「僕だけのオリジナルスキルです。
母さんは、体が不自由な代わりに、神様が授けてくださったんだろうって言ってました」
「重くはないのか?」
「ええ、収納に入れてしまえば重さは感じなくなります」
「こいつは驚いた。
で、どれくらい入るんだ」
「最初は竹ペンくらいだったんですが、今はこの部屋くらい入りますよ」
「獲物を獲ってもそこに入れちまえば次の獲物に向かえるってのかよ。
医師で収納持ち、恐ろしい能力だな」
「じゃ、獲物はここでいいんですね」
「おう。
こりゃあ、ランクの見直しだな。
お前さん、今日からAランクだ。
おい、ギルマス権限の特例手続きを頼むぞ」
「はい、Aランクですね」
「アイラ、明日はSランクを受けてくれ。
ちょうど厄介なのが出てきたんだ」
「いいぜ、どんなのか楽しみだ」
こうして、俺は一日でAランクに昇格した。
「流石は主。一日で目標まで到達されるとは」
「僕は収納で運んだだけなんだけどね」
「あおれで、明日受注するSランクというのは?」
「まだ分かんねえよ。
ギルマスの口ぶりからして、新しいもんだな」
「どうする、増員したほうがいいかい」
「いや、大丈夫だろ。
シノブもいることだし」
「ミーシャ、内容を確認して、応援が必要ならいったん戻ってくれ」
「了解よ」
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。


少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。



特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる