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第三章 冒険者タウ
アイラさんは強かった
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「熊とオーがははどちらも薬の材料になります」
「熊の胆はわかるけどオーガは?」
「オーガは骨の髄を煮詰めると鬼髄という下痢止めになるんですが、どちらもそのままでは使えませんので、一旦薬局が買い取ります」
「薬局で加工するんだ。知らなかったよ」
「あはは、俺も知らなかったから安心していいぞ」
「シノブさんは?」
「某は一通り学んでおりますので。
それよりも、タウ殿は主なのですから”さん”は余計でござる」
「そうね。私も呼び捨てにしていただきたいですわ」
「えーっ、だってこんな子供だよ」
「子供が爵位などもてませんわ。
爵位もちは、周りが一人前と認めた証でもありますからね」
「わかった。
ミーシャ、アイラ、シノブ……これでいい?」
「「はい」」 「おう」
「ギルドでもそうでしたが、タウ・ワイルズというのは、冒険者でも知っているほどの識者なのです。
そんな主に巡り合えた私たちは幸せですわ」
「僕のほうこそ、こんなに優秀なメイドさんに囲まれて幸せだよ。
特に、あそこで声をかけてくれたミーシャ……には感謝してる」
「光栄ですわ。
と、そろそろハイイログマの目撃されたあたりですわ。
シノブ、周囲を確認してください」
「おう」
シュン! シノブは木に飛び上がり周囲を確認する。
こんなメイド、絶対にいないって……
「右前方、対象発見」
小声でシノブさんからの声が聞こえる。
俺は用意してきた武器を収納から取り出した。
長さ1.5m先端の15cmほどが90度に折れ曲がった変形刀だ。
「変わった武器だよな」
「非力な僕でも力の出せる武器です」
そういうアイラさんは、いつもの仕込み箒だ。
ミーシャさんは吹き矢でシノブさんは二丁ナイフ。
「別に戦闘訓練じゃないんだよな」
「ええ」
「じゃ、俺が片づけるよ」
そういうと、アイラさんは無防備に進んでいく。
まだ、仕込みも抜いていない。
カチリ 仕込みの支えを外す音が聞こえた。
クマのほうもこちらに気づき警戒モードに入っている。
ザクザクと歩くアイラさんに対し、クマは頭を下げて突進モードだ。
クマの駆け出しとアイラさんが仕込みを抜くのとどちらが早かったか。
クマの突進をギリギリで避けて仕込み一閃、クマの頭が胴体から離れた。
「す、すごい」
「まあ、これしか取り柄がないですから」
「それにしても、見事でござる」
血抜きをしてクマを収納に納め、一件目の依頼完了である。
この依頼は町からであり、特に依頼者の確認は必要ない。
「熊の胆はわかるけどオーガは?」
「オーガは骨の髄を煮詰めると鬼髄という下痢止めになるんですが、どちらもそのままでは使えませんので、一旦薬局が買い取ります」
「薬局で加工するんだ。知らなかったよ」
「あはは、俺も知らなかったから安心していいぞ」
「シノブさんは?」
「某は一通り学んでおりますので。
それよりも、タウ殿は主なのですから”さん”は余計でござる」
「そうね。私も呼び捨てにしていただきたいですわ」
「えーっ、だってこんな子供だよ」
「子供が爵位などもてませんわ。
爵位もちは、周りが一人前と認めた証でもありますからね」
「わかった。
ミーシャ、アイラ、シノブ……これでいい?」
「「はい」」 「おう」
「ギルドでもそうでしたが、タウ・ワイルズというのは、冒険者でも知っているほどの識者なのです。
そんな主に巡り合えた私たちは幸せですわ」
「僕のほうこそ、こんなに優秀なメイドさんに囲まれて幸せだよ。
特に、あそこで声をかけてくれたミーシャ……には感謝してる」
「光栄ですわ。
と、そろそろハイイログマの目撃されたあたりですわ。
シノブ、周囲を確認してください」
「おう」
シュン! シノブは木に飛び上がり周囲を確認する。
こんなメイド、絶対にいないって……
「右前方、対象発見」
小声でシノブさんからの声が聞こえる。
俺は用意してきた武器を収納から取り出した。
長さ1.5m先端の15cmほどが90度に折れ曲がった変形刀だ。
「変わった武器だよな」
「非力な僕でも力の出せる武器です」
そういうアイラさんは、いつもの仕込み箒だ。
ミーシャさんは吹き矢でシノブさんは二丁ナイフ。
「別に戦闘訓練じゃないんだよな」
「ええ」
「じゃ、俺が片づけるよ」
そういうと、アイラさんは無防備に進んでいく。
まだ、仕込みも抜いていない。
カチリ 仕込みの支えを外す音が聞こえた。
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クマの突進をギリギリで避けて仕込み一閃、クマの頭が胴体から離れた。
「す、すごい」
「まあ、これしか取り柄がないですから」
「それにしても、見事でござる」
血抜きをしてクマを収納に納め、一件目の依頼完了である。
この依頼は町からであり、特に依頼者の確認は必要ない。
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