7人のメイド物語

モモん

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第二章 医師タウ

決断

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「竹林で遊んでいて、切り株が太ももの内側に刺さってしまいました」

その患者は9才の少女だった。
まず、傷口を治癒でふさぐ。

「お母さんですね」

「はい」

「傷口は塞ぎましたが、娘さんの流した血はこのカップよりも多いですか」

俺は500ccのカップを母親に見せた。

「もっとだと思います」

「このままでは、血が足りなくて、死んでしまう可能性が高いです」

「娘は……死ぬんですか……」

「このまま、様子を見るか、誰かの血を娘さんの体に入れるかの2択です。
どうされますか」

「だれかの血を?」

「検査をして、血を入れても固まらないことを確認してからです。
どうなさいますか」

「私の血で大丈夫でしょうか?」

「では、検査してみましょう。
採血頼む。
それと局長に連絡して」

「「「はい!」」」


「ダメです。
お母さんの血では、凝固してしまいます」

「スタッフ全種類採血して。
それと、確認は絶対に複数の人が確認してください」

「「「はい!」」」


「ダメです!
あとはスタッフにいないDタイプしかありません」

「総務局のみんなに声をかけてください」

「「「はい」」」


「見つかりました!Dタイプです!」

「本人の同意を得られたの?」

「オッケーです」

「お母さん、この女性の血なら固まりませんでした。
輸血しますか?」

「い、いいんですか」

「私の血でこの子の命が助かるなら」

「あ、ありがとうございます……」

「局長の確認は」

「オッケーです」

「では輸血準備」

「「「はい!」」」

「砂時計用意!」

「用意できています」

「いきます。輸血開始!」

「砂時計スタートしました!」

サラサラサラ

砂の落ちる音が異様に大きく聞こえた。

局長や国王どころか総務局の全員が様子を見に来ている。

「ゴー、ヨン、サン、ニー、イチ。終了!」

「輸血終了。
患者の針を抜きます」

『クリーン』

「提供者の針を抜きます」

『クリーン』

「一時間は様子をみましょう。
サヤカさん、血液の提供に感謝します」

「提供した血の分、おいしいスイーツをお願いしますね」

「わかりました。明日、必ず。
みなさん、お疲れさまでした」

「「「お疲れさまでした」」」

「む、娘は助かるんですか?」

「できることはやりました。
あとは拒絶反応がおきないか、経過をみます。
このまま一時間、問題なければ明日の朝まで」

「そこまでで問題なければ」

「助かったということです」

「あ、ありがとうございます」
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