7人のメイド物語

モモん

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第一章 一人と7人のメイド

総務局は味方?

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後日判明したことだが、勝敗を金で買った貴族がいたそうだ。

2回線に勝ち残る名誉のために……
まあ、そういうのもアリだろう。

そしてリバーシは、更に売り上げを伸ばした。
貴族向けの高級品も売れている。


「総務局に敵の手のものはおりませんね」

「じゃ あ なかよく するの?」

「特に、局長とのパイプは太くした方がいいでしょう」

「わか た。 さしいれ もって く」

俺は全員分のシュークリームやクッキーを作って、総務局に出入りするようになった。

「おお、タウ君。いつもすまんな」

母さんが亡くなったときに、俺を養子に迎えたいといった局長は、本当に好意からだったようだ。
局長に子供はおらず、俺は局長の自宅にも招かれるようになった。

「まあまあ、本当にタウ君の作ってくれるお菓子はおいしいわね」

局長の奥さんは、紅茶を淹れるのが上手だ。
俺も、コーヒーよりは紅茶派だったから、局長のいない時にも自宅にお邪魔するようになっていった。

それからほどなくして、二回目の襲撃があった。
これは、シノブが事前に情報を掴んでおり、万全の体制で迎え撃つ。
そしてまた、廃人同然にして堀へ捨てる。

兵団の方では、すでに除隊済みの兵士だと公表し、これも闇に葬られた。

20人の欠員が出れば、募集がかかるのだが、公募されることはなかった。
町のゴロツキで調達されたからだ。

これに対し、無記名の投書で兵団長に訴えたが動きはないようだ。


「おり いって そうだん したいこと あひます」

「どうした。人に聞かれたくないことなら。夜にでも自宅に来てくれ」

俺は局長に話すことにした。
もちろん、ジャニスのアイデアでもある。


「お疲れのところ申し訳ございません。
タウ家執事のジャニスと申します。
主がうまくお伝えできませんので、代わりに話をさせてください」

「ああ、かまわんよ」

「実は、主を狙って殺害しようという動きがあります」

「御典医か」

「さようでございます。
主の母親殺害の時に一度、一人住まいを始めた時に一度。
今の屋敷に移ってから2度」

「4度も襲われたのか。
今からでも遅くない。うちに来い。
メイドも込みでなっ」

「大変ありがたいお申し出ですが、今の屋敷も気に入っております。
こちらには、これまで通りお邪魔させていただきますが……」

「うん。妻もお前を気に入っているようだし、その気になったらいつでも構わんぞ。
養子でなくてもいい。ただの同居でもな」

「ありが と」

局長の言葉に涙が出てきた。
だからこそ、その家に迷惑はかけられない。
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