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第一章 一人と7人のメイド
ティアラ
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「おうじょ さぁま わ たいかい でない の?」
「ええ、今回はお母さまの応援にまわるわ」
「そっか……
あっ これ」
「なあに?」
「この あいだ の やく そく」
「えっ、お洋服なの!」
裁縫の得意なシノブに頼んで、紺色のワンピースを縫ってもらった。
袖口と背中のボタンは貝殻を使ってある。
シンプルな紺色に、真珠層のボタンが映えている。
ついでに見つけた真珠で、ネックレスとティアラも作ってある。
「ちょっと待ってね、着替えてくるから」
そういって王女様はメイドと共に奥の部屋に引っ込んだ。
袖口やウエストにギャザーを入れてあるので、柔らかい仕上がりになっているはずだ。
奥からキャ-キャ-と王女の声が聞こえてくる。
気に入ってくれたようだ。
部屋から出てきた王女さまはそんな素振りは見せずにすました表情である。
顔が赤いけど……
「いかがかしら?」
「よかっ た にあってる」
王女様に連れられて、そのまま王様のところへいく。
「お父様、ご機嫌いかがでしょう」
「ご機嫌って、毎日……
タウのプレゼントか」
「ええ」
「こいつは驚いた。
深い青に真珠が映えている。まるで、どこかの王女様のようだ」
「タウが私のために作ってくれましたのよ」
「タウ、私の分は?」
「あうう……
またこんど ね」
「もう、お母さまったら!
私のタウなんだから」
「タウの独り占めは駄目よ。
それにしても、見たことのない縫い方をしてるのね。
布を寄せることで柔らかなラインを出しているのね。
それに、真珠層がきれい……」
王妃様のプラチナブロンドには金のティアラだな……
この時はそんなことを考えていた。
王妃様のサイズは、メイドからもらったのだが……
出来上がっていくワンピースを見ながら、例の美少女戦士のティアラを思い出してしまった。
額の部分に宝石がくるやつだ。
これは、ブルーサファイアを見つけるしかないよな。
俺は数日間、王家の炭鉱に入り浸った。
残念ながらブルーサファイアは見つからなかったが、ラピスラズリを見つけた。
王妃様のワンピースとティアラが完成したのは大会の3日前だ。
「こんなティアラ、見たことないわ……
ありがとうタウ。
大会の挨拶には、これで登場しましょう」
「あう よろ しく ね」
「タウったら、お母さまにプレゼントする時は、私よりも手がこんでるんだから」
「ひめ さまにも おそ ろい」
「キャー!私もお揃いの服装で行くからね」
「タウよ、本当にいつもすまんな……」
「ええ、今回はお母さまの応援にまわるわ」
「そっか……
あっ これ」
「なあに?」
「この あいだ の やく そく」
「えっ、お洋服なの!」
裁縫の得意なシノブに頼んで、紺色のワンピースを縫ってもらった。
袖口と背中のボタンは貝殻を使ってある。
シンプルな紺色に、真珠層のボタンが映えている。
ついでに見つけた真珠で、ネックレスとティアラも作ってある。
「ちょっと待ってね、着替えてくるから」
そういって王女様はメイドと共に奥の部屋に引っ込んだ。
袖口やウエストにギャザーを入れてあるので、柔らかい仕上がりになっているはずだ。
奥からキャ-キャ-と王女の声が聞こえてくる。
気に入ってくれたようだ。
部屋から出てきた王女さまはそんな素振りは見せずにすました表情である。
顔が赤いけど……
「いかがかしら?」
「よかっ た にあってる」
王女様に連れられて、そのまま王様のところへいく。
「お父様、ご機嫌いかがでしょう」
「ご機嫌って、毎日……
タウのプレゼントか」
「ええ」
「こいつは驚いた。
深い青に真珠が映えている。まるで、どこかの王女様のようだ」
「タウが私のために作ってくれましたのよ」
「タウ、私の分は?」
「あうう……
またこんど ね」
「もう、お母さまったら!
私のタウなんだから」
「タウの独り占めは駄目よ。
それにしても、見たことのない縫い方をしてるのね。
布を寄せることで柔らかなラインを出しているのね。
それに、真珠層がきれい……」
王妃様のプラチナブロンドには金のティアラだな……
この時はそんなことを考えていた。
王妃様のサイズは、メイドからもらったのだが……
出来上がっていくワンピースを見ながら、例の美少女戦士のティアラを思い出してしまった。
額の部分に宝石がくるやつだ。
これは、ブルーサファイアを見つけるしかないよな。
俺は数日間、王家の炭鉱に入り浸った。
残念ながらブルーサファイアは見つからなかったが、ラピスラズリを見つけた。
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「こんなティアラ、見たことないわ……
ありがとうタウ。
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「あう よろ しく ね」
「タウったら、お母さまにプレゼントする時は、私よりも手がこんでるんだから」
「ひめ さまにも おそ ろい」
「キャー!私もお揃いの服装で行くからね」
「タウよ、本当にいつもすまんな……」
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