7人のメイド物語

モモん

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第一章 一人と7人のメイド

美味しいもの

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筋肉が落ちていると、立ち上がるのも一苦労だ。
俺はメイドさんに指示して、両脇から王女を支えてもらった。

「ダメ、足がガクガクしてる」

「つ え お りょ お わき いれる」

「こ、こう?」

「すこ ひ ずつ まえにだすの」

「だ、ダメ あっ……」

すかさず、メイドさんが支えてくれた。

「ぼく わ、いっ ぽ あうくの に、みっか かかたよ

「三日もかかったの!
そうよね。私なんかよりも大変だったのよね。
うん、頑張る」

王女は本当に頑張って、一時間足らずで3歩歩いた。

「きょ お わ、ここ まえに する ね」

「うん。
明日もきてよね」

「はあい」

俺は、毎日漢方を処方し、薬膳粥を収納に入れて持ってくる。

一週間もすると、王女は松葉づえで自由に歩けるようになった。

「がんばった から 今日は おいわいね」

「なあに、それ」

「ぷ り ん つくたの」

「プリンっていうの……
あっ……」

「だい じょ ぶ?」

「おいしい!」

「よか た」

牛乳と玉子は流通しているため、作るのは簡単だった。
砂糖は高いが、この笑顔がみられるなら安いものだ。

「ねっ、どうやって作ったの?」

「ない ひょ」

「えー、ずるーい」

「たべ すぎると ふとる ね」

「ギクッ……」

「まあた、ちが うの つくて くるね」

「絶対よ!」

俺は退室して、王様のところにいく。

「もお だいじょぶ ね」

「ああ、タウのおかげだ」

「タウ、美味しいって聞こえたけど、なぁにかな?」

「まあた こんど ね」

「ずるいわ。
ソフィアばっかりで」

「……あした もてくる」

「絶対よ」

「タウ、すまんな」

「だ い じょうぶ」



「主、プリンも売りに出しましょう」

「さとお たか いよ」

「その分、販売価格を高くすればいいんです。
貴族向けになりますけど、これも絶対に大ヒットしますよ」

「おまかせ する よ」

「それから、不穏な動きがあります」

「まあた」

「シノブに探らせていますが、近いうちに襲撃があるかもしれません」

「どうした ら」

「お任せください。
我が家のメイドが、普通のメイドじゃないって、思い知らせてやりましょう」

「ふつう じゃ ないの?」

「ええ、これだけ優秀なメイドが一か所に集まるなんて、普通じゃありえませんよ」

「じゃあ、ぼく も 武器 つくるよ」
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