7人のメイド物語

モモん

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第一章 一人と7人のメイド

歩く練習

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城からの帰りに、薬局によって松の実やクコの実を買った。

母さんが、俺に作ってくれた薬膳粥を作ってやるのだ。
レシピは母さんの残してくれた資料に入ってる。

翌日、またジャニスさんにつきあってもらって城に向かう。

「王女様は大丈夫なのでしょうか」

「原因 の きん とった
だひひょう ぶ おもお」

「そうならいいのですが」

ソフィア王女の顔色は、血色がもどって大丈夫みたいだ。

「おなか空いたのに、まだ、普通のごはん食べさせてもらえないの」

「そお、おもて おかゆ もていた」

「えっ、ホント!」

「まだ、ないぞお よわってう。
ゆくい たべて」

「ありがとう!」

ショウガと塩で味はついている。
鶏肉をしっかり煮てほぐしてあるので、食べやすいと思う。


その場は、お付きのメイドさんに任せて、俺は王様のところにいく。


「げんき みたい」

「ああ、昨日から、起きるたびにお腹すいたと申して居る。
これはスカーレット女医の教えなのか?」

「あい、はあはんに おそわ たの」

「そうか。彼女が生きていれば、この国の医術が変わったやもしれんな」

「あい」

「これからも、時々会いに来てやってくれるか」

「あい」

どうだろう。
現代医療の知識があるからイメージできるが、イメージできずに表面的な浄化と治癒の魔法だけで効果あるものなのか……



「タウ、ごちそうさまでした。
とっても美味しかった」

「よかた ね」

「これから、どうすればいいの?」

「あうく えんひゅう」

「歩く練習?」

「きん にく おち てる から」

「そっか。
ねえ、どうやって歩く練習すればいいの」

「ええと、うーん……
だえか に さ さ えて もらう の」

「じゃ、タウがやって」

「むい!」

「そっか、タウも同じだもんね。クスッ」

「あひ た つ え もてくう」

「明日ね、絶対だからね」


帰って、アルミで松葉杖を作ってみる。
考えてみたら、これって、俺にも必要だよな……


「主、楽しそうですね」

「う ん 、だ れか のため て、た の しい」


家にいると、どうしても楽をして喋らないことが多くなる。
メイドさんたちも、気を使って余計なことは話しかけてこない。
その点、王女は普通に話しかけてくるから、俺も丁寧に話さざるをえない。
結果として、王女と話すことは、俺のリハビリにもなった。

「つ え、つく た」

「あはは、タウも使うのね」

「そ お」

「どうすればいいの?」

「さいひょ は ひとり で たつ の」

「うん、杖につかまって立てばいいのね」

「そ お」
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