7人のメイド物語

モモん

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第一章 一人と7人のメイド

三人のメイドさん

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「あら、それ便利そうね」

ふいに声をかけられたが、今振り向くわけにはいかない。
目的の獲物に素早く手を伸ばし、捕まえて容器に入れる。

「キイロマダラガエルなんて、捕まえてるのも珍しいけど、その手袋とメガネは、毒をちゃんと防いでくれるみたいね」

「あう、特ひゅ な 素材 使てまふから」

「知ってるわ。ゴムっていうんでしょ。馬車の車輪に使っている素材よね」

「あい」

「しかも、それを扱う人は一人だけ。
タウ君でいいのかな」

「あい、タウえす。
姉はんは?」

「失業中のただのメイドでーす」

「ドク 扱うメイドはん いるんだ」

「それは単なる趣味。それで、キイロマダラガエルなんて集めて何に使うのかしら」

「蛇 や ムカデ ダメあので、 即効性 あるの こえ」

「そうでもないわよ。
モンスター由来とか、植物系でも強力なのあるし」

「えも、はだ 変色する」

「ふーん、暗殺用なのね」

「ああ、ほんなとこ」

「お母さんの敵討ちとかかな」

「……」

「相手のめぼしはついてるのよね」

「……」

「ものは相談なんだけど、私を雇わない」

「……」

「専門は料理だけど、一応一通り何でもできるわよ」

「あんで 失業したの?」

「うーん、スケベオヤジが嫌で逃げだしたってところね。
その点、タウ君ならあと5年は大丈夫そうだしさ」

若干幼児体系だったが、黒髪の長いきれいなというか可愛い人だった。

「ひおり なので、助かる けど。 物騒な こと なるかも」

「だったら、あと二人、頼もしいのがいるんだけど、一緒にどうかな。
趣味が戦闘ってのが一人と、お金儲け大好きってのが一人」

「うひろ の ひと?」

「言っておくがな、俺は戦闘が趣味なんじゃねえ。刃物を使うのが趣味なだけだ」

「私だって、お金儲けが趣味じゃないですよ。お金の絡んだ交渉が趣味なんです」

「面白 そうね 。細かい こと 苦手 、家のこと 全部 お任せ」

「へっ、ホントに雇ってくれるの」

「ほんな 子供でも いいなら」

「じゃあ、先にお給料のこと決めません事」

「おまかへひます」

「結構ですわ」

「いち年 金貨 200枚 渡す から、全部 やってくあさい。
たいなかたら、ついか ひまふ」

「もし、何かしらで収益が出た場合はどうしましょう?」

「おまかへ」

「マジかよ」

「分かりました。では、何とお呼びすればよろしいでしょうか?」

「タウ え いいえふ」

「じゃ、タウよろしくな。俺はアイラだ」

「私はマリアンヌ。アンで結構ですわタウ様」

「私はミーシャ。よろしくねタウ君」

赤毛で長身。スレンダーのアイラ。
金髪、肉感的なマリアンヌ。
黒髪、ソバカスがかわいいミーシャ。

三人のメイドさんが同居人になった。



三人で家にいく。

「うーん、これだと両隣に迷惑をかけちゃいそうですね。
郊外の一軒家を探したほうがよろしいんじゃないかと……」

「買える の?」

「伝手を使えば、ここを引き渡して、金貨50枚ほど追加すれば大丈夫だと思いますよ」

「おまかへ します」

「分かりましたわ。明日までに確認してまいります」

マリアンヌさんはそう言って町中に消えていった。

「じゃあ、俺らも宿を引きはらって荷物を整理してくるわ」

「あい」
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