7人のメイド物語

モモん

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序章 転生

引っ越し

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「タウ。私の分は?」

「あう……」

「お父様とお母さまだけじゃ、私が可哀そうだと思わないこと」

「ソフィア、こういうのはペアと決まっているもんだ」

「いああかたえす」

「ごめんなさい。王女様のことを知りませんでしたので、失礼いたしました」

「こうど、まてて」

「ホントね。絶対よ。約束破ったら許さないんだから!」

「あうっ」

「わがままな娘ですまんな」

「いえ、タウにこんな普通に接してくれる方はおりませんでしたので、本人も嬉しいんだと思います」

「えーっ、だってドラゴンにやられて助かったんだから、勇者じゃないですか」

「うーひゃ……」

「まあ、年も近いんだ。時々は遊び相手になってやってくれ。
ああ、それからな、ワイルズ家用の屋敷があるから、そこに入ってくれ」

突然、貴族の仲間入りをして、引っ越しが決まった。
スキルも収納と物質制御と身体制御がLv.2にあがっていた。



収納は、20cmの立方体が収納できるようになった。
2倍ではない。容量的には8倍になる。
とは言っても、8リットルは大きい……、いやラノベを考えればまだまだ小さいが、それでも槍とか問題なく収納できる。
河原で鉱石を採取するときはありがたい。

王女の分の金を確保し、加工して化粧箱に入れておく。

それと同時に、サスペンションの構造を考える。
やっぱ、4輪独立式にして、車軸の接触部分にはベアリングが必要だよな……
重量を抑えるにはやっぱりジュラルミンがいいけど、合金の比率は4.5の1.5の0.6だったよな……
それで、銅とマグネシウムとマンガンの順だったよな。あれっ、マグネシウムとマンガンが逆だったか……
ボーキサイトって、鉄分も多いから、赤いと思ったんだけど、まあ、当たって砕けろだ。

幸い、材料はそろった。
比率を考えて合成し、パーツにしてから加熱処理をする。

コイルには玉鋼を使い、ジュラルミンの車輪には、木の皮を圧縮して貼り付けてみた。
ベアリング部分には獣脂をたっぷり塗ってある。

このベースに、アルミの上物を載せて応急馬車である。
家財の多くは人手を雇って別便で運んでもらっている。

「すごく静かで揺れないわね」

「ひゃりんひ、ひのはわおつかた」

「木の皮?」

「そ・お」

「あーあ、貴族なんか性に合わないんだけどな……」

「あひひょうぶ」

「タウも手伝ってよね」

「う・ん」

屋敷につくと、メイドさんが勢ぞろいしていた。

「ええっ!こんなに大勢……」

「お帰りなさいませ。執事のベッキーでございます」

「あ、スカーレットです。よく分からないものですから、よろしくお願いしますね」

「お任せください」

「タ・ウえす」

「タウ様ですね。よろしくお願いいたします。
さあ、お部屋の方へご案内させていただきます。
お荷物はメイドたちに運ばせますから……」

居間でくつろいでいるとメイドが慌てた様子で入ってきた。

「ベ、ベッキー様、馬車が……」

「どうしました?」

「すごく軽くて、静かなんですが……」

「ああ、それタウが作ったのよ」

「!そうですか。変わったものを見かけたら、総務局に報告するように言われておりますので、連絡させていただいても……」

「どうぞ、隠すようなものもありませんから。
あっ、私の下着は秘密にしておいてね」


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