天と地と空間と海

モモん

文字の大きさ
上 下
33 / 51
第三章

第33話 白ゴジの卵が生きていた まさか育てるつもりなのか……

しおりを挟む
 目が覚めたのは豪華すぎる部屋だった。
 クイーンサイズのベッドが二つ並んでおり、片方にはサヤカが寝ている。

 俺たちが艦においてきたはずの荷物も横にあったが、俺たちは着替えもせずに寝てしまったらしい。

 まだ、頭がボンヤリしている。

 順を追って思い出していく。

 俺たちはアラブから16時間かけてアメリアのLAにやってきた。
 うん、これは間違いないな。
 LAの空港からヘリで沿海域戦闘艦という艦に移動した。
 通訳の顔も艦長の顔も思い出せる。
 サヤカが艦長に見舞った一本背負いも甦ってきた。
 あれは、あまりにも綺麗に決まった。
 夫婦喧嘩は極力避けなくてはいけない。
 動画に残していないのがとても残念だった。

 そして白ゴジの元へ出向き、サヤカが討伐を成功させた。
 あの、伸身後方宙返りも綺麗だった。
 ライブ配信していたはずなので、あれは動画に残っているかもしれない。
 
 ああ、そうだ。
 白ゴジを倒した時点で、サヤカは魔力切れをおこしたようだ。
 今はどうだ……規則正しく胸が上下している。
 顔色もよさそうだ。

 その後で、白ゴジを冷凍倉庫に運んでからヘリに乗り込んで……その先の記憶がない。
 二人とも着替えていないということは、そのまま運んでもらったのだろう。

「う、うん……。」
「おはよう。」
「ここは?」
「俺も今おきたところ。君は魔力切れを起こしてヘリで寝ちゃったんだよ。気分はどう?」
「う、ん。熟睡した感じ。さっぱりしてる。」
「俺も、全部片づけたあとで、多分ヘリの中で寝落ちしたんだと思うんだ。」
「だから二人ともユニフォームのままなんだね。」
「うん。シャワーでも浴びたいところだけど、勝手に使ったら怒られそうなところだから……。」
「こんなところ初めて。セレブになったみたい。」

 少し話していたらドアがノックされた。
 サヤカがベッドから立ち上がるのを待って返事をした。

「はい、どうぞ。」
「失礼します。起きられたんですね。」
「あ、はい。十分休ませていただきました。」
「16時間フライト直後の討伐でしたから、相当お疲れだったんでしょう。よくお休みになられていましたよ。」
「あはは、どれくらい寝てました?」
「えーっと、15時間くらいですね。」

 俺はサヤカと顔を見合わせて笑った。

「申し遅れました。私、大統領補佐官のウィル・マシーニと申します。」
「あっ、ジン・シンドウです。」
「サヤカ・ジングウジです。」

 補佐官と名乗った男性は、茶色の髪をした銀縁メガネの高身長イケメンだった。

「それで、ここは?」
「あっ、お休みの間に、ワシントンD.C.まで移動していただきました。ここはホワイトハウスに近いホテルです。」
「えっ、ホワイトハウスの近くなんですか!」
「お二人の了解もとらずに失礼いたしました。」
「それは別によいのですが、30時間以上この恰好なものですから、シャワーをお借りしてもよろしいでしょうか。」
「ここと隣の部屋はご自由にお使いください。シャワーの後で朝食を持ってこさせます。」
「いわれてみれば、腹減ってるかも。」
「それで、15時に大統領が白ゴジ討伐の会見を行います。お二人にも同席をお願いしたいのですが。」
「スピーチとかは無理ですからね。」
「同席だけで結構ですよ。記者から質問は出ると思いますけど。」
「」まあ、質問に答えるくらいならいいですよ。
「ありがたい!会見用の衣装は隣の部屋に用意してありますので、後ほどスタイリストとメイクを連れてきます。」
「重ね重ねありがとうございます。」
「それから、昨夜、大和政府が白ゴジに関して興味深い発表を行いました。隣にあるモニターにメモリをセットしてありますので、ご覧になった方がよろしいかと存じます。」

 俺とサヤカはシャワーを浴びてさっぱりし、朝食を食べながら大和の発信したビデオを確認した。


***大和政府公式会見***

 白ゴジは、ワニと同じ水棲爬虫類に分類されます。
 生物学的な派生は確認中ですが、今回サンプルの採収に成功したことで、いろいろなことが判明しましたので紹介いたします。
 今回のサンプルを解剖して分かったことの一つですが、この個体はお腹に5個の卵を抱えていました。
 そして、この60cmほどの卵はすべて成長していたのです。
 これは、白ゴジが卵胎生であることを物語っています。
 更に驚いたのは、卵の中で死んでいた幼体と親の遺伝子を比較したところ、99.7%同じものだと判明しました。
 このことから、この卵は単為生殖によって受精したものだと断言できます。
 これは、ワニやヘビなどでも確認されており、そこまで珍しいことではありません。
 
 ちなみに卵のうち2つは、母体が氷漬けにされた後でも成長を続けています。
 大和で駆除された個体が、2時間氷漬けにされた状態から生存を続けていたことからも、それほど驚くことではありません。
 孵化するかどうかは分かりませんが、大和としてはこのまま観察を続けていきます。

 次に、体内についてですが、白ゴジの体内に高温を発するような器官はありませんでした。
 気管にも、高熱に耐えられる様子はありませんでしたので、頭部に高熱を発する機能があると推測できます。
 例えば、口の中が高温になり、そこを通過した息を加熱したり、魔法で息を高温に変化させている等ですね。

 各素材に関してですが、外皮は耐魔法や耐熱・耐冷の効果を持っています。
 しかも、衝撃に強いため、様々な分野で使える素材といえます。
 そして、肉に関しては、今のところ有害となりそうな成分は見つかっていません。
 これが食用になるのかどうかは、人を食べた個体ですから、味云々よりも倫理的に受け付けないでしょう。

 結論からいえば、このような特性をもった個体が、まだまだ各地で出現する可能性は非常に高く、一度討伐されたエリアに出現することも考えられます。
 この個体を産んだ親が、世界各地で子を産み続けている可能性も否定できません。
 その子供も同様です。
 
 これまでの出現パターンを見ると、大陸棚の外側。つまり水深200m以上に生息している可能性が高い。
 そして、もっと上の水域の方が、エサになる大型の生物が多いことに気づいてしまったのかもしれません。
 今回出現したいつの2匹は、非常に高い知能を備えており、学習能力も目を見張るほどでした。
 大型の船を襲えば、大量の人間を捕食できるということも学習しており、それが他の個体と情報共有されていないとは断言できません。

 海で生活されている皆さんは、十分に注意してください。


「卵胎生で単為生殖可能とか、ヤバすぎだよね。」
「そうですね。アレの幼体が世界中の深海で泳ぎ回っているとか、想像したくありませんわ。」
「それに、こうなってくるとますます自分たちの時間なんて持てなくなってくるし、下手をすれば世界中から派遣の要請が来そうだしな。」
「こんかいみたいな移動を繰り返していたら、ボロボロになりそうですわ。」

 13時に、スタイリストやメイクさんがゾロゾロとやってきた。
 俺の支度はタキシードを着させられて簡単なメイクをして終わったのだが、サヤカは時間がかかっている。

「海軍の公開したライブ動画がすごいことになっているんですよ。」
「再生数ですか?」
「ええ。24時間で5億回を超えて、まだまだ増えています。」
「……、考えてみたら、僕はまったく映ってないはずですよね。」
「そうですね。声が少し入っているだけで、サヤカさんメインの動画になっています。」

「それって、また僕の立場が弱く……。」
「はい。アメリアでのサヤカさんはスーパーヒーローですよ。いや、ヒロインですか。」
「ところで、相談があるんですけど。」


【あとがき】
 16歳の少年と26才大人の女性。主人公交代?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

加工を極めし転生者、チート化した幼女たちとの自由気ままな冒険ライフ

犬社護
ファンタジー
交通事故で不慮の死を遂げてしまった僕-リョウトは、死後の世界で女神と出会い、異世界へ転生されることになった。事前に転生先の世界観について詳しく教えられ、その場でスキルやギフトを練習しても構わないと言われたので、僕は自分に与えられるギフトだけを極めるまで練習を重ねた。女神の目的は不明だけど、僕は全てを納得した上で、フランベル王国王都ベルンシュナイルに住む貴族の名門ヒライデン伯爵家の次男として転生すると、とある理由で魔法を一つも習得できないせいで、15年間軟禁生活を強いられ、15歳の誕生日に両親から追放処分を受けてしまう。ようやく自由を手に入れたけど、初日から幽霊に憑かれた幼女ルティナ、2日目には幽霊になってしまった幼女リノアと出会い、2人を仲間にしたことで、僕は様々な選択を迫られることになる。そしてその結果、子供たちが意図せず、どんどんチート化してしまう。 僕の夢は、自由気ままに世界中を冒険すること…なんだけど、いつの間にかチートな子供たちが主体となって、冒険が進んでいく。 僕の夢……どこいった?

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜

犬社護
ファンタジー
5歳の誕生日、アキトは不思議な夢を見た。舞台は日本、自分は小学生6年生の子供、様々なシーンが走馬灯のように進んでいき、突然の交通事故で終幕となり、そこでの経験と知識の一部を引き継いだまま目を覚ます。それが前世の記憶で、自分が異世界へと転生していることに気付かないまま日常生活を送るある日、父親の職場見学のため、街中にある遺跡へと出かけ、そこで出会った貴族の幼女と話し合っている時に誘拐されてしまい、大ピンチ! 目隠しされ不安の中でどうしようかと思案していると、小さなもふもふ精霊-白虎が救いの手を差し伸べて、アキトの秘めたる力が解放される。 この小さき白虎との出会いにより、アキトの運命が思わぬ方向へと動き出す。 これは、アキトと訳ありモフモフたちの起こす品質開拓物語。

ダンジョン美食倶楽部

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。 身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。 配信で明るみになる、洋一の隠された技能。 素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。 一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。 ※カクヨム様で先行公開中! ※2024年3月21で第一部完!

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

処理中です...