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第二章
第22話 26才は賞味期限切れなのでしょうか?
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文部局と魔法局も点数稼ぎが目的で、両局長や国の赤星代表には伝わっていなかったようだ。
俺と団長はあらためて呼ばれ、三者と面談をして大げさな謝辞をもらった。
そして、正式にヤマト国に対して礼をすると共に、シールド装置の輸出を依頼するとのことだった。
ところが、ヒゴでそんな動きをしている間に、リュウキュウ王朝がヤマトへの併合を決めてしまった。
このシールド装置が国民感情を後押ししたらしい。
そして、ヒゴでもヤマト併合の機運が高まる中、俺たちは帰国した。
シールド装置は800台ほど完成している。
岩国に帰って3日ほど休養したあとで、俺とサヤカさんは本部に戻った。
「お帰り、新婚旅行はどうだった?」
「なんだそれ?」
「だって、1カ月以上一緒だったんだから、当然ナニかあったでしょ。」
「サヤカさん!何で耳まで赤くなってんのさ!」
「だって……私の裸、見た……。」
「えっ、隊長ったら、剥いちゃったんですか!」
「ちがう!あれは事故だ!」
「サヤカってば、色白だしぃ、着やせするタイプだしぃ。ボス、どうだった?」
「やめろ!思い出しちゃうじゃないか!」
そう、思い出しただけで俺の股間は充血していた。
あれは、本当に事故だった。
岩国基地に戻った俺たちは、料亭で慰労会を開いてもらい、俺は指令の家に泊まることになった。
当然だが、サヤカさんの実家であるため彼女も一緒だった。
指令の自慢は、広い風呂で、基地の隊員も時々お邪魔していると聞いていた俺は、「お風呂どうぞ」とオバさんにいわれて脱衣所で服を脱ぎ、風呂場へと入っていった。
脱衣かごの一つに脱いだ服が入っていたのだが、誰か先に入っているな程度で、あまり気にならなかった。
そして、引き戸を開けた瞬間、遭遇してしまったのだ。
お互い、まったく無防備な状態で裸をさらしてしまった。
サヤカさんは悲鳴をあげなかった。
咄嗟に手で胸を隠してしゃがみこんだ。
プルンと揺れた胸が、今も脳裏によみがえってくる。
俺は謝罪して戸を占めた。
単に、オバさんの勘違いだったのだが、翌朝はさすがに気まずかった。
まあ、昼には普通に戻っていて、二人で錦帯橋と天守閣を見た。
錦帯橋は5連の木造アーチ橋で、俺は初めてだった。
「ここのソフトクリーム美味しいんですよ。」
「へえ、俺は……やっぱりバニラだな。」
「私はブルーベリーにします。」
お互いに交換して食べたり……。
「何だかデートみたいですね。」
「あはは、俺って今も在学中だけど防衛庁の特殊学校だから、こういう機会なんて全然なかったしな……。」
「えっ、隊長さんってまだ学生だったんですか!」
「どうせ中坊ですよ。」
「いやいや、……そうですか、中等部の……。」
「俺の青春は、どこに行っちゃったのかな……。」
「よしよし、お姉さんが慰めてあげましょう。」
基地に戻った翌日、俺は防衛大臣に呼び出された。
「海ドラゴンの時も含めて、今回もご苦労様だったね。」
「いえ、お役に立ててよかったです。」
「実は、ヒゴとの併合も一気に話が進んでいてね。これも、君がきっかけを作ってくれたからだよ。」
「自分のできることをやっただけですよ。」
「それでだ、正式な入隊はダメかね?」
「そうですね。今の自分を冷静に見ると、異常すぎる力を持ってしまったというのが正直な感想です。まあ、オブロンが提供してくれた義手のおかげなんですけどね。」
「うん。それは理解しているよ。」
「……この力を前提にした国や軍隊というのは、多分歪になってしまうと思います。」
「そうか……。」
「今しばらくは、現在の特任でお願いできませんか?」
「……わかった。総理には私から話しておくよ。」
「ありがとうございます。」
「それで、君たちのチームのポジションなのだがね。」
「はい。」
「特務隊の内部チームだといろいろと軋轢が生まれていてね。」
「そうですね。」
「防衛軍統合幕僚長の直下に災害支援特別部隊を作ることにした。君にはその隊長として3チームを率いてほしいと思っている。」
「……。」
「副官には神宮寺紗香君を任用したい。」
「特任の僕に、そんな役職をつけていいんですか?」
「今更だろう。本当なら君を大佐にでも任用して、大隊を任せたいところなんだ。」
「戦争目的でなく、災害支援だというのなら、やらせていただきます。」
こうして、俺は隊長としてチームを引き受けることになった。
中等部は、正式に卒業だといわれてしまった。
「隊長が正式に隊長になったんですね!」
「うん、これまで通り、よろしくお願いします。」
「しかも、中等部卒業だなんて、これで大人の仲間入りですね。」
「そうですね。隊長もいよいよ大人になってしまったんですね。」
「それで、結婚式はどうするんですか?」
「えっ?」
「だって、サヤカさんそろそろ賞味期限切れちゃいますよ。」
「誰が生ものだっておっしゃっているんですか?」
あはは、目が暗殺者の目になってるよ。
そして、正式にヒゴの併合が決まった。
それをきっかけにして、国名は漢字表記の大和国になり、ヒゴとリュウキュウの名称は消えた。
ただ、県の名前として漢字表記の琉球県は残っている。
そして大和の各島は、北海道・本州・四国・九州と命名された。
俺には海ドラゴンの討伐とヒゴへの支援に対する報奨金として1億もらえることとなった。
これには魔導基盤のお金も含んでいる。
まあ、討伐に短距離弾道ミサイルを使ったと思えば十分におつりが来るらしい。
金銭的な余裕ができた俺は、月に一回程度食事会を開催することにした。
俺は未成年なのでお酒を飲むことはできないが、みんなには楽しんでもらっている。
困るのは酔っぱらって絡まれることがあるくらいだ。
「隊長!サヤカが昨日で26才になりました。賞味期限、切れちゃいましたよ。」
「だから、私はナマものじゃない!」
「あーっ、隊長、カビが生えちゃったそうですぅ!」
「どこにじゃ!」
「ギャハハハハ!」
対策チームは毎回こんな調子である。
これに対して、支援チームは平均年齢が高い分、静かなものである。
そして戦略チームは、オタク集団だともいえる。
全員がゲーマーでアニメ好きなのである。
酒を飲ませるまで気がつかなかった。
一口飲んだだけなのに、ポロっとでたゲームの話に全員が食いつき、議論は白熱していった。
天満の剣は入手困難度が高い割に、魔王に対する威力が弱いとか、某アニメのアリスちゃんが色っぽいとか嫁にしたいとか……。
はっきり言って、変態集団だったのだ。
「申し訳ないです。全チームの食事会に同席してもらって。」
「大丈夫ですわ。対策チーム以外はおとなしいですから。」
「そういえば大尉に昇格したんですよね、おめでとうございます。」
「ありがとうございます、って、あんまり嬉しくないんですけどね。」
「なぜ?」
「実家からは結婚しろってうるさく言われるし、これからどうしようか考えているところなんですよ。」
「そうでしたか。」
「あーあ、どなたか嫁に来いって言ってくださらないかしら。」
「サヤカさんならいくらでもいるじゃないですか。ファンクラブまであるんですから。」
「あんなの、冗談にしかなりませんわ。」
だが、俺にはどうしようもなかった。
サヤカさんは大人の女性で、俺は16才のガキなのだ。
【あとがき】
いやいやいや、まさか神宮寺紗香がヒロイン? だって、10才年上で殺人用の刀術使いですよ……。
俺と団長はあらためて呼ばれ、三者と面談をして大げさな謝辞をもらった。
そして、正式にヤマト国に対して礼をすると共に、シールド装置の輸出を依頼するとのことだった。
ところが、ヒゴでそんな動きをしている間に、リュウキュウ王朝がヤマトへの併合を決めてしまった。
このシールド装置が国民感情を後押ししたらしい。
そして、ヒゴでもヤマト併合の機運が高まる中、俺たちは帰国した。
シールド装置は800台ほど完成している。
岩国に帰って3日ほど休養したあとで、俺とサヤカさんは本部に戻った。
「お帰り、新婚旅行はどうだった?」
「なんだそれ?」
「だって、1カ月以上一緒だったんだから、当然ナニかあったでしょ。」
「サヤカさん!何で耳まで赤くなってんのさ!」
「だって……私の裸、見た……。」
「えっ、隊長ったら、剥いちゃったんですか!」
「ちがう!あれは事故だ!」
「サヤカってば、色白だしぃ、着やせするタイプだしぃ。ボス、どうだった?」
「やめろ!思い出しちゃうじゃないか!」
そう、思い出しただけで俺の股間は充血していた。
あれは、本当に事故だった。
岩国基地に戻った俺たちは、料亭で慰労会を開いてもらい、俺は指令の家に泊まることになった。
当然だが、サヤカさんの実家であるため彼女も一緒だった。
指令の自慢は、広い風呂で、基地の隊員も時々お邪魔していると聞いていた俺は、「お風呂どうぞ」とオバさんにいわれて脱衣所で服を脱ぎ、風呂場へと入っていった。
脱衣かごの一つに脱いだ服が入っていたのだが、誰か先に入っているな程度で、あまり気にならなかった。
そして、引き戸を開けた瞬間、遭遇してしまったのだ。
お互い、まったく無防備な状態で裸をさらしてしまった。
サヤカさんは悲鳴をあげなかった。
咄嗟に手で胸を隠してしゃがみこんだ。
プルンと揺れた胸が、今も脳裏によみがえってくる。
俺は謝罪して戸を占めた。
単に、オバさんの勘違いだったのだが、翌朝はさすがに気まずかった。
まあ、昼には普通に戻っていて、二人で錦帯橋と天守閣を見た。
錦帯橋は5連の木造アーチ橋で、俺は初めてだった。
「ここのソフトクリーム美味しいんですよ。」
「へえ、俺は……やっぱりバニラだな。」
「私はブルーベリーにします。」
お互いに交換して食べたり……。
「何だかデートみたいですね。」
「あはは、俺って今も在学中だけど防衛庁の特殊学校だから、こういう機会なんて全然なかったしな……。」
「えっ、隊長さんってまだ学生だったんですか!」
「どうせ中坊ですよ。」
「いやいや、……そうですか、中等部の……。」
「俺の青春は、どこに行っちゃったのかな……。」
「よしよし、お姉さんが慰めてあげましょう。」
基地に戻った翌日、俺は防衛大臣に呼び出された。
「海ドラゴンの時も含めて、今回もご苦労様だったね。」
「いえ、お役に立ててよかったです。」
「実は、ヒゴとの併合も一気に話が進んでいてね。これも、君がきっかけを作ってくれたからだよ。」
「自分のできることをやっただけですよ。」
「それでだ、正式な入隊はダメかね?」
「そうですね。今の自分を冷静に見ると、異常すぎる力を持ってしまったというのが正直な感想です。まあ、オブロンが提供してくれた義手のおかげなんですけどね。」
「うん。それは理解しているよ。」
「……この力を前提にした国や軍隊というのは、多分歪になってしまうと思います。」
「そうか……。」
「今しばらくは、現在の特任でお願いできませんか?」
「……わかった。総理には私から話しておくよ。」
「ありがとうございます。」
「それで、君たちのチームのポジションなのだがね。」
「はい。」
「特務隊の内部チームだといろいろと軋轢が生まれていてね。」
「そうですね。」
「防衛軍統合幕僚長の直下に災害支援特別部隊を作ることにした。君にはその隊長として3チームを率いてほしいと思っている。」
「……。」
「副官には神宮寺紗香君を任用したい。」
「特任の僕に、そんな役職をつけていいんですか?」
「今更だろう。本当なら君を大佐にでも任用して、大隊を任せたいところなんだ。」
「戦争目的でなく、災害支援だというのなら、やらせていただきます。」
こうして、俺は隊長としてチームを引き受けることになった。
中等部は、正式に卒業だといわれてしまった。
「隊長が正式に隊長になったんですね!」
「うん、これまで通り、よろしくお願いします。」
「しかも、中等部卒業だなんて、これで大人の仲間入りですね。」
「そうですね。隊長もいよいよ大人になってしまったんですね。」
「それで、結婚式はどうするんですか?」
「えっ?」
「だって、サヤカさんそろそろ賞味期限切れちゃいますよ。」
「誰が生ものだっておっしゃっているんですか?」
あはは、目が暗殺者の目になってるよ。
そして、正式にヒゴの併合が決まった。
それをきっかけにして、国名は漢字表記の大和国になり、ヒゴとリュウキュウの名称は消えた。
ただ、県の名前として漢字表記の琉球県は残っている。
そして大和の各島は、北海道・本州・四国・九州と命名された。
俺には海ドラゴンの討伐とヒゴへの支援に対する報奨金として1億もらえることとなった。
これには魔導基盤のお金も含んでいる。
まあ、討伐に短距離弾道ミサイルを使ったと思えば十分におつりが来るらしい。
金銭的な余裕ができた俺は、月に一回程度食事会を開催することにした。
俺は未成年なのでお酒を飲むことはできないが、みんなには楽しんでもらっている。
困るのは酔っぱらって絡まれることがあるくらいだ。
「隊長!サヤカが昨日で26才になりました。賞味期限、切れちゃいましたよ。」
「だから、私はナマものじゃない!」
「あーっ、隊長、カビが生えちゃったそうですぅ!」
「どこにじゃ!」
「ギャハハハハ!」
対策チームは毎回こんな調子である。
これに対して、支援チームは平均年齢が高い分、静かなものである。
そして戦略チームは、オタク集団だともいえる。
全員がゲーマーでアニメ好きなのである。
酒を飲ませるまで気がつかなかった。
一口飲んだだけなのに、ポロっとでたゲームの話に全員が食いつき、議論は白熱していった。
天満の剣は入手困難度が高い割に、魔王に対する威力が弱いとか、某アニメのアリスちゃんが色っぽいとか嫁にしたいとか……。
はっきり言って、変態集団だったのだ。
「申し訳ないです。全チームの食事会に同席してもらって。」
「大丈夫ですわ。対策チーム以外はおとなしいですから。」
「そういえば大尉に昇格したんですよね、おめでとうございます。」
「ありがとうございます、って、あんまり嬉しくないんですけどね。」
「なぜ?」
「実家からは結婚しろってうるさく言われるし、これからどうしようか考えているところなんですよ。」
「そうでしたか。」
「あーあ、どなたか嫁に来いって言ってくださらないかしら。」
「サヤカさんならいくらでもいるじゃないですか。ファンクラブまであるんですから。」
「あんなの、冗談にしかなりませんわ。」
だが、俺にはどうしようもなかった。
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