上 下
25 / 26
第三章 夜のお仕事

斡旋屋

しおりを挟む
第三章開始です。
毎週土曜日の17時にアップしていきます。

********************************


「斡旋屋のトコウニと申します。
折り入ってお願いしたいことがございまして……」

その男が我が家を訪れたのは夜9時頃だった。

「なんでしょう。アミノクリーンならギルドの方にお願いします」

「いえ、夜のお仕事のほうでして」

『アミ!気をつけろ!』

「……」

「あっ、道具袋さんもそんなに警戒しないでください」

『念話が使えるのか……』

「ええ、こう見えてもそれなりの能力がありますので」

『で、何の用だ』

「はい、悪い奴の始末を継続的にお願いしたいと思いまして」

『どういうことだ』

「世の中には、法で裁くことのできない悪党どもがおります。
私どもは、そういう奴らに恨みを持った弱い人からの依頼を受けております。
仕事料は一人につき金貨一枚」

『それって、必殺何とかって……』

「まさにそれです。
道具袋さんの前世の記憶にあるソレですよ。
実際に、私どもの依頼先は複数ありますから、すべての依頼がアミさんにいくわけではございません。
ですが、下調べはすべてこちらで行いますので、余計な手間がかかりませんでしょ」

『どうするアミ』

「やる……」

こうして、夜の仕事は依頼の下で行うことになった。



さて、今日はジェシカ様の所にお伺いする日です。
今日の手土産は、夕海亭で作ってみらった唐揚げです。

トリのもも肉に下味をつけて、小麦粉をまぶして揚げてもらいました。
フライドポテトも一緒に作ってあります。

「ほう、今日は惣菜か」

「塩とニンニク・ショウガで下味をつけてあります」

「……!
こっ、これは!」

「このような調理方法があったなんて……」

「いけません。
王女様が昼間からニンニク味など……
これは、私ども側使えが責任をもって処分いたしますから」

「大丈夫ですよ。
ミントの葉を持ってきましたから」

「ああ……、いくらでも食べられる。
このポテトも……」

「後で、夕海亭に城の調理人が来ると言ってありますから」

「ああ、城の食事に出てくるのだな」

「早速、サンプルと一緒に調理長に伝えてまいります」

「アミよ、これ専門の店を城に開いてもよいか。
貴族連中は、夕海亭には通えないだろうから……」

「結構ですよ。
ジェシカ様の直営店一号ですね。
ほかにも、ポテトを薄切りにしたチップスとかありますので、一緒に販売すればいいですわ」

こうして、城に惣菜店がオープンした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生幼女アイリスと虹の女神

紺野たくみ
ファンタジー
地球末期。パーソナルデータとなって仮想空間で暮らす人類を管理するAI、システム・イリスは、21世紀の女子高生アイドル『月宮アリス』及びニューヨークの営業ウーマン『イリス・マクギリス』としての前世の記憶を持っていた。地球が滅びた後、彼女は『虹の女神』に異世界転生へと誘われる。 エルレーン公国首都シ・イル・リリヤに豪商ラゼル家の一人娘として生まれたアイリスは虹の女神『スゥエ』のお気に入りで『先祖還り』と呼ばれる前世の記憶持ち。優しい父母、叔父エステリオ・アウル、妖精たちに守られている。 三歳の『魔力診』で保有魔力が規格外に大きいと判明。魔導師協会の長『漆黒の魔法使いカルナック』や『深緑のコマラパ』老師に見込まれる。

若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双

たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。 ゲームの知識を活かして成り上がります。 圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

鑑定能力で恩を返す

KBT
ファンタジー
 どこにでもいる普通のサラリーマンの蔵田悟。 彼ははある日、上司の悪態を吐きながら深酒をし、目が覚めると見知らぬ世界にいた。 そこは剣と魔法、人間、獣人、亜人、魔物が跋扈する異世界フォートルードだった。  この世界には稀に異世界から《迷い人》が転移しており、悟もその1人だった。  帰る方法もなく、途方に暮れていた悟だったが、通りすがりの商人ロンメルに命を救われる。  そして稀少な能力である鑑定能力が自身にある事がわかり、ブロディア王国の公都ハメルンの裏通りにあるロンメルの店で働かせてもらう事になった。  そして、ロンメルから店の番頭を任された悟は《サト》と名前を変え、命の恩人であるロンメルへの恩返しのため、商店を大きくしようと鑑定能力を駆使して、海千山千の商人達や荒くれ者の冒険者達を相手に日夜奮闘するのだった。

チート幼女とSSSランク冒険者

紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】 三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が 過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。 神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。 目を開けると日本人の男女の顔があった。 転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・ 他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・ 転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。 そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語 ※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

プラス的 異世界の過ごし方

seo
ファンタジー
 日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。  呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。  乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。 #不定期更新 #物語の進み具合のんびり #カクヨムさんでも掲載しています

処理中です...