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第二章 新しい町

誘拐

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「王妃様のブラを承ってまいりました。
すみません、収益に直結しないものばかりで」

「とんでもございません。
目先の利益よりも、信用と実績がものをいう世界ですから、王家で認められたなんて最大の功績ですよ」

「その王妃様が、ジェシカ様の装いなら、上着を着れば公の場でも問題ないだろうとおっしゃってくださいました」

「まさか!私たちの作ったものを、公式の場で……」

「はい。ですから上着を作らないといけません」

「喜んで作りますが、何かアイデアがありますか?」

「女性らしいラインを出すために、ウエストを絞る程度でいいと思います。
あっ、二本立てでいきましょう。
もう一つは、後ろの裾を燕のしっぽみたいに長くします。
前は一か所でとめて、金の鎖でかけるようにとめます」

「イメージはつかめました。
他には?」

「王妃様もコルセットを苦にされていますから、ジェシカ様と同じように一揃え持参しましょう。
そうですね、髪の色にあわせて濃いめの茶で揃えましょうか」

「わかりました。
期間は?」

「来週の金曜日にお持ちできれば最高です」

「やりましょう。
夢のような話ですが、王妃様と王女様に自分たちの作ったものを着ていただける。
それだけの技術を持っていると証明できるんですから」



次に、リンカ堂に寄ります。

「月曜日にシュークリーム10個、水曜日にプリン10個。ジェシカ様の側近がとりにまいりますから、用意していただけますか?」

「そ、それって王家御用達みたいじゃないですか」

「収益にはなりませんが……」

「とんでもない。宣伝効果を考えれば十分元はとれますよ。
いや、他の菓子も連日売り切れる状態で、職人をふやさないといけません。
あの日、アミさんが立ち寄ってくれなければこんな人気が出ることもありませんでしたから、なんでも言ってください」




その日、少し遅くなって家に帰ると弟と妹の姿がなく、一枚の手紙が置かれていた。
内容は、金貨100枚持って指定の場所に来いというものだった。

『どうしよう、金貨100枚なんてないよね……』

『こういう場合、金貨100枚持って行っても全員殺される可能性が高い』

『なんで……』

『顔を見られているからだ』

『じゃあ、どうすれば……』

『もし、誰かに話したら、弟と妹を殺すと書いてある』

『ダメ……、そんなの……許さない……』

『おい、アミ、大丈夫だ、二人で何とかしよう』

『ダメ……』

『アミ!どうした……』

あーっ!と叫んでアミは意識を失った。
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