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第二章 新しい町

サービスの料金を決めてもらった

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「アミノクリーンだと……」 「ネーミングセンスがねえな」

「名づけは所長です。
文句があるなら、今のうちですよ」

「「こほん」」

「ないようですね。
みなさんご存じの、はす向かいの食堂『夕海亭』ですが、厨房を含めて新築のようになりました」

「まて、あそこの厨房って、油とススまみれで……」

「アミノクリーン一発です」

「まさか……」 「それって、どこまで効果あるんだ!」

「言葉で言われても信用できないわ。
私の家で実演してみせて!」

「却下よ、サヤカ。
効果の範囲は、こちらで設定すればいいの。
この会議室相当で仮定し、汚れのレベルでABCの3段階に分ける。
Aがどうにもならないようなひどい汚れで、Bが夕海亭の厨房相当、Cが普通の状態。
さあ、価格を設定してください。サヤカ、あなたならいくら出す?」

「金貨2枚……いや、ここまできれいになるなら3枚ね」

「住宅と事業用は分けた方がいいだろう。事業用でBレベルなら金貨5枚が妥当だと思うな」

「例えば来客の予定があって、普段は掃除してるけど念入りにって場合、金貨1枚くらい出すよな」

「住宅用はAから順に金貨5枚、3枚、1枚。
事業用は金貨10枚、5枚、3枚ってとこだな」

「アミ、夕海亭はどうなってるの」

「月一回のお掃除で、弟と妹の面倒を見てもらうことになっています。あとは、食事代で」

「アミ個人の約束だ。勤務外のことだしギルドで関与はできんよ」

「いい広告塔でもありますからね」

「標準の価格設定はそれでいこう。
あとは部門の責任者の判断に任せるが、現地には必ず責任者が同行し、具体的な指示は責任者がすること」

「普段の付き合いによっては、値引きも可能って事かしら」

「そうだ」

「アミちゃんの取り分は?」

「給料制だ、お前らと同額にしてある」

「それでも、夕海亭2回でギルドは元がとれる」

「だが、トラブルはギルドで引き受けるし、交渉や契約はギルド対応だ。
どうだアミ、この条件でいいか」

「はい、お役に立ててうれしいです」

「現場の作業がある日は、この間の冒険者の服装でかまわないぞ」

「はい」

「城からも要請がありそうだけど、どうしますか?」

「外装込みで金貨500枚ってところだな。
契約が多ければ、臨時ボ-ナスも検討する」

「「よっしゃー!」」



『いい傾向だ。クリーンならお前ひとりでも可能だし、もし俺が消えてもギルドの給料で生活していけるな』

『えっ、おじさん、いなくなっちゃうんですか……』

『もしもの話だ』

『そうですよね……、おじさんが現れて急に変わってきたけど、私自身は何も変わっていないんですから……』

『そんなことはないさ、前向きに考えられるようになってきたじゃないか』

『それは、見えているからで……』

『なら、見えなくても同じようにできるように練習すればいい。
それに、スキルや特技を使いこなせば今と同じようにできるんじゃないか。
闇の目や気配察知を磨けば大丈夫だよ』

『うん、頑張る』



「わ、私の髪ってこんなにボサボサだったの……」

「んで、どう切るんだ」

『あごが隠れるくらいに切りそろえて、内側を思い切り短くしてもらえ。
前髪は眉が出るくらいでいい』

「えっと、、顎が隠れるくらいに切って、内側を思い切り短くしてください。
前髪は眉が出るくらいでいいです」

「内側を短くね……、変わった注文だが、ご希望通りにしますよ」

チョキチョキ……

「ほお、内側を短くしたから、少し内側にカールするんだ。
きれいな栗色だが、少し重たいか。少しボリュームを減らして……うん、いい感じだ」

「こ、これが私ですか」

「少し油をつけてツヤをだしたからな。うん、我ながらいい仕上がりだ」

「ありがとうございます。これでギルドに行っても、所長さんに怒られないですみます」

「ギルド?冒険者のかい」

「いえ、商業ギルドです」

「へえ、切った髪が残ってるから、今日はよく洗ってな」

「大丈夫です『クリーン!』」

キラキラキラーン☆彡♪

「あっ、広げすぎた……」

「こ、これって夕海亭と同じ……」

「すみません、お店までやっちゃいました」

「い、いや、店が新装開店になっちまった。
鏡なんかキラキラしてるじゃねえか。
なあ、月に一度は髪の手入れに来い。
とびっきりの油を使ってやるから」

「弟と妹も連れてきていいですか」

「ああ、大歓迎だ!」
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